いい夫婦の日の思い出
『いい夫婦の日』の私の思い出をお話ししようと思う。
とはいっても、そこまで甘い話ではない。
当時、会社員だった私はある日突然働けなくなった。
原因はうつ病である。
在宅勤務中、突然ぼろぼろ泣きだしてしまった。
仕事がつらくてつらくて、でも全然終わらなくて、どうすればいいかわからず泣いた。
それまでの激務に加え、結婚、引っ越しと短期間で環境が変わったことも大きかったと思う。
同じく在宅勤務中であった夫が泣いている私に気づいて、すぐに会社を休むよう言った。
私をデスクから引きはがし、ベッドまで運んだ。
その日は小雨が降り、肌寒い日だったことを覚えている。
私はひとしきり泣いて、少し眠ったあと、ベッドの中からぼーと雨の打つ暗い窓を眺めていた。
夫は出かける用事があったものの、すぐに帰ってきて晩ごはんを用意してくれた。
ああ、ひとりでなくてよかったなあ。
この人が近くにいてくれてよかったなあ。
そう思った。
それが、去年の11月22日である。
そして、私たち夫婦が最初に迎えた『いい夫婦の日』だった。
いい夫婦の日って、夫が花なんか買ってきて、妻は素敵なディナーを用意するイメージだった(かなり時代錯誤ではあるけども)。
少なくとも、最初に迎えた11月22日くらい、我が家はそんな過ごし方をすると思っていた。
それが、この先私はずっと「仕事ができなくなって、夫に助けてもらった日」としてこの日を思い出すだろう。
『いい夫婦』というより、『夫婦でよかった』記念日である。
今日は、私たち夫婦にとって2回目の11月22日。
花ではなく、夫の好きなチョコレートをプレゼントしよう。
この1年ありがとう。また1年よろしく、と。
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