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今年は帰郷できないので、グーグルマップ帰郷しました。つづき。

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母と二人でお花見・告白された話

 カブトムシ公園です。カブトムシはいないんですが、大きいカブトムシがいます。目の前に川が流れていて、春になるとこの辺はぜんぶ桜になります
 ここで母と花見をしました。母は突然、出かけようと言い出すことがよくありました。この時も、突然花見をしようと言い出してお弁当をベンチで食べました。
僕はもう中学生になっていて、「知り合いに見られたら恥ずいな」とか考えていてあんまり話せませんでした。母も自分から誘ったのに何か話すわけでもなく、ただただお互い無言のまま、桜と陽に包まれてご飯を食べました。母と二人っきりで花見みたいなことをしたのは、それが初めてでそれっきりかもしれません。

あとここの向かいの今はないレンタルショップの前で告白されました。こんなところで?!ってくらい車通りの多い普通の道です。
 S君という友達と帰っていたら、S君と仲のよかった女の子が二人現れました。僕はどちらのことも知ってはいるけど、しゃべったことはないくらいでした。
一人の髪の長い褐色肌の子がもじもじしながら、もう一人に背を押されるようにこちらに近づいてきました。「ははーん。これはS君に告白するんだな」と思った僕は、気を利かせて一歩後ろに下がりました。すると女の子はS君を越えて一歩僕の前に来て告白してきました。
 いま考えたら、S君もグルだったんですね。いっつも一緒に帰ってたし、いっつも同じ道を通ってたし。なんなら別にS君とその子はよく遊んでるんだから、こんなところで言う必要ないし。

あとは本を読みながら歩いてたら、頭ぶつけた電柱もこの辺です。歩く速度ってゆっくりのようでいて、打撲には十分の速度出てるんだなとか思いました。
あと、プリッツ食べながら歩いてたら知らないおじさんに「行儀が悪い!」って怒られたのもこの辺です。

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E君の恋・不良の告白

この路地の先の角を曲がるともう学校です。
 ここを歩いているときに、E君という友達に恋愛相談をされました。E君は小柄な柔道部少年で、一年生の時はずっと彼と遊んでいました。彼はB’zを僕に教えてくれ、タバコを吸うわけでもないのに父親からもらったジッポを携帯して、普段は隠れて吸っているんだよね感を出したりしてました。吸ってはなかったです。
 彼は柔道の技をよくふざけて僕にかけてきました。一本背負いは、本当に地球がグルんと一回転するみたいでした。
 そんな彼は、人生で初めて恋人ができました。Tちゃんという僕も仲のよかった女の子でした。その子に頑張って1万円もする指輪をプレゼントして、毎晩電話をかけていると炎天下のアイスクリームみたいににやけながら話していました。でも一週間くらいで「電話に出てくれないんだ」というようになりました。
 その次の週、担任の先生に僕は呼び出され「山下。お前Eと仲いいだろ?Eが毎晩電話かけてくるのが困るってTの両親から相談されてるんだよ」
 あんまりよく知らないとか言ってごまかして、そのことはE君には黙っておきました。
 E君はその後「指輪を返してもらったから、次つきあう女の子の時は買わなくていい」と目を潤ませながら、また炎天下のアイスクリームみたいな笑顔で言っていました。

 あとは同じクラスの不良に「俺、○○が好きなんだけど、どう思う?いけると思う?」と聞かれたのもここでした。なんで俺に聞くんだ?とか不良なのに好きになるのは普通の清楚系なんだ、とか思いました。
そのあとなぜか女の子の家の前までついて行かされて、インターホンで告白するのを見せられました。断られてました

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ここが中学の正門前です。
入ってすぐのところに池があって、毎年誰かがそこに落ちるというのが恒例でした。
この路地。懐かしい。大体この路地にすぐに帰らず何となくたむろして、だらだらしゃべったりしてました。
野球部の奴らはなぜかこういう路地とか、廊下とかで腕立伏せを始めたり、金属バットで素振りをしたりし始めるので怖かったです。

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 ちょっと広島感も出したほうがいいと思ったので原爆ドームです。さっきの中学から歩いたり、路面電車に乗ったりして15分とか20分くらいで行けます。

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広島城です。毛利元就です。三本の矢です。

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頭蓋骨、トランペット、誰もいない。

 最後に僕がすごく好きな場所です。家の近くを流れる太田川です。東京で言うと玉川みたいな大きい川です。
 中学生の時に母親が誕生日に買ってくれたMDウォークマンを持って、ポケットにMDを十枚くらいぱんぱんに入れてずっとこの河原をウロウロしていました。
 いつ行っても誰もいないので、一人で大声で歌いながらずっとこの河原を散歩していました。この場所が好きでした。
 
 奥に分け入っていくと、誰も手を付けっていないような藪があります。藪の中には、切り株があってその周りだけなぜか草が生えていません。そしてその切り株の上には、小動物の頭蓋骨がおいてありました。
 怖いのでそれ以来その藪には入ってないのです。多分いまはもうない。

 あとはたまにトランペットを吹くお兄さんがいました。河原が好きなので、東京でもよく河原に行くのですが、大体トランペット吹いてる人いますね。
河原に吸い寄せられるトランぺッター。

 友達と遊んだりするのは、楽しかったけど中々クラスになじめない子供でもありました。特定の中の言い友達や、部活の友達意外とはどう接していい変わりませんでした。みんな急に大人びて、その当時はまだそんな言葉は使われてませんでしたが「カースト」の中で自分がどういう立ち位置なのかをみんなが気にしてる感じがありました。
 その雰囲気になじめず、隠れるように休憩時間になれば本を広げる。隠れて短歌を書く。放課後の部活だけが楽しい。
 そんな僕にとって、誰の目も気にせずに大声を出したり、川をじっと眺めたり、積んである刈られた草に飛び込んだり出来る場所がこの河原でした。
 

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 最後に昔は郵便貯金ホールだった建物です。
 ここに歌手の人がコンサートに来たり、劇団四季が公演に来たりします。
 僕が中学生のここで行われた織田裕二のコンサートに母に無理やり連れていかれました。踊る大捜査線は見てたけど、彼が歌うことには全く興味がありませんでした。
 母と二人でコンサートに来ている恥ずかしさと、コンサートみたいなキャーキャーしたものには興味はないぜ!という態度を見てない誰かにアピールするために、「普段は地面に埋まっている、引っ張り出してチェーンとかをつけることができる支柱」にけだるそうに腰掛けました。

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この埋まってる銀色の丸ですね。
その支柱は、僕が座ったとたん、ズゴッズブッズゴッと音を立てて沈みこみ、穴の中からはたぶん雨水が噴水のように飛び出てきました。
 周りの着飾った女の人たちが一斉に、アスファルトに転がっている僕を見ます。
 お尻は漏らしたみたいにビショビショでした。今からコンサートに行くのに。
 コンサートには入れました。コンサート中に隣のお姉さんが大きな声で、織田裕二に「ずっと待ってた」と叫んでました。それしか覚えてません。
 お終いです。
 広島はいいところです。来年は帰れるようになっていてほしい。

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