Twitterに書いた言葉たち(581~590)

581)愛おしいと狂おしい
恋しいと哀しい
ジレンマとアンビバレンス

茹で過ぎた柔らかなパスタ
疲れてるから噛まなくて済むね
みんな同じ顔してる?

紫煙が覆い隠してる
アナタと謂う個性を保存して
何度も反芻したい

欲しいのはもっと禍々しい
痛みにも酷似した欲求
本能に従って何処までもゆきたい

582)お前の詩性を俺に寄越せ
残さず全部食い尽くしてやりたい
お前が詩霊になったら
余さず全部吸い尽くしてやりたい
お前だけを愛すること
お前だけを貪りたいと
お前だけを求めたいと
この魂が叫んでいるのだ
さぁ、お前のすべてを俺に捧げろ


583)飲み込んだ言葉の尾鰭が伸びる
血の色をしたそれは甘美で
貴方は喉の奥に舌を這わせて
残らず啜ってしまうだろう
(哀しみは癒える為にあるのか?)
胃の中が反転して花が咲きそう
痛みは根を生やし侵食する
優しい嘴が啄んでゆく
遺された骨が肉を腐らせるから
愛は不気味なくらい静かに燃える

584)睡魔が舟を漕ぎながら語らう
川面に触れる指先が分解される
意識の奥から無意識は起き上がる
魚の骨格が滑るように流れてゆく
否、あれは水蛇だった。
濁流に飲まれたそれを目の端で捉え
反射する光に目を細める
光源が見当たらない
世界中の昏い明滅を閉じ込めたみたいだ
舟は進んでゆく
舟は動いた?

585)頭痛を抱えて雨を頭の中で飼い慣らす
雲を孕んだ眼窩が疼くので
雷雨が喚き出す前に首を絞める
獣は下腹部で爪を立てて暴れる
やめてください!の叫びはいつも唐突で
花弁が盛大に散り敷かれてゆく
傷つく準備は包丁を研ぐ心境です
会いたい……会いたい……会いたい?
残さず食べ尽くしてください

586)欲しいものがなかったら
世は満足でしょうか
夜の星空がどれほど遠くても
悲しみは雪のように降り積もる
傘が必要だとしても
進化は望めなかったので
手首を結い上げた
魚の皮を丁寧に剥いでゆく
猫の髭が雷鳴を察知する
足音は肉球に吸い込まれました
扉が開く前に反射神経で避けます
髭は避雷針です

587)絶えず耐え続ける必要がある?
種の中で炎が逆巻くのだ
蛇の舌が青ざめて
夜は甘く濁ってゆく
玉蜀黍の髭を抜いてから
鍋の底で巡り会う
蜘蛛の子を散らして
ハッシュタグを繋いだ?
嘘を飲み干して
スパンコールは死語ですね
スコールに紛れたのは
ただの産声でした。

588)答えなくて結構です
結構なお手前で
応えてくれるのですから

てん、てんと続いてゆく
言葉の首を捻ってゆく
ゆくゆくは物見遊山して
川を上る魚が龍になるのを眺める
舞い上がる蛇も変わりません
きっと落ちてきます

紫の雲が燃えている
紅の空が匂い立つ
白い背中に舌を這わせて
入り浸る頃に芽吹く

589)言葉が虚実なら
この世はまやかしです
共同幻想を結びましょう
胡蝶の夢ならば
夜は一等美しい幻をあげたい

日記帳は棄てました
冷凍庫の果てで膨張する
化石から読み解いて
世界史の繰り返しを一時停止

寝室は植物園
掻き分けて馨しい
樹液から棲み分けて
まだ人間としての尊厳だ

紐解いた千手観音

590)夜は詩を混濁させる
シーツの糸を引っ張った
ほつれてゆく意図
貴方なら解ってくれるのに、
飲み込んだ言葉に復讐される
いいえ、それは救いです!
掬ったら巣食われる
粘液性の蜜蝋が皮膚の上を這う
のろのろと爛れてゆく
呪いですね、まるでまじないです
禁厭を塗り重ねた唇が呼ぶ
名前を隠して、ね

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