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ド素人の僕が1年でプロの絵描きになった話

始めに


初めまして。鳴海 陽太 と申します。

今回多くの方に「自分が1年間絵とどう向き合ってきたかを知りたい」という意見を頂き、この記事を書くに至りました。

記事を書くのは初めてなので、拙い文で読みにくいとは思いますが…最後までお付き合いください!

1.自粛期間のおうち時間〜4月〜

自分が絵を描き始めたのは2020年4月
この自粛期間で周りと何かしらの差を作りたいと思い絵を描き始めました。後は「ブルーピリオド」という漫画に影響されたのもあって笑

「まぁ何事も三日坊主の俺やし…笑」


ぐらいで始めた事でした

まずは1ヶ月毎日何かしら描くという目標を(一応)立ててスタート。
好きなアニメのキャラ、好きな絵描きさんを模写したりから始めました。
最初の頃は楽しいことが大事!ということだけ知っていたのでとにかく楽しむことを意識しました。

4月の絵(模写)

2.絵の楽しさとTwitter〜5月〜

楽しく描いていたら自然と1ヶ月描くことに成功しててビックリしました笑
何事も続かない自分でも
「あ、好きになれば何でも続くんや」
と気づけました。めちゃくちゃ単純でわかりきったことなんですけど、自分には大きな発見でした。

5月の中頃、友人に

「Twitterつくれば?」

と言われるまま作って絵を載せ始めました。最初はフォロワー0の状態なので

「まずは絵描きさんと仲良くなろう!」

と思い積極的にコミュニティに参加しました。
今でも良くしてもらってる方々が沢山います。

繋がりを持つ=自分を知って貰う

という事なので最初の内は自ら動いて自分の存在と絵を知ってもらいましょう。
後は少しずつでも次第に広まっていくので、最初の行動がキモだと自分は考えます。


3.明確な目的を持った練習〜6月〜

2ヶ月目を終えた頃。自然と上手くはなっていき、苦手な部分が浮き彫りになってきました。
そこで「明確な目的をもった練習」です。

自分が

「イマイチ描けないな〜、線が汚いな〜」

など思っていた所をなあなあで終わらせず。深く考え、何がダメだったかメモを残すようにしました。
何ができてて、何ができないのかの「視覚化」です。
+αで「書く」ことによって覚えやすいという事も満たしていました。
これにより、自分がこの1枚にどれだけ集中して取り組めたか、この1枚で何を得たかが分かりやすくなりました。
つまり成長するスピードが変わる。
今まで適当に終わらせてた所にフォーカスして描く訳なので。単純に練習の効果が上がります。

同時期に「アニメ私塾ネット村」に入会し、自分の苦手な部分の解説動画を漁るなどしていました。
見て描くのは悪いことじゃない!答えはガンガン見ていきましょう!先人が残してくれた技術が沢山ありますから!

4.プロを目指すキッカケ〜7月〜

夏。とあるアニメと出会い絵描きの道を行く事を決心しました。そのアニメは…

「氷菓」

「氷菓」は既に視聴済みだったのですが、当時は何も考えず「わー面白〜」って感じで見てたので、アニメ(作画)に関心を持つようになってから見た時の衝撃が凄かったです。

こんなにも繊細にキャラの心情や動きを表せるんか…!と

自分の目標としている

「武本康弘監督」

の作品との出会いが自分の夢に導いてくれました。

「自分もこんな作品を生み出したい…」

そう思ってしまったんですよね……!

5.クロッキーと模写について〜8月〜

8月特にこれといったことは無かったので
この辺りでクロッキーと模写について自分流を解説したいと思います笑

まずクロッキーですが

「シルエットがあってりゃ変にはみえん!」

です。
全体を捉えることができれば、めちゃくちゃ変に見えることは無いです。なので、まずは全体「シルエット」を捉えるようにしましょう

こんな感じで…

寝ながら描いたんですけど、ちゃんと人に見えると思います…(多分)
かく言う自分もまだまだ捉えきれてないんですけどそこは…
後は流れを捉えることができれば気持ちのいいクロッキーができるかもしれません。
そのモデルの1番大きなラインを最初に「補助線」として入れてやると描きやすいかも…

模写も同じで、シルエットというか大まかな形を取れればめちゃくちゃズレることはないので…目鼻口手足胴みたいな感じで簡単な形に置き換え、アタリをとればいい感じに描けるんじゃ…ないかと…

室井康雄さんの言葉ですが

「全体→中間→細部」

これを守って描きこむと綺麗に描けます。
「線が汚い〜」とか「全体(シルエット)がとれないよ〜」ってのは数やればやるほどできるようになるのでコツコツやっていきましょう。
自分も頑張ります……

実はこの辺でデザイン系専門学校の退学し、アニメの専門学校に入学する事を考え始めてました。

6.初めての挫折〜9月〜

「君の絵からは熱量を感じられない」

9月。某アニメ専門学校の先生にそう言い放たれました。
自分は熱量だけで描いてきたと自負していました。
「技術面」を否定されるのは当然だと思っていたので大丈夫だったのですが…

「自分が絵を描く根源」


を否定された事により、自分の気持ちに自信が無くなりました。
恥ずかしい話ですが…帰り道で泣いてしまいました。それぐらい自分には重い一言でした。
悔しかったです…恐らく一生忘れないでしょうね笑

かなり気持ちが滅入ってしまい、4月から毎日描いてた絵を1週間近く描きませんでした。
そんな時にYOASOBIさんの「群青」という曲に出会いました。
ブルーピリオドをイメージして作られた曲という事もあり、歌詞が自分にもう一度描く力をくれました。
数日学校を休み、外で色んな物を描きました。

今思うと外で実物を見て描く練習を始めるキッカケはここでしたね。
外で描くのは画面を見て描くのと違って実物を描くので立体が見えやすいです。

よく動くのでシワの動き方や、人間の自然な動作を観察できると楽しいかも…!?

7.人生の転機「万バズ」〜10月〜

Twitterが!!バズったっ!!!!


このツイートが一夜にしてバズり…
後に自分の人生を大きく変えます…

6000RT  4万いいね フォロワー2000人増

という数字を叩き出し、絵描き界隈で自分への注目が集まりました。(自分で言うな)

ネットニュースの記事にしてもらったり…

アニメ私塾の室井康雄さんにお言葉を頂いたり…

このツイートの効果もあり、アニメのお仕事のお話が少し来ていました。

しかし数日後…某会社の養成所試験実施の話が舞い込んできます…

8.夢への挑戦と進路に悩む〜11月〜

言うなれば

「自分VSアニメ世界最高峰」

この試験に受かれば自分の夢に間違いなく近道です。
「そんなアニメ界の東大に半年ちょい描いただけで受からんやろ……」
と思いつつも「本気」で受かると思いながらチャレンジを決意。

学校の先生に
「休学して試験に集中したい」
と言った時に
「間違いなく一次審査も通らんやろうけど、やりたいならやれば?」
と言われ火がつきました。俺の力を舐めてんな。と。絶対に一次審査は突破するぞと。

先ずは

「情報収集」

これをしないと非常に戦いにくい…と思いTwitterで養成所試験の経験者を探しました。
しかし…

「全くおらん!!!!!」


閉鎖的な地にあるというのと、受けてる人間の数が少ないということもあり。なかなか見つかりませんでした。

しかし、1人だけ見つかり話を聞くことに成功。
情報は「力」です。
事前の情報があるかないかではかなり差が出ます。心に余裕もできますしね。
これは試験だけじゃなく他のことにも通ずる物なので大事にしています。

これと同時期に、養成所を落ちた時の事を考え
「アニメの専門学校」
に行くか
「会社で新人として勉強するか」
の二択で悩んでいました。

これが少しだけ広まり
幾つかの会社からお声を頂いたのと、多くの人に専門学校に行くのを止められたため
会社に行きたい気持ちが強まりました。(もちろん最優先は養成所)

9.会社の情報収集〜12月〜

会社からお声がかかったからと言って飛びついてはいけない……

そう思い。今回も「情報収集」
知り合いのアニメーターさん達にお声を頂いた会社について聞いて回りました。
すると…

「黒」

とされる会社だったのです…
これはまずいという事で断りを入れました。
しかし1社は評判がよく教育面も良さそうだったので

「養成所試験終わるまで返事待ってもらっていいですか…」

と言った形で(失礼)進路を確保しました。これで落ちても安心…

おい!
「絵の描き方について全く書いてねえじゃあねぇか!」
と思われたと思うんですけど、基本は6、8月に語った事をずっと繰り返してるだけで、自分のレベルに合わせて練習内容を変えていくのが1番だと思います。
ホンマにクロッキーと模写意外やってないんですよ…だから話そうにも…話すことが…

10.VS二次審査〜1月〜

一次審査結果

「合格」

「計画通り」思わず夜〇月みたいな顔になったのを覚えてます。
「学校の先生!見てるか〜?!」

さあ前人未到1年以内に東大合格にチャレンジ
VS二次審査(最終審査)です。

が!

そこにはアニメーションの課題が……自分は全くアニメの描き方が分かりません。(マジでクロッキーと模写しかしてないため)
しかし悩んでても仕方ない…自力で書き上げました。当時中割も分からなかったので完全にパラパラ漫画の要領で描いて行きました笑

そして迎えた面接。間違いなく人生で1番緊張しました。
声が震えて呂律が回らなかったです笑
面接官の人に落ち着いて〜大丈夫だから〜って言われる程に……
基本は緊張しないのですが、人生かかってるとこんなにも変わるんだなと。いい経験になりました笑

半年と少しの期間独学でここまで描けるようになったぞ〜という事をアピールしました。
これはTwitter上でのバズや色んな方々から褒めて頂いたことで自信を持ってたので…
さあ面接官の反応は…!

「半年我流で…いいね。でも……」

「半年ならもっと描けててもいいね」

自分は確信しました。

「あ、落ちるな。コレ」

と。今まで褒められていい気になってただけやったんやと…自分の目標としてる場所はもっともっと上を見てるという事実に震えました。完全に自分が甘かったです。

案の定2次審査にて自分は「不合格」
落ちるとわかっていたにしろ

「悔しくて死にそう」

でした。しかし唯一自分を褒めなかった方々。燃えますよね…
必ず戻ってくると決意し。

次の曲が始まるのです。(伝わる人には伝わる)

11.東京の会社に行く決断〜2月〜

もう後が無い

このままやと春からニート!?(フリーターの間に独学で勉強するのも考えてましたが…)

そこで!
12月から2ヶ月以上返事を待たせていた会社に

「養成所落ちたんですけど、今からでも拾ってもらうことできますか…?」

と連絡した所、快く承諾。
晴れてプロの現場で学ぶことがアッサリ決まります。(一応面接などは受けました)

声をかけてくださった作画監督の方には感謝しかありません…(ありがとうございました…)

12.事前課題と己の無力さ〜3月〜

プロ入りが決まり、会社から事前課題が送られてきました。
引越しやら手続きをしながらではありますが、原トレをしてね。
ということで早速…

「なんじゃこりゃああああ!?!?」

「線がなぞれん!!!!円も!!?直線も!!?全然綺麗に引けん!!!」

画力と動画は全く別物。と聞いてた意味がようやく分かりました。
自分はプロになると言えど使い物にはならん人材なのです。アニメの勉強してないので今思うと当然ですが…笑
オイオイ大丈夫か?という感じでめちゃくちゃ焦りました。

しかし!

「また初心者の1年がやってきた」と思った瞬間ワクワクの方が大きくなりました。
この1年無力な自分を独学で強くした。そこに教えてくれる人がいる。となると自分はどこまでいけるのか俄然楽しみになりました笑

「できないことも、できるようになるまでやればできる。」

の精神で毎日線を引きまくってます。これも6月で書いたことの延長線!

このような形で絵描き人生1年目が終了……

そして…

動画編開幕です!2年目も頑張ります!

13.一年で大事だと思った事〜総括〜

自分がこの1年で大事と思ったことなのですが

「絵は意識」

「何事も熱量」

「上手い人は自分の延長線上の先」

この3つです。

「絵は意識」

の1つで大きく変わります。絵とは言ってますが、言い換えれば「線の集合体」です。
なので極論を言うと漢字の「一」が書ければ絵を構成することは可能なわけです。
大事なのは

「絵の描き方を知ってるか」

という事だと思ってます。絵心が無いという人は「描き方を知らないだけ」なんですよね。(恐らく)

「何事も熱量」

これは絵だけじゃなく、何事もそうだと感じました。「やる気」や「頑張る」よりも「自然とやってる」が1番なんですよね。
「自然とやってる」に持っていくまでが大変なのかもしれませんが……

「上手い人は自分の延長線上の先」

この言葉はプロゲーマーの「梅原大吾」選手の言葉なのですが、本当にこの言葉が自分を支えてくれました。絵描きは自分との戦い。孤独な職業なので気持ちが折れると厳しいです。
とにかく他人と比べず、自分と戦ってください。34分あたりから自分の大好きな言葉があるので、良ければご覧になってください。

そしてTwitterの使い方


これも3つ!


「ツイートは極力絵のこと多め!」

「チャンスは逃さない!」

「ネガティブなツイートは禁止」

極力「絵の事ばかりツイート」した方がいいです。「類は友を呼ぶ」的な奴で仲間が集まりやすくなります。

そして、舞い込んだチャンスは逃さない。これは何事もそうなんですけども…
その舞い込んだチャンス。あえて逃した方がいいのか、乗っかるのがいいのか。正しく判断できるといいですね。これは正解がないので難しいですが…調べれば回避できるものもあると思います…

「絵の事ばかりツイート」してても「ネガティブ」なツイートばかりしていては、見てる側はあまりいい気持ちではありません。

あと、「尖り過ぎたツイート」も控える方がいいかもしれないです。対立意見を産みやすいツイートはアンチに繋がります。勿論全員に好かれるなど不可能なので、変な所で敵を作りすぎないようにしましょ〜

最後に

まずは!ここまで読んで頂いた方々。

ありがとうございました!

「良かった思った方、イマイチと思った方。」
どちらもいらっしゃると思いますが、ここまで読んで頂いたことが嬉しいです。
自分の人生をこうして伝えられることができて楽しかったです!

他にも知りたい事があれば質問箱、DM等でお答えしますのでいつでもどうぞ〜!

ご希望あれば動画のことなど
また1年後とかに書こうかなと思います〜

(新人貧乏アニメーターをサポートして下る優しい方居ればよろしくお願いしま〜す…)(小声)

END

         2021.04.18               ひゅうがくるみ
                                              鳴海 陽太

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