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名作ボディコピーを味わう時間5日目 -人は、書くことと、消すことで、 書いている。-

毎日ひとつずつ「名作ボディコピーを味わう時間」と称して、
好きなボディコピーを紹介していきます。

勉強のために手書きで読みづらい部分もあるかと思いますが、、そこはどうかごゆるりお付き合いただけますと幸いです。

5日目のボディコピーは、大晦日ということで「書くこと」をテーマにしたこちらになります!

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画像:https://www.tombow.com/corporate-ad/

広告主:トンボ鉛筆さん
コピーライター:岩崎俊一さん
2006年

これを読み解くと・・・

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全体としては、前半:「消す」ってなんだろう?という話を、あるある談で語り、後半:トンボは「消す」をこう考えるし、こうありたいという姿を伝える内容になってます。

個人的学びポイントは

「思い当たるフシ」を他者目線から語られると
自然と引き込まれて共感する

最初の、「消しゴムを使う人を見ると」でシーンの説明がされており、読み手もついつい想像しちゃいます。

きっと誰しもが感じたことであろう「思い当たるフシ」について語っています。
・消しゴムを使う=この人は、いま、一生けんめい闘っている
・どう闘っているの?→「自分の想いを、正しく、わかりやすく伝えるにはどう書けばいいのか。」「真正面と向き合い、苦しみ、迷いながら、でもなんとか前へ進むともがいている」

わかるわかる、何回も消しながら書いてるな・・・と読み進めてしまいます。そして、「なんだかちょっと応援したくなります」「そんなひたむきな想いがこもっている気がしてなりません」と書いてあることで、「消す」って一般的には苦しんでいる、もがいている状態を肯定されてあたたかい気持ちになりました。

岩崎さん自身、実感のこもったコピーを書くことをとっても大事にしてて、『広告大入門』の中でこのように話してました。

コピーには、ちょっと言葉は悪いですけど、ある意味で”生ぐさい表現”が必要だと思うんです。ときどき間違って、少女が書いた詞みたいなコピーを、見てくれと言って持ってくる人がいるんですが、そういう実感のないものというのは、何も伝えないんですね。例えば、生きている魚に初めてさわって、手づかみした魚が指の中でピョンピョン跳ねるのを知って、ビックリしたときの、あの感じ。
(中略)
直に手づかみしたときの感じで持ってコピーを書くべきである、というのが、僕の日頃心がけていることの一つですね。
出典:『広告大全』p.462-463

岩崎さんも消して書いてを繰り返してたり、周りにそういう人がいたりで実感がこもっているコピーになっているのだと思いました。

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そして、このコピーは思い入れが深いのでちょっと思い出話も。

2020年も最後、今年を振り返り、記録や考えや想いをしたためている人がたくさんいますね、わたしもそのひとり。

小さい時トンボ鉛筆を使っていましたそういえば。お父さんのおさがりがたくさんあって、それを使えるのはなんだか特別なことのように感じられた。

はじめて鉛筆を持ったのは、小学生。鉛筆が短くなると、今までいっぱいがんばってきた勲章のような気がしてうれしかった。
だけど大人になるにつれて、わたしの考える相棒は変わっていった。

中学生の時は、シャーペンに憧れて、持ち替えた。
高校生の時は、ボールペンに憧れて、持ち替えた。
センター試験の時、久しぶりに鉛筆を使ったくらい。
そして大学生の時は、パソコンに憧れて、持ち替えた。
家には使いかけのまだまだ使える鉛筆がたくさんある。

考えるときに、何を使ってもそれは自由だしそれぞれの良さはあるんだけど、私の相棒変遷にはネガティブな側面もあった。
悩んだ後を人に見られたくない、自分で整理が上手にできる、スマートなカッコイイ自分になりたいって気持ちが強くて、なんかスマートっぽそうで選んでいたのだ。
(鉛筆でもボールペンでもデジタルでも、整理できてる人のアウトプットを見てると焦った)

いま25歳、最近になって私はまた鉛筆を使い始めた。特に考え事の時。きっかけは今回のコピーだった。

書いては消して、
右手が鉛筆で黒くなって、
机の上には消しかすが出て、
力が強すぎて紙が破れることも。

全然スマートじゃない。けど、書いては消してを繰り返す自分を認めたいし、好きだとも思う。
きっとそれは「人は、書くことと、消すことで、書いている。」の言葉が応援してくれているように感じるからかもしれない。

来年もたくさん書いて、消して、書いていく1年にしていきたいな。

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今日もお読みいただきありがとうございました!
よいお年をお迎えください。

2021年も、お会いできますように。

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