現代詩フォーラムに投稿した詩:6

【加速する山羊の角】

珈琲の渦の奥に一つ
小惑星が沈んでいます

あれは浮かんでいるのです(彼方側では)

音は滴り落ちるので
雨さえ頭上へと上がってゆきます

すべての事象があべこべなのです(此方側では)

滑るように魚は稜線を食べてゆきます
あれは夜の端くれなのです

そうして失くなってゆく記憶を追憶します(其方側では)

正しいと間違いを並べ立て
列を成している群青色の翳(彼を翁と云うのです)

半紙に一枚ずつ書いた呪いも
包んだ金魚の数だけ無効になりました(此れは不在伝票です)

空豆を潰している内に病葉が増える
もう鍋の底に穴が開きそうです(其れを油断と呼ぶのです)

少しずつ蝕んでゆく月が
貴女の下腹部でした(突き破って産声が反響する)

半狂乱になりながら
三分半で煮え立つのでそろそろ筆を置きます

(嘘を嘯いて言葉は燃え尽きてゆく/急速に)

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