ジャケ表

「汐」オーケストラ編曲 編成と曲構成

前回の続きです。今回は編成を決めます。

編成の決め方

本物のオーケストラでは主に大人の事情で決まったり、吹奏楽では指導者によって魔改造されたりと今一つ編成の重要さがないがしろにされている今日この頃ですが、打ち込みではそういうのありませんので自由に決めましょう。いや、持ってる音源が足りないとか色々ありますけれど…

今回は大編成で朗々と、ではなくClannadにふさわしい程度の小規模なオーケストラで行きます。また、曲が短いので木管楽器にコードを割り当てる部分がどこにもありません。後で必要になったら追加すればよいので、とりあえず曲の構成を考えながら必要な編成を決めていきます。

で、ちょうどSpitfire AudioのAlbion II Loegria (公式サイトは消滅しているため、リンク先は紹介記事)を買ったところで、これが小編成の繊細な響きが素晴らしいため、これを活用することにしました。この音源、今は販売終了で手に入りませんが、手持ちで一番好きな音源の一つです。Albion ONEのように進化版が出るんですかね…

コードとメロディの割り当て

はじめてオーケストラ音源を買った方は、楽器が多すぎてどれをどう使ったらよいかわからない、となると思います。もちろんオーケストレーションには無限の可能性があって、今でも新しいものが出てきていますが、押さえておくべき基本のパターンはそれほど多くありません。

1. 弦でコード、弦でメロ(場合によってはソロで)
2. 弦でコード、木管ソロ、またはそのユニゾンやハモりでメロ
3. ファゴットとクラリネットでコード、残りの木管または弦でメロ
4. トロンボーンとチューバでコード、トランペットまたは複数の楽器のユニゾンでメロ(バイオリンのオクターブでメロディを盛り上げたい場合もこれ)
5. ホルンでコード、木管または弦またはそのユニゾンでメロ(この場合はバスは弦やファゴットで強化すべき)

まずはこれくらいでしょうか。「金管でメロ鳴らして木管でコードとかあり得るんじゃない?」と思うかもしれませんが、まず音量が揃いません。そういうのは基本を使いこなしてからにしましょう。

また、これは骨格なので、それにつけ足す形で別の楽器で声部をなぞったり、オカズを入れることは構いません。というかそうなるのが普通です。

ちなみに上記にホルンが出てきませんが、ホルンは便利な楽器で、上記のどのパターンでも声部をなぞったり、メロディを置き換えたりできます。オーケストラっぽさの要となる楽器ですから、ここだけはちょっと投資した方がいいかもしれません。

構成の検討

ここでは上記5つのパターンからおおまかにどの部分にどのパターンを使うかを決めていきます。私はWavetoneというツールで解析しながら耳コピすることが多いですが、この辺りの作業からは楽譜があると便利です。幸い譜面を公開している方がいらっしゃるので、それを参考にします。

ここで難しい曲だと海外から譜面取り寄せたり色々するんですよ…有名な曲はありがたい。

この曲は(譜面を見るまでもなく)1~8小節目、9~14小節目、15小節以降に分けられ、それぞれ雰囲気が変わりますので、楽器の割り当てもそれに合わせて変えます。ここからはそれぞれA,B,Cとしますと、おおまかにAが1、Bが4、C前半が2、C後半を4としました。ここに、曲の盛り上がりに応じて別の楽器を足したりします。

骨格の編成

さて、これで骨格を作って曲を打ち込み始めることができます。残りの楽器は作りながら足します。

Aは弦のみなので、LoegriaのStrings Hi, Strings Loを立ち上げます。

Bはコードに金管が必要ですので、チューバとトロンボーンを立ち上げます。が、もっと柔らかい音が欲しいのでトロンボーンの代わりにSackbuttという楽器に置き換えます。これはトロンボーンの先祖のような楽器で、トロンボーンより繊細な音がでます。これもLoegriaに入っています。メロディをどうするかは作りながら考えることにします。

Cで新しく必要なのはメロディを弾く木管です。リズと青い鳥を見た影響でオーボエソロに目覚めていたので、ここはオーボエにします(安直)。また、オーボエとオクターブユニゾンや絡みをさせるにはフルートが最適なので、フルートも追加します(安直)。

これでまがりなりにもテンプレートっぽいものができますので、さっさと作って残りは音を出しながらの作業になります。

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