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時尾宗道高弟講録の読解【4】

五、宗忠様がかつて尺所(岡山県和気郡和気町)より帰られる道中に、河本村の森丈八郎宅へお立ち寄りなされようとして砂川を渡られることがあった。その際には雨が降った後だったので、砂川が洪水となり水位がまだ下がっておらず、板を多く並べて渡し橋としていた。これを渡られる時、いつもと違って、水かさが多いので、ふと御心を動かしてしまわれたようで、その日の丈八郎宅での御講釈に

さて、今日当家へ参りがけ砂川において、思いがけないことに御心を動かしてしまった。わが魂を痛ましむることなかれとある。天照大御神様の御神宣に背いてしまったこと、取り返しもならない勿体なく恐れ多いことを行ってしまいました。皆様方にも、どうぞ油断しないように御神宣の意味をあつく御守りなさって下さい。

と仰せになられた。

さて、世の人々の日々の生活においては、このようなことはいつも起こってしまうことで、自分の心を痛めることがあっても勿体ないことと思う心も無いので、神様と仰がれる人は御心がけも格別であるものと、その場にいた人々みな深く感心されたようである。

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参考文献:「高弟歌文集」黒住教日新社 発行