日本囲碁規約解説講座!局面の評価について
今回は石や地についての内容である。
第三条(着点)、第四条(石の存在)、第五条(取り)、第六条(劫)
これらには議論がないので割愛する
ただし、第三条(着点)に出てくる"空点"という単語は今後よく出てくるので覚えること。
意味は交点のうちの空いている点を指す。
いわゆる呼吸点と違い石と隣接していなくても空いてる点ならすべて空点だ。
対局停止後について考えよう
この表で言う死活・地の確認の部分についてのことだ。
このタイミングで対局者同士で意見が分かれたときのことを考える。
局面を掌握しよう
19×19の交点がそれぞれが持ちうるステータスの場合分けが出来れば盤上の正しい裁定が下せひいては正しい勝敗がわかる。
対局停止後の各交点のステータス早見表
第七条(死活)、第八条(地)、第十条(勝敗の決定)の内容ををわかりやすくまとめたものである。
活き石 相手方の着手により取られない石、又は取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石
目 一方のみの活き石で囲んだ空点
セキ石は駄目を有する活き石のことを指す。一般的なセキと意味が異なる。日本囲碁規約の定義通りに理解する必要がある。
また、セキ石の周りに駄目があるのではない。駄目を有する活き石がセキ石である。この因果関係には注意すべきだ。
この表に沿って機械的に交点を振り分けていけばすべての交点のステータスがわかる。ひいては全ての地と取り上げる死に石がわかり正しい対局結果が把握できる。
第七条(死活)1、で石の活き死にはタイミングが定義されていないので交互着手中にも与えられていると考えられる。その時は対局中の盤面で対局停止した仮定での議論で暫定的な活き死にを判断するのがよいと思われる。
これはよくある日本囲碁規約への指摘だが感覚的に自明ない活き石であっても駄目があればセキ石になるのは日本囲碁規約の不具合だという主張をしばし目にする。
しかし、対局の構成の図を見ればわかるのだが地や死活の確認は「対局再開を要請」とともに運用されることが前提の条文ある。したがって上の指摘は意味を持たない。
これに限らず日本囲碁規約を考察するのは良いことである。しかし、一部分を切り取って考察すればいかようにも不備が指摘できよう。読者諸君は全体を見て考える視点を身に着け考察していただきたい。
活き石を探そう
上の表から活き石がどこにあるかわかれば盤上のすべての交点のステータスが場合分けできると分かった。
ということは死活が分かれば活き石がわかる。
死活の要点
日本囲碁規約の死活は通常死活の考えと大きく違うところがある。そこでその要点を解説する。 ここで、要点をつかんで死活確認例を読む助けにしていただきたい。1.2. が重要な点で 3.がおまけである。
黒と白の死活確認のパラレル性
コウの特殊なルール
取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石問題
1.黒と白の死活確認のパラレル性
死活を判断するとき実は盤は対局停止後の図から二つの進行にパラレルに分岐する。
黒石の死活を考える進行(白が先着での進行)
白石の死活を考える進行(黒が先着での進行)
黒石の死活を考える進行では対局停止後の図から白が先着での進行についてのみ考える。
この進行では黒石が活き石になるかどうかがのみを考える。
*"取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石"とはウッテガエシなど
より、「相手方の着手により取られない黒石、又は取られても新たに相手方に取られない黒石を生じうる黒石は「黒の活き石」という。」ということになりる。ここで生き石になった石を確認し実際の盤面に反映していく。
また黒の死活を考える進行でいくら白石が活きようと死のうと 実際にはの盤面や結果には何も反映されることはない。
白石の死活を考える図では黒の逆をおこなう。
これで黒と白の死活の結果を実際の対局停止後の図に映して各交点のステータスを把握できる。
ここで注意したいのが対局停止後の図から高々二つにしか図は分岐しないということだ。例えば右上と左下にそれぞれ別の死活の争点があってもまとめて高々二つの図で考えていく。
こうするとコウ絡みでおかしなことになりそうだがそれは2.で解決されている。
2.コウの特殊なルール
対局停止後の図から分岐する白黒それぞれの図を考えるときコウのルールが特殊になる。
通常はコウダテすることでコウの取返しができるようになりますが死活を考える図ではコウダテの代わりに座標を指定したパスをすることでコウの取返しが可能になる。
これにより死活の結果を普通に考えた時の結果と日本囲碁規約の結果がだいたい一致するようになる。
ここまでの1.2.の内容が分かれば死活の判断ができる。しかし、ぜひにも日本囲碁規約の死活確認例を読み理解を深めていただきたい。
3.取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石問題
感覚的には十分理解できるが非常にファジーな文章である。
例えば、死活確認で脈絡もなく自明な地の中に着手して新たに相手方に取られない石を生じたと主張される可能性がある。これには現状規約では有効な反駁を用意することが困難である。
私はこういう場合の対策として死活確認の前に自明な地や活き石を確認して議論になってる場所を明らかにするなどの方法をとるのがよいと考えている。
まとめ
対局停止後の各交点のステータスを把握しよう!
定義通りに理解しよう!
死活判断に慣れよう!
総括
ここまで四回お付き合いいただきありがとうございました。
総じて重要なのは対局者どうしの発声が伴うコミュニケーションを促すのと対局者がスタッフをすぐ呼べる環境を整えるのが重要だと思います。
ここまでできれば日本囲碁規約の運用を支障なくできると思います。
一級相当といったところでしょうか。
次回 続・日本囲碁規解説講座「複雑な挙動」 僕達と、育ち続ける物語。
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