2017年

・「『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』~Take your marks!~」
・シアターコクーン・オンレパートリー2017「世界」
・「舞台『私のホストちゃんREBORN』」
・サンプル ワークインプログレス公演「ブリッジ~モツ宇宙へのいざない~」
・結城企画 第2回公演「くるみ割れない人間」
・東葛スポーツ「東京オリンピック」
・シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ 2017「陥没」
・「Endless SHOCK」
・「THE CONVOY SHOW vol.32『asiapan』」
・ミュージカル「アルジャーノンに花束を」
・「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』“勝者と敗者”」
・「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年の子守唄~」
・「舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~スタートライン~」
・OFFICE SHIKA PRODUCE「親愛ならざる人へ」
・文劇喫茶シリーズ 第1弾「それから」
・「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE~さよなら絶望学園~2017」
・中屋敷法仁リーディングドラマ「ぼくらが非情の大河をくだる時ー新宿薔薇戦争ー」
・劇団四季 ミュージカル「オペラ座の怪人」
・Superendroller LIVE “scene03”「monster & moonstar」
・宝塚歌劇宙組「ミュージカル・コメディ『王妃の館 -Chateau de la Reine-』」「スーパー・レビュー『VIVA! FESTA!』」
・宝塚歌劇星組「ミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』」
・ミュージカル「スタミュ」
・「夜 -Ye-」
・「ダイヤのA The LIVE IV」
・「滝沢歌舞伎2017」
・エンニュイ 第1回公演「ゼンイとギゼンの間で呼吸する世界。」
・ブロードウェイミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
・りゅーとぴあプロデュース「エレクトラ」
・浮世企画「メッキの星」
・キティエンターテインメント × 東映 プレゼンツ SHATNER of WONDER #5 「破壊ランナー」
・Patch stage vol.10「羽生蓮太郎」
・パルコ・プロデュース「サクラパパオー」
・「ALL OUT!! THE STAGE」
・花形新派公演「黒蜥蜴」
・「ミュージカル『テニスの王子様』コンサート Dream Live 2017」
・舞台「男水!」
・青年団リンク キュイ「TTTTT」
・劇団献身 第9回本公演「幕張の憶測」
・舞台「ハイスクール!奇面組」
・「『ABKAI 2017』石川五右衛門~外伝」
・劇団番町ボーイズ☆ 第7回本公演「マネキンライフ」
・「厨病激発ボーイ」
・「君が人生の時」
・ゆうめい「弟兄」
・「オーバーリング・ギフト」
・宝塚歌劇雪組「ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳』」「Show Spirit『Dramatic “S”!』」
・舞台「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『天下無敵の忍び道』」
・舞台「BRAVE10」
・チェルフィッチュ「部屋に流れる時間の旅」
・サンプル「ブリッジ」
・cube 20th. presents 音楽劇「魔都夜曲」
・文学座附属演劇研究所本科第57期発表会「わが町」
・「罠」
・「Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット-」
・「怒りをこめてふり返れ」
・「鳥の名前」
・燐光群「湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)」
・「人狼TLPT × 宇宙兄弟 Rebellion of the Fullmoon」
・「B-PROJECT on STAGE『OVER the WAVE!』」
・劇団番町ボーイズ☆ 第8回本公演「ニーテンナナゴー」
・ピースピット2017年本公演「グランギニョル」
・ハイバイ「ハイバイ、もよおす」
・りゅーとぴあプロデュース「星の王子さま」
・「幽劇」
・劇団プレステージ 第12回本公演「URA!URA!Booost」
・シガール姉妹「おやすまなさい」
・KAAT Dance Series 2017 Nibroll結成20周年 KAAT×Nibroll「イマジネーション・レコード」
・「メサイア ―悠久乃刻―」
・宝塚歌劇月組「浪漫活劇(アクション・ロマネスク)『All for One』~ダルタニアンと太陽王~」
・劇団番町ボーイズ☆ 第9回本公演「スイーツボーイズ 2nd『甘くはないぜ!2』~ワールドオブシュガーレス~」
・ロロ vol.13「BGM」
・「Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット- Replica; Agateram」
・新作歌舞伎「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」
・Patch stage vol.11「JOURNEY-浪花忍法帖(なにわにんぽうちょう)-」
・「ミュージカル『刀剣乱舞』 加州清光 単騎出陣2017」
・シアターコクーン・オンレパートリー2017 DISCOVER WORLD THEATRE vol.2「危険な関係」
・宝塚歌劇宙組「ミュージカル・プレイ『神々の土地』~ロマノフたちの黄昏~」「レヴューロマン『クラシカル ビジュー』」
・パショナリーアパショナーリア 第1回公演「絢爛とか爛漫とかーモダンガール版ー」
・「Live Musical『SHOW BY ROCK!!』-深淵のCrossAmbivalence-」
・「舞台『青の祓魔師』島根イルミナティ篇」
・ゴジゲン 第14回公演「くれなずめ」
・KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「作者を探す六人の登場人物」
・フェスティバル/トーキョー17「Family Regained: The Picnic」
・「表に出ろいっ! English version『One Green Bottle』」
・舞台「KING OF PRISM -Over the Sunshine!-」
・キティエンターテインメント・プレゼンツ「父母姉僕弟君」
・ナイロン100℃ 44th SESSION「ちょっと、まってください」
・シス・カンパニー公演「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」
・舞台「義風堂々!!」
・「RICE on STAGE『ラブ米』~Endless rice riot~」
・「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月」
・舞台「何者」
・東葛スポーツ「ハウス」
・「ユーミン×帝劇 vol.3『朝陽の中で微笑んで』」
・城山羊の会「相談者たち」
・劇団番町ボーイズ☆第10回本公演「舞台『クローズZERO』」
・「オールナイトニッポン50周年記念舞台『太陽のかわりに音楽を。』」
・M&Oplaysプロデュース「流山ブルーバード」
・「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭 2017~」
・ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕40周年記念ブス会*「男女逆転版・痴人の愛」
・ワワフラミンゴ「脳みそ歩いてる」
・「舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り」
・「池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE」
・「STAGE FES 2017」

【雑感】
その場に立ち会えなかったら最後、そこが演劇のよさでもありますが、自分の怠慢により多くの作品を見逃してしまったことに悔しさが募ります。

2017年に観た作品の中で心に残っているのは、やはり「羽生蓮太郎」でしょうか。この「羽生蓮太郎」は、劇団Patchの作・演出から離れることになった末満健一さんが劇団に書き下ろした最後の作品で、ウィリアム・シェイクスピアの代表的な悲劇「ハムレット」を下敷きにしています。羽生蓮太郎、ハブレンタロウ、ハムレット……そういうことや。父を殺し、母を奪った叔父クローディアスに復讐するハムレットと、激動の昭和を生きた主人公の青年・羽生蓮太郎の物語が劇中で交差します。

前半部分は、浪花の軽快なギャグを盛り込んだ思わず笑っちゃうようなコテッコテのお芝居多めで、特にメンバーがマジもんの墓石を演じるシーンには本当に感服したというか、関東で育った自分からすると、関西の俳優さんたちに息づく会話のテンポは真似しようにも到底できない芸当なんですよね。一方、後半部分は「ハムレット」になぞらえた蓮太郎の復讐劇、いや、一口に復讐劇というのは乱暴すぎるか。「ハムレット」自体は悲劇として終幕するけど、「ハブレン」はきっと違うのだと思います。Patchと共に5年の歳月を過ごした末満さんから、これからの彼らへ、今後の演劇界を担っていく若者たちへのメッセージ、願い、祈りのようなものであるように感じました。

配役も絶妙なバランスで、主人公の蓮太郎を演じた松井勇歩くん(同世代なのでくん付けですみません)、普段の彼が纏うオーラは比較的“陽”のものであるのに、瞳の奥には底の見えない空虚感が広がっている。それから布袋昌吾ことホレイショー役の藤戸佑飛くん。受け入れる芝居というのは、誰でもできるものではないはずで、彼がこれまでどうやって生きてきたのか、その軌跡が少し垣間見えたように思いました。

オールメールの「ハブレン」においてのヒロインと言っても差し支えないかな、田中亨くんが演じた歩野親春は「ハムレット」で言うところのオフィーリア。親春はきっと、当時の田中くんだからこそできた役なのだと思います。大好きな蓮太郎に見せるため、橋の欄干に登って、月の石を取ろうとする親春。親春が伸ばした指先と月の光が交差したところに、ドビュッシーの「月の光」が流れる。人間の身体性の美醜に疎すぎる自分ですら、さすがに涙してしまいました。

2017年に観た作品の中で、躍動する人間の肉体が美しいあまり涙してしまった作品がもう1つあった。末満さんと同じく惑星ピスタチオのメンバーだった西田シャトナーさんの「破壊ランナー」。言葉の力でやられてもうた作品が「ハブレン」なのだとしたら、「破壊ランナー」は演出の力でやられてもうた作品だと思います。アカン、関西の方々にメッチャやられてもうてますね。

2017年には2人の素晴らしいオフィーリアを目撃していて、1人目は言わずもがな「ハブレン」の田中くんで、もう1人は「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」の安西慎太郎くん。彼が演じるヒロインを一度でいいから観たいという積年の願いが叶いました。そういえば、この作品ではオフィーリアとホレイショーが1人2役でしたね。

「ハブレン」に話を戻します。旗揚げから劇団に携わってきた末満さんにしかできない采配、それを受けて奮闘した俳優たちの努力、この作品の舞台になった場所にほど近い劇場で上演されたこと、すべての要素が揃って、美しいものになったのだと思います。

終演後ベロベロに泣きながら、かつて蓮太郎たちが暮らしていたであろう土地を彷徨って、どこをどう歩いてたどり着いたのかも覚えていないけど、天王寺の小さい喫茶店に駆け込んで、そのまま観光もせずに新大阪へ向かい、新幹線に飛び乗ってさめざめと泣きながら帰京したのを覚えています。

その次の本公演「JOURNEY-浪花忍法帖(なにわにんぽうちょう)-」で、Patchはめでたく東京進出を果たしました(おめでとー! もちろん拝見しました)。「ハブレン」が最後の出演作になってしまったメンバーもいて寂しいですが、これからも彼らを応援していきたいな、そのために自分も仕事、あんじょうきばっていかなあかんなー。