【緊急検証】 西武ファームは9回だけ自操作では?劇的な試合を振り返る。
今年5月18日。初夏の蒸し暑さの中、CAR3219フィールドで行われたイースタン・リーグ埼玉西武ライオンズVS東京ヤクルトスワローズの試合でプロ野球ファンを驚愕させた出来事が起きた。それこそ「7点差逆転サヨナラ勝利」。0-7と一方的だ試合を西武二軍は9回裏のみで10点をとってサヨナラ勝利。スコアボードに煌々と光る「10×」の結果を残し、劇的に試合の終止符を打ってみせた。
実際の事例
・ケース1 今年初のサヨナラゲーム
3月24日・二軍・CAR3219・L5×-4DB
DB 020|000|200 4
L 000|011|102× 5
イースタン・リーグ開幕後ホーム3戦目。一軍を狙う渡邉勇太朗、WBCから帰還したヘレラなどが登板した試合は接戦となる。2-2で迎えた7回。3番手菅井が打ち込まれ2点ビハインドの展開になるものの、直後の攻撃で岸潤一郎にソロ本塁打が生まれ、すぐさま1点差と迫る。そのまま試合は進み9回裏。ワンアウトから長谷川がヒットで出塁すると、続く蛭間が四球、高木がヒットで満塁のチャンスを作る。絶好のチャンスで打席には4番ブランドン。5球目の変化球を捉えると、打球は雨を切り裂き外野にポトリ。今季初のサヨナラゲームとなった。
・ケース2 戸田で連日の同点劇
3月28日・二軍・戸田・L2-2S
L 000|000|002|000 2
S 000|200|000|000 2
開幕の足音が近づいていたこの日、西武は松本、今井が登板、ヤクルトもサイスニードが先発と一軍開幕ローテに入り込む選手が出場し、試合はロースコアな展開に。なかなか点がとれずにゼロが続いていた打線は最終回、先頭の古市が四球で出ると、続く中山が逆方向にツーベースを放ち同点のランナーを得点圏に置く。打席には蛭間拓哉。初球を打つと、打球はセンター前に落ちる同点タイムリーとなった。
3月29日・二軍・戸田・L5-6×S
L 010|000|202 5
S 000|000|501× 6
その翌日、この日は開幕ローテが確定している隅田と、WBCで出遅れてい高橋奎二の投げ合いとなった。6回まで試合を有利に進めていたものの7回裏高卒ルーキー山田が打ち込まれ逆転されてしまう。そのまま2点差で迎えた9回。相手の失策でランナーを置くと、中山が2試合連続となる9回にツーベースを放ち、チャンスメイク。ツーアウトと追い込まれたが、この日すでに本塁打を放っていた滝澤夏央がセンター前に同点タイムリー。試合には敗れたものの諦めずに戦い抜いた試合だった。
・ケース3 山賊の予感。。。8点差をひっくり返し勝利
4月1日・二軍・CAR3219・L12-9G
G 044|100|000 9
L 005|005|02× 12
隣のベルーナドームで開幕カード2戦目が行われる中、CAR3219フィールドでは渡邉勇太朗が先発。しかし、序盤から打ち込まれ3回終了時点で0-8の大量リードを許してしまう。反撃したい打線は3回古市のヒットを皮切りに長谷川、高木のタイムリーなどで5点を返す。ビハインドが4点に広がった6回。相手の2つの失策と蛭間のタイムリーで追いつくと、代わった5番手高木京介から呉念庭がタイムリーで勝ち越し。8回にも高木、呉のタイムリーでダメ押し点をとり、そのまま12-9で勝利した。荒れた渡邉の後を受けた張、黒田、田村が無失点でバトンを繋いだことで掴んだ逆転勝利だった。
・ケース4 またこの男が決めた。3点差逆転サヨナラ勝利
5月3日・二軍・CAR3219・L7×-6F
F 110|200|200 6
L 010|001|014× 7
日本ハムとの公式戦。先発挑戦中の宮川が4失点、2番手の公文も2失点と序盤から失点が嵩み、川越が1試合2発と反撃も9回表終了時点で3点のビハインドを背負う。相手投手は一軍経験も多い井口和朋。先頭の齊藤誠人がヒットで出塁すると、打撃好調のモンテルがツーベースでチャンス拡大。続く蛭間がこの2人を返すタイムリーを放ち瞬く間に1点差に。続くバッターは長谷川信哉。
長谷川は・・・
と高卒3年目ながら4度のサヨナラを決めている勝負男。期待がかかる打席の2球目、甘く入った変化球を捉えると打球はレフトへ一直線。プロ初の「サヨナラホームラン」となった。(2年前も5月3日にサヨナラ打)
後日、その打棒が讃えられ一軍に昇格した長谷川は5月16日の日本ハム戦。試合終了まであと1人の土壇場で試合を振り出しに戻す鮮烈なプロ初ホームランを放った。
・ケース5 3軍の意地!連日の勝負強さ発揮!
5月10日・三軍・横須賀スタジアム・L7-7神奈川FD
L 002|110|003 7
FD 102|300|001 7
BCリーグ神奈川フューチャードリームスとのBC交流戦。イースタンリーグの休養日にあたる日付で組まれている試合だが、出場選手は病み上がりからの復帰や育成目的などで作られた「三軍」である。その三軍初の遠征試合。先発のへレラが初回からリズムに乗れず、守備のミスも絡み点をとってもとられる試合展開が続く。へレラが降板すると、三浦、豆田、水上が試合を落ち着かせるリリーフを魅せ流れを運ぶ。2点ビハインドの9回。先頭の川野涼多がライトスタンドへ。押せ押せムードの中今度は相手チームに守備のミスが生まれ、チャンス拡大。仲三河優太のショートゴロフィールダースチョイスで同点にすると、続く野村和輝がきっちり犠牲フライで勝ち越し。裏に追いつかれたもののNPBの意地を見せた。
5月11日・三軍・県営大宮・L8-8埼玉武蔵HB
L 003|010|103 8
HB 300|100|130 8
その翌日県営大宮球場にてナイターで行われたBCリーグ埼玉武蔵ヒートベアーズとの埼玉ダービー。先発の赤上が初回いきなり3点で失うが、是澤涼輔のプロ入り後初のホームランなどで試合は2日連続競った展開を伺わせる。8回マウンドに上がったのは前日好投の豆田。しかしこの日はヒートベアーズ打線に掴まり3失点。ラストイニングのみを残した中で試合を決定づけてもおかしくない失点をしてしまう。そして9回表。2日連続9回表先頭バッターの川野が安打、牧野が四球、仲三河が安打で満塁のチャンスを作ると、続くコドラドが左中間を真っ二つに破る2点タイムリーで1点差に追い詰める。続くバッターは9回に強い中山誠吾。振り抜いた打球はレフト前へ。仲三河が帰還し、2試合連続土壇場で同点に。野手10人のみの三軍の選手たちが見せた意地の塊だった。
・ケース6 未曾有の劇的勝利 あれよあれよの10×
5月16日・二軍・CAR3219・L10×-7S
S 211|011|100 7
L 000|000|0010× 10
序盤からチマチマと点を取られ9回表までで0-7。打線も相手先発山野太一に8回まで0で抑えられ試合はこのまま終わろうとしていた。9回裏ヤクルトは2番手大下佑馬にリレー。このまま終われない打線は先頭の渡部健人が代わり腹の初球を叩きソロホームラン。この一打で尻に火がついた打線は打ちに打ちまくりヤクルトがコツコツとった7点を1イニングで追いついてしまった。なおも1アウト1塁。サヨナラのランナーとなった川越を1塁に置き、このイニングの先頭打者渡部が2本目のヒットを放ちチャンスメイクをすると、打席はマーク・ペイトン。3球目を砕くと打球はベンチからの大声のエールを乗せライトホームランゾーンへ。7点差を追いつき、そして追い越す未曾有の7点差逆転サヨナラ勝利となった。
・ケース7 一軍を目指す男たちの劇的逆転をもう一度
5月19日・二軍・森林どり泉・L8-3E
L 000|010|007 8
E 000|120|000 3
「10×」から中3日。場所を森林どり泉へと移動し行われた楽天戦。序盤から楽天先発塩見貴洋に抑えられ9回開始時点で1-3。相手は4番手西垣雅矢にバトンを託した。先頭の呉が四球で出塁するとブランドンがヒットで同点のランナーが出る。相手のミスで二・三塁とすると復帰調整の源田壮亮に代わって出場していた山野辺翔がセンターに運び2者が生還し同点。是澤がバントで送り、岸、西川も出塁すると、川越誠司がレフトへの勝ち越しタイムリー。続く渡部が走者一掃、呉もタイムリーと気づいたら7得点のビックイニングとなり試合をひっくり返した。
・ケース8 相手が一軍レベルだろうと関係なし オトコハダマッテサヨナラスルダケ
5月25日・二軍・CAR3219・L5×-4DB
DB 000|210|100 4
L 020|100|002× 5
川越のホームランで口火を切ったこの試合はとってとられの接戦を呈する。羽田のアクシデント降板後3番手として登板したのは先発調整中の宮川哲(翌日から4日間二軍の試合がないため調整登板)。しかし7回相手の1番打者蝦名に本塁打を浴び、リードを許す。追いつきたい打線は7.8回とランナーを出すものの得点とはならず。そのまま迎えた9回。マウンドには一軍経験も豊富なエスコバーが上がる。先頭の呉念庭が安打で出塁すると続く川越誠司が二塁打で同点、サヨナラの2人のランナーを得点圏に置く。このチャンスに古市尊が外野フライを打ち上げ同点に。その後ランナー3塁でバッターボックスにこの日プロ初降格の児玉亮涼。2球目。低めのボール球を捕手が捕れず3塁ランナーが生還し、今季4度目の逆転サヨナラとなった。
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