Twitterに書いた言葉たち(551~560)

551)気遣いは煩わしい

あまい記憶をよびさます

先生、今でも寂しくありませんか

強がる背中はまだ小さいでしょうか

孤独と虚無は嘯きます

事実は残酷で滑稽です

あわい追憶がきらいでした

先生の面影がそこかしこ落ちている

目の端で拾ってしまうから

風の日は目を閉じる

鶴が羽根を広げています

かき混ぜた卵白と卵黄
鉄の上でひっくり返して
優しく包んでゆく

白い粒子を揃わせて
椀に注いだ熱い液体
菜花は旬の内に摘み取って
口に運んで頂きたい

切り取った円卓
静かな揺らめき
淡い期待
微睡みの最中
手を合わせ

柔らかな朝に
暖かな昼に
やってくる夜に
どうぞ召し上がってください

食卓


552)花の芯が凍えぬように
慈しみながら点火する蜜蝋

柔らかな嘘を大事にして」
(春はもう来ましたか?

嘯く声に耳を塞いだ
鶯 戯れ 悦楽 上々
三半規管で孵化した蛇が
鮮やかな緑に染まってゆく

爪先まで降りてから
甘露は呼び水と逃げる
まほら

[揺蕩う詩精から遊離する詩霊]


553)優しいだけで
なだれ込んできた
支えきれずに崩れ落ちた
断層の傷口を撫でて
深度をはかった
言葉の真意を知らず
蓄積する毒性
感情は要りません
哀しみの飛躍
寂しさの秘薬
憎しみの火役
慈しみの媚薬
染みて滲みて沁みて
見て欲しかったものなんて
これっぽっちも残ってない
渇いた花弁が砕け散る

556)感覚で生きてゆかれない
涙ぐましい努力を嗤う
蟲のようだね
美味しいところだけ
食べてきたから
苦い種に驚いただろうか
幻想です
全部頭の中で作られた
まやかしに語りかけるような
折れた茎に語りかけるような
絵空事を並列して
地面なんかなかった
地面なんかなかった

557)項垂れる枝に
蕾があったでしょうか
陽の当たらない場所
凍え過ぎて小さなそれは
傷んでしまっていた
指の腹で撫でたら
ポロッと落ちてしまった
捨て犬のような瞳で
傷ついたのは自分だけの顔で
働かないと蟻は運ばれてゆく
死んだと思います
そうして夜があける

558)くるくると水面で
花筏が流れてゆく
水底で眺めている
指先は鋭く尖って
距離感を誤ったのだ
謝った節々から咲く
偽りの空白や空虚が
切り揃えた前髪の間
ブツブツと消えてゆく

559)うまく生きてゆけない
かわいた咳のような
声が詰まってしまって
涙があふれる
言葉は空回りしますね
ひらひらと手をすり抜けて
軽やかに踊っている
呑気そうな顔で
歌っている

560)不遜な不足が不当にも埠頭に流れ着く
夜明け前に銃声を聞いた


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