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俺とF²-FRIGHT FLIGHT-@那須ハイランドパーク

色々とツラいコースターだった

初乗車:2022年9月3日
好きなセクション:無し

 めて吊り下げ式コースターに乗ったのは2009年だった。場所は志摩スペイン村パルケエスパーニャ。名機と名高いピレネーに乗った俺は、足元が無いだけでこれほどの解放感なのか!と感心した覚えがある。一方で今回のテーマであるF²はどうだろうか。あまりのヘッドシェイクぶりに閉口してしまった。

 須ハイランドパークの外れにF²は設置されている。まるで”ビレバンに売ってる合成着色料マシマシの輸入菓子”のような毒々しいレールの色は、視界に入ると嫌でも目に付く。空中に張り巡らされた複雑なレイアウトは、外から眺めているだけで、ハードなコースターであることは十分に理解できる。

こういう色のお菓子は絶対体に悪い

 のF²、蘭Vekoma社製のSuspended Looping Coaster(SLC)という機種。初号機は1994年にVekomaのお膝元、オランダのワリビ・ホランドというテーマパークに設置されたようだ。翌95年、那須ハイでの稼働をきっかけに(※1)、国内でも複数個所に設置された。記事を書くにあたりRCDBを見ていたのだが、驚いたことに、97年に行われた国際ゆめ交流博覧会という展示会にも期間限定でSLCが設置されていたらしい。吊り下げ式という見た目のインパクトと、ループを中心とした激しいエレメント。B&M社のインバーデットと共に90年代後半の日本で爆発的にヒットした機種であった。

 々雨が降っていたからか、F²のエントランス付近は少し閑散としていた。入口上部にはその存在感をアピールするかのように、デカデカと看板が掲げられている。FRIGHT FLIGHT、直訳すると”恐怖の飛行”なのだが、その頭文字を取ってF²と略したセンスは素晴らしい。”名称のカッコいいコースター全国ランキング”があれば上位に食い込むこと間違いなしだ(※2)。

ネーミングセンスは◎

 安全装置はU字ハーネスに、座席とハーネス固定用のベルト。シートはゆったりと腰を据えれるタイプで安心感がある。またハーネスがやや特殊な形状をしており、自分の肩から上が非常にごつくなる。まるでアメフト選手みたいだぁ…(直喩)。

座り心地は快適

 員のハーネス確認の後、発車したライドはすぐさま巻き上げに入る。左には那須高原の雄大な景色、右には今から振り回されるであろうテクニカルなレイアウトが見える。

巻き上げ中

 ァーストドロップは右旋回をしながらの降下だ。先頭車両ということもあり、やや自由落下開始までにもたつきがあるものの、景色が開けていて気持ちが良い。加速を始めると一気に地面スレスレまで急降下し、1番目立つエレメント、ロールオーバーに突入する。垂直ループとインラインツイストを組み合わせたその形状は、天地が逆になる度に、耳を強打する中々ハードな挙動だ。もうこの時点で若干グロッキーになる。

ファースト後の一コマ 既に振動がヤバい
ハート型のエレメント "ロールオーバー"
ぐりんぐりん

 の後、オーバーハング気味に左旋回した後、駅舎横のピットに向けて急降下。降下中は直進しかしていないのだが、何故か横揺れがまあまあ発生している。大丈夫なのかこれは。

係員のおじちゃんが見守る中、高速で駅舎横を通過

 ット通過後、ライドは一気に上昇してサイドワインダーに突入。垂直ループすると見せかけて、右に90度レールが折れ曲がる。体がぶん回され景色が反転し、今自分がどの地点を走っているかとか、週明けの会議内容など全て些細な問題に思えてきた。

 イドワインダーで振り回された後は、右に大きく旋回し、地獄の2連インラインツイストだ。レールを軸に360度ぐるぐる回る単純なエレメントだが、F²最大のヘッドシェイカー部分はここだろう。千と千尋に出てくる”カオナシ”のような情けない声を上げながら(※3)、強烈な振動に耐える。俺は修行僧か何かだろうか。

サイドワインダーとインラインツイスト 眺める分には現代アートみたいで面白いと思う

 ンラインツイストを耐え抜いた後、大きく右旋回しながら最後のブレーキポイントへ向かう。ここら辺になると位置エネルギーも残り少なくなり速度も低下、横揺れも収まってくる。やっと終わった…。

最終ブレーキへGO!

 SLCの乗り心地の悪さは噂に聞いていたが、噂通りの激しさだった。レールの繋ぎ目が粗いのか、経年劣化なのか、エレメントを通過するたびに揺れが発生する。確かに世界中でヒットしたモデルではあるものの、楽しいかどうかと聞かれると微妙だ。”マクドナルドが世界で一番売れているファストフードだから、世界で一番おいしい食べ物理論”と似通ったところがあるかもしれない。売れた機種だから楽しい、面白いというのは直結しない。先述したピレネーは連続乗車できるほど体へのダメージは少なく、実際3連続くらい乗って楽しんだ記憶がある。ただ、今回のF²に関しては絶対連続乗車は出来ないなと感じた(※4)。


注釈
※1 那須ハイへの導入は1995年ということで、世界的に見てもかなり早い段階でSLCを設置したようだ。Qラインの長さから、当時の那須ハイの力の入れようが伺える

※2 個人的にカッコいいなと思う名称は、神戸ポートピアのBMR-XやエキスポランドのOROCHIなど

※3 超有名遊園地レビューサイト”Theme Park Review”の管理人、Robbさんも同じ個所で唸ってたので多分みんな嫌いなんだと思う。『This is just like chinese SLC!』ってなかなか凄い事言ってて草

※4 この日、那須ハイへ訪れた仲間の中で1人北海道出身の奴がいた。彼はルスツリゾートにあるSLC"ハリケーン"を体験済みで、俺を含め他のメンツが乗車後グロッキーになる中ピンピンしており、もう一回乗ろうと提案していた。どさん子はSLCに強いんだなぁ…(偏見)

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