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いつでも読める名作より、今日限りの凡作が読みたくなる不思議。

話題沸騰からだいぶ経ったが『推しの子』を5巻まで読んだのでその感想について話したい。

推しの子、おもしれー。

ジャンルで言えば「芸能もの」で題材もアイドルと現代では随分見慣れた作品だが、この作品はそれに留まらない設定の面白さと時代感覚の反映を感じた。

「アイ」というアイドルに魅せられていた医者の青年と病院暮らしを余儀なくされていた2人が、それぞれの理由で亡くなった後に、「アイ」の双子の子供として転生するお話だ。今まで見たことない気持ち悪さと得体の知れなさが読者の興味を惹きつける作品だ。話の展開もすこぶる早い。

芸能ものの名作『キラキラ!』を知っていますかい?

個人的な芸能ものの好きな作品として『キラキラ!』を挙げたい。かなり推しの子と近いジャンルと舞台をしている作品だ。芸能活動に勤しむ男女の芸能活動と学校生活の両面を描いた作品。内容はあまり言いたくないが、主人公目線で読み続けた先で第3巻を読んだ時の虚無感と、その以降の巻でのやるせない展開には心を抉られた。安達哲先生は『さくらの唄』などでも描かれているが、「日常での表面的だが確かにそこにある幸せと、その裏で蠢き続ける不幸の匂い」がエグすぎる。正直読み終わった際の感想はホラー映画より断然怖い。多分読んだ人の何割かは読まなかった方が良かったと思うだろう。でもこの読後の虚無感に共感できる人が一定数いることは、私にとって生きていく上での救いであるとも思える。機会があればぜひご一読を。

週刊で追い続けられる人ってすごい

ジャンプ+で連載している作品を週刊で追い続けられる人はすごい。私自身漫画系だと電子版ジャンプの定期購読とコミックDAYに加入している。

だが前者のジャンプはために貯めたままでもう一年くらいは読んでいない。ただただ毎月お金が口座から消え、代わりにアプリでジャンプ読む権利だけが与えられている状態だ。

逆に後者のコミックDAYSは2年近く読み続けられている。その理由は明らかでコミックDAYSが定期購読ではなく直近4週分の漫画誌が読めるからだ。つまり今週発売された週刊少年マガジンも4週後には読めなくなる。この「差しせられている感」によってマガジン、ヤンマガ、モーニング、イブニング、アフタヌーンの作品は追い続けることに成功している。名作を見るときの気負いが精神的な負担となり、足を遠のかせる原因となっている人は私だけではないはず。

今の時代消費期限のないコンテンツはその面白さに関係なく、体験してもらえないのではないか。いつでも読める過去の超名作よりも、今日しか読めない凡作の方が価値があると感じるのかもしれない。





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