全局死活論と部分死活論

囲碁は交互着手が終わった後に盤上の石の生き死にを判定することになる。
この時、二つの考え方がある。全局死活論と部分死活論だ。

死活論共通の考え方

すべての死活論に共通するのは交互着手が終わった後の図から以降の進行を予想して判定する。

死活を判定するときは石の活き死にのみを判定する。地についての判定は死活の判定をもとに別で行う。よって、死活判定中の地の増減は勝敗に影響しない。

黒石を考える時は白先着の図、白石を考える時は黒先着の図という具合に考える石の色により図が分岐する。

交互着手が終わった後の図から"相手方の着手により取られない石、又は取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石"という条件を満たした石が活き石になる。満たせないと死に石となる。

二つの死活論

盤面をまとめてとらえ全ての石を同時に判定する考えが「全局死活論」
特に、交互着手が終わった後の図を交互着手中と同じルールで進行させて行く。

死活判定をするときに部分ごとに切り分けて判定する考えが「部分死活論」

採用されてるルールについて

全局死活論は中国ルールで部分死活論は日本ルールで採用されている。

中国ルールと日本ルールの違いは「中国ルールについて」で述べた。

部分死活論について

日本ルールと部分死活論の関係から部分死活論を考えていこう
日本ルールは地のみを数えるので地に手入れをすると損をしてしまうことは記しておく。

まず、日本ルールで全局死活論を使った話を考えよう。

遠回りになるがまず、日本ルールで全局死活論を使った話を考える。
隅の曲がり四目は一方がいつでもコウに他方が何もアクション出来ない状態になっている。
日本ルールで全局死活論なら交互着手が終わった後の図での隅の曲がり四目はコウに移行する際に事前に自分の地に手入れをしてコウ材の解消必要とする場合がある。しかし、日本ルールでいえば自分の地のへの手入れは地が減るからこれは不可能だ。
このことから日本ルールで全局死活論をそのまま行うと交互着手中と死活判断中のルールがことなってしまう。このままでは日本ルールと全局死活論は共存しないだろう。

では、日本ルールと部分死活を考えよう

日本ルールで全局死活論を使った時の欠点はコウザイを解消する際に地をそんする点だ。

部分死活論はある部分の死活を考えるときにその部分以外の石を無視する死活論だ。言い換えればある部分の死活を考えるときその部分以外のコウ材を無視する死活論ともいえる。
これは日本ルールで全局死活論を使った時の欠点を解消している。実際に手入れをしなくてもコウ材を無視してしまえばいいのだ。

日本ルールで全局死活論際の課題は解決された。部分死活論は実際の対局中の考え方と乖離があるが必要であり重要な死活論だ

ここで補足だが日本囲碁規約の第七条(死活)は日本ルールで部分死活論を実現するための一つのアプローチに過ぎない。日本囲碁規約第七条(死活)は部分死活論に属すという関係だ。
日本囲碁規約第七条(死活)は全体死活論のような処理をしながらコウダテの代わりに座標を指定したパスにすることによりコウ材を無視するという方式だ。

全局死活論

全局死活論は主に中国ルールで採用されている。
全局死活論は対局中の考え方とほぼ一致しているのでより具体的であいまいなところがない死活論だ。
のちに部分死活論特有の欠点を挙げる。全局死活論を採用できるならこちらを採用するに越したことはない。

二つの死活論の欠点

共通の欠点

  1. 取られても新たに相手方に取られない石を生じうる石問題(日本囲碁規約解説講座!局面の評価についてで述べた)

  2. どの図が優位か判断するのにゲームを帯びてしまう。

どの図が優位か判断するのにゲームを帯びてしまう。

交互着手が終わった後の図から以降の進行を予想して判定する。これは最善手の進行を予想すればいい。
しかし、必ずしも全員が最善手の進行がわかるわけではない。対局者同士の意見が食い違ってもどちらが正しい進行かを評価するのは困難を極める。
判定する部分が多かったり複雑な盤面ならなおさらだ。

判定する部分が狭かったり単純な盤面ならこの問題が軽減される。
この点において部分死活論は全局死活論よりも優れているといえよう。

部分死活論の欠点

部分の切り分け方が不明瞭な点
感覚的にはどのように切り分けると良いかわかる例が多いが正確な定義を与えることが難しい。

以上が二つの死活論の概要だ

ふまえて

次回「新たな死活論考察」ライディングデュエル アクセラレーション


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