Twitterに書いた言葉たち(761~770)

761)水に沈めた紫陽花が呼吸する
(断絶され始める会話)
耳の奥で歌い始める沈黙
(呼応する嗅覚の球体化)
やわらかな死への憧れ
(滑空する指先の帰休)
内側にくい込んでゆく楔
断罪の断面の潔さの
区切られた躯の境界線を
繰り返し恙無く飽和させた
眠り始めた器官の泡沫の寝言
吐かれた酸素の袋が弾ける

762)死んではいないか?」
殴るような問いかけで
私は指先を確認する
いき て いるのか」
腕を持ち上げるとかわいた音
皮膚の摩擦が空気に霧散するのか
鴉の嘴が刺さったようだ
僅かに傾いた頭を正しい位置へ戻す
萎んだ風船を浮き上がらせ
時間を巻き戻すと笑ってしまう
黒いカーテンを開けたら夜は始まる

763)ふちに手をかけて覗き込んだ
ら、行から始まるというのは?
と耳許で囁かれる
コーラルがコーラスするような、
うつくしい に潜む 悪意が ほしい。
カラカラの喉が水を、雨を求めるのと
同じ速度でスっと喉に手を宛てる
「お元気ですか」
声に出すと陳腐な振動
ふちの向こうから、あなた
/腐敗した空疎

764)いいんですよ、あなた
そのまま、そのままで」
耳にやさしいコトバが撃ち込まれる
そこであなた横たわってること
(気付いてないでしょう?)
その声の主が笑ってる口許と
笑ってないその眼差しで
(殺されたんですね、あなた)
ゆっくり時間に蝕まれて
易しいだけの選択が
首を絞めていたんですね

765)真昼よ、麻痺させて」
あたしの一等キレイな顔を
鏡に映すように切り取った
あの日からあたしの顔はあなたの
寝室に飾られて酒のつまみにされた
太陽の視線を遮るカーテンが
あたしの夜の皮膚を守る
白く白くどこまでも真白に
新雪を踏む前の気持ちを
あなたは独占していたいだけ
陽が射すと灰になる

766)花の匂いで目覚めると
気分がいいのね

(心の中の不浄が消えたみたい)

密室で意識だけのわたしは
傾いて流れ出す

外は液体を固体にするから
個体になったわたしを
あなたは抱きしめた

それだけでいい
それだけでよかった

767)定形 外 と貼り付けられた
のりしろ に塗って
口を縫われてたから
上手く教えられなくて、
ごめんね の代わりに
目配せで訴えたけれど
左右の目がぐるんぐるん
勝手に動いてしまうものだから
きっと気持ちが悪いのよ
ごめんね の代わりに
またタニオリして隠した。

768)砂が吸収したようにみえるから
流動は水にもそうでしょうか
、前置きをコップに溶かして。
液体に粉末の くすり
笑ってるみたいな 音を さらり
更に するり むき出しの概念
針が昨日を跨いでも
眠らないから終わらない今日が
惰性みたいに続いている。
コップを傾けると夜に蕩けた昼が
僕の底にたまる

769)スリルが滑り込むと
するり、と剥ける 脱げる
皮の部分が落ちて
脱皮って呼ばれる様を
一通り鑑賞される

違うんです、おぞましさの
希求をしていて
気球を探してはいないんです!

耳が拾うようで
目が拾っていたのか
お前の横顔が悲愴を浮かばせ
俺はとりあえず銃撃する
カチリ、と音を立て
こわす。

770)花の奥に隠していた
毒のような甘美さ

耳触りの良さだけで
生きてきたのだから、
手触りの良さで
死んでゆくのでしょう?

そして(軈て)やってくる
翻るアウターの境界線を掴んで
生き返る意識が強くて
、ごめんなさい
そう思えないことの重さ

悪夢の形骸を孕んで産み落とす
天使って名前の、それを

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