台本制作振り返り② 悪の幹部耳かき

ごきげんくるっくー!

台本制作話第二弾。今回は悪の幹部耳かきについて語っていこうかと思います。
順序的に言えばこれ四作目なんですけど、まぁ、その辺は書こうと思ったものから書いてるだけなので……。
(ゆるボイ!リンク→ https://yuruboi.com/script/5031)





この記事を読む前に

この記事は、台本についてくるっくー自身の考えを述べたものでありますが、特定の演じ方・聴き方を強制するものではありません。台本、および台本を元に作られた音声作品について、解釈の仕方は個々の自由です。

逆に「自分の中に絶対的な解釈が存在し、それを崩したくない」という場合は、読まずにブラウザバックをおすすめします。
以降を読み進める場合、上記内容をご理解いただいた上でお願いします。



台本あらすじ

「正義の味方」であるあなたは、世界征服を目論む悪の組織の女幹部と相対するが、戦いの末拘束されてしまう。
そして、あなたのもとに、耳かきの魔の手が忍び寄る……。



テーマ

悪い女に耳かきで負かされたい!!!

……いや、軍人尋問耳かきと同じじゃないかと言われると、まあ確かにそうなのですが、あれは一概に悪と言い切れない部分もありますから。(聴き手視点では明確な悪人なのですが)
一応、あの人はお国のために反抗分子を取り締まってる訳なので、ね?

次はもっと悪に振り切った、いかにも~な人に耳かきしてもらおう! ということで書き始めました。
そうなると、演者は悪の組織の一員で、聴き手は正義のヒーロー……となるのはまさしく必然なのです。「負ける」といえば勇者か正義の味方ですから!(偏見)

あとは、前回の記事で言及したんですが、元々台本を書き始めたきっかけが「悪の組織の耳かき欲しいな~」だったので、シチュエーション自体は最初から頭にあって手をつけやすかった、というのもあります。



作品解説

導入

ふふっ、散々手こずらせてくれたけど、流石にこれだけの人数を相手するのは無理だったようね?
卑怯? それは誉め言葉として受け取らせてもらうわね。

皆はもう下がっていいわよ。
ご苦労様。あとでご褒美をあげるから、各自、持ち場に戻ってて頂戴。

のっけから悪い奴ですね~。

こうして今振り返ってみると、それほど長くないセリフながらも、聴いてて情景が想像しやすいし、幹部の手段を選ばないやり口が表現できてるしで、良い導入なのでは? と自画自賛しちゃいます。言葉の経済効率が良い。

卑怯だと罵られようが、意に介さないどころか煽り返すほどの余裕ぶり。
この台本では全体的に、敗者(聴き手)を挑発するような言動をメインに据えています。

ところで、耳かきボイスで、その場に掻き手でも掻かれ手でもない第三者がいるというのは、結構珍しいのではないでしょうか?


(近づいてくる足音)
さて、それじゃあ、仕上げに入らせてもらいましょうか。

二人きりになってやることといったら、知ってるでしょ? そう、耳かき。
あなたも、この耳かきに屈して、私たちの仲間になるの。

軍人耳かきとは異なり「耳かきで堕とす」ことへの共通認識があるパターンです。
聴き手からすれば、いよいよ目の前に危機が差し迫ってきて「や、やめろ……!」と抵抗する……というようなイメージです。なので皆さんは是非聴きながら「や、やめろ……!」と口にしてみてください。

ここに限らないですが、台本を書くときは聴き手側のセリフも想定しながら書いています。ただ、そのセリフ自体はなるべく演者に言わせないことも意識しています。いわゆる復唱というやつですね。

まあ、軍人耳かきで1回やってるんですが。復唱……。(あれはどうしても言葉にしないと伝わらないと思ったので)


さ、膝枕をしてあげまして~……。
(膝に頭を載せる)

正義のヒーロー君、今までの自分とお別れする覚悟はできた?
さあ、耳かきを入れてくわよ……♪

ここのセリフめっちゃ気に入ってる~。

「お前を悪へと寝返らせてやる」の言い換えとして最高にクールだと思う。
(個人の感想です)


耳かきパート①

このまま負けたくないという思いと、耳かきの心地よさが、心の中でせめぎあっているわよね? うんうん、その気持ち、よ~くわかるわ。
でも、大丈夫。
だんだんと、心が耳かきに染め上げられていくから。

軍人耳かきでも出ていた、見透かされたいという願望の表れですね。
そして最後の一言で「自分でない自分にされてしまう」という恐怖を煽る。導入に引き続きですね。


私の部下達、優秀だったでしょう? あの子たちも、最初はあなたと同じだったのよ。

み~んな、私のことを倒してやる!って息巻いて、立ち向かってきてね。それでも、ひとたび耳かきをしてしまえば、従順な子分に早変わり。

そして、今日また一人、耳かきで負けちゃう子が増えると。ふふっ、楽しみねぇ?

ここで新たに明かされる事実。自分が戦っていた構成員たちは元々自分と同じ立場だった。
自分の末路が具体的になるとより「嫌だ……嫌だ……!」感が出てきませんか?

というか、ここまでを改めて見返してみると、何度も「お前は悪堕ちするんだ」的なことを言ってるな……。
思ってた以上に煽りっぱなしだった。

さあて、様子はどうかしら、っと……あら? あなたのその目……。
驚いたわ。まだ反抗の意志が残っているのね。

普通ならもう完全に堕ちちゃうところなのに、あなた、と~っても決意が固いんだ。嬉しいわ。だって、よっぽど私のことが許せないんでしょう?

ヒーローは簡単には負けない!!

いや、ここ迷ったんですよね。さっさと堕としちゃってもいいんじゃないかなって。
ただ、いい展開(後述)が思いついたので、まだ耐えさせることにしました。配信のチャット等でもう負けちゃってたって人いたらごめんね。難しいよね初見の時点で負けるタイミング合わせるの……。

にしてもまた煽りよる。

それじゃあ、折角だから、ゲームをしましょう。
反対側の耳かきが終わっても、まだ屈しないでいられたら、今日のところは逃がしてあげる。

なんか始まった!
わずかな勝算をエサに無駄なあがきをさせられる、ここは完全にBB(Fate)の影響を受けてます。


耳かきパート②

ふふ、必死に抗おうとして、可愛いわ……♪
ほんのわずかな勝算にすがるあなたの姿、私にもっと見せて?

ここ、ついさっき言った内容ですね。

……そう。私に苦しめられた人達の思い、それがあなたの原動力なのね。
なんて感動的なストーリーなのかしら。お姉さん、思わず涙が出そうになっちゃうわぁ。

ちょっと説明感ありますが「こいつは悪い奴なんだ」ということを改めて印象づけるねらいもあります。絶対に負けないぞ!
そしてしっかり煽ってきます。

……ねえねえ、その人達っていうのは、どんな人なの? どんな見た目で、どのぐらいの年齢でぇ……。

……あら? あらあらぁ? どうしたの? 何だか答えに詰まっているようだけど。
まさか……思い出せない、なんてこと、ないわよねぇ?

はい。その心の動揺が、命取り。

ここが先ほど言った「いい展開」ですね。誰のために戦っていたのか思い出せなくなることから、精神を保つ拠り所が失われて、一気につけ込まれると。


ねぇ、あなたはこれまでずっと、たった一人で戦ってきたのよね。
正義の名のもとに、毎日のように、戦闘に駆り出されて……。
もう、十分頑張ったと思わない?

別に私は、あなたをいじめたい訳じゃなくて、
ただ、一度ぐらい、自分の本当の気持ちに従ってみてもいいんじゃない? って思ってるの。

簡単なことよ。
たった一言「気持ちいい」って言うだけでいいの。
それだけで、心の中のもやがすーっと晴れていくから。

耳かき攻撃でふにゃふにゃにした後の、仕上げのターン。
優しく寄り添う振りをしてみせて、敗北宣言を口にさせて完了……です。

ご使用実績

(2024/5/1時点で、くるっくーが把握しているものを掲載)


  • 桃奈みゆい様

  • 瑞希様

  • 音枝優日様

  • 雨月ミツル様


おわりに

軍人耳かき以上に癖(へき)が出てるかもしれない。耳かきで負けたい!!!

まあ耳かき自体がSMじみたものですから……(?)
見下ろされながら一方的に耳をいじくられることもそうですし、無防備な鼓膜をさらけ出している訳ですからね。一種のプレイです(??)

というわけで、ここまでお読みいただきありがとうございました!

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