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二次障害を予防する・・の意味

これまで予防するべき当然のこととして、事故と二次障害を上げてきました。二次障害とは、例えば褥瘡、体の変形、関節の可動域が狭くなっていくこと、消化不良、嚥下障害・・など、いろいろな障害があります。

今回は、なぜに二次障害を防ぐのか・・その先の世界について考えたいと思います。

車椅子ユーザーを悩ませる二次障害の多くが、姿勢によって起こります。確かに、正しい姿勢をキープするのは優しいことではありません。私もついついお尻を前に出して背もたれに頭を持たれかけたり・・そんな姿勢をとってしまうことがあります。

ただ、楽な姿勢ばかりをとると筋力が低下していきますし、同じ姿勢ばかりだと使わない関節は動きが悪くなり、そして体が変形していきます。

では、体が変形するとどのような弊害があるのでしょうか? 

足首の関節が90度曲がらなくなる尖足は、足の裏が地面につかないため、立位が取れなくなります。膝や股関節も定期的に伸ばさなければ動きにくくなり動く範囲が狭くなっていきます。背骨が変形した人の中には、肋骨と骨盤とが着きそうな方もいらっしゃいます。

今までの介護現場では二次障害について、オムツ交換が大変になる、清潔が保てない、褥瘡リスクが高くなる・・など介護上の話が中心でした。そんな話ばかりを聞いていたら、頑張って予防しても、と思うかもしれません。

世界が今のままでしたら、まあ・・しかたない。というのもありかも。


しかし、あなたの未来には今とは違う世界が広がっています。脳からの信号を筋肉に伝える装置も、筋力を補うパワースーツも、そう遠くない未来には実用化され普及しているでしょう。

あなたの障害や疾患が何かにもよりますが、多くの不可能がカバーされる未来を想像してください。

装着するだけで筋力とバランスを補って、立位が取れ、歩行もできる外骨格スーツができた時のことを。同じように車椅子を使っていた方でも、二つに世界が分かれます。スーツを装着して可能性が広がる方と、装着できなくてなぜ、あの時・・と後悔する方と。

そのポイントが、二次障害です。

車椅子やほとんどの補装具がそうであるように、サイズや形のバリエーションはあるにしても、基本は工業製品です。基本のボディを元に設計されています。あなたはそのスーツを装着できる体形をキープできていますか? 関節は外からの力があれば動く状態を保っていますか?

進歩した技術を享受するための条件をキープするのは、あなた自身しかいないのです。地道でも、疲れても、本当にそんな日が来るかどうか、わからなくても。それでも諦めずに行動し続けた人が、技術を受け取ることができるのです。

未来の可能性を、自分自身で閉ざしてしまわないように。二次障害を予防しましょう!の言葉の中には、そんな未来への展望が秘められています。

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今回、これを書くことはためらわれました。私の知っている方の中には、すでに重度の変形をお持ちの方がいらっしゃるからです。二次障害をお持ちの方が読んだら、悲しい気持ちにしかならないのではないか。心は今もブレーキを踏んでいます。

不快に思われた方には、謝意を表したいと思います。

そして、二次障害の意味が、従来の介護・福祉で語られてきた内容とは変化してきている今、予防できる方がいるなら、未来の可能性を見据えて自分の体と向き合って欲しい。その想いで書いています。

私の言葉は、馬鹿のひとつ覚えです。「二次障害を予防しましょう」。




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