Twitterに書いた言葉たち(591~600)

591)此方は毒に満ちていますか?
それも甘い 甘い 馨りです
いっそ心中してくだしゃんせ」
未練が募って身重です
声を押し殺した情けをください
後生ですから、
逆さまに吊るした照る照る坊主
湿気た空気が打ち震える
更に深く踏み込んで
覚悟を残していってください
甘い 甘い 毒の首を捥いで?
鬼の子


592)泣き濡れた頬から鳥が羽ばたく
空は晴れているので良かったです
狂ったようにテレビは告げる
チャンネルはそのまま
一点の濁りもない?
抓った手の甲から鱗が剥離する
はらはら はら
立ち上がる獣がひと吠えする
長い首から逆立つ
炎が青く吐き出され
鳥が落ちてゆく
あれは不死鳥なのだ
何度でも甦る

593)花が咲く頃には浮かび上がる
白い顔だった所から花は開く
魂の様に幾つも幾つも浮かぶ

「顔は美しいね」


594)ガルガンチュアの奔流
感情の振れ幅は觸発する
筏が翻弄される
言葉は受け身の器か?
瓦解する前に繋ぎ止める
祈りや願いそれは呪いと同郷
心は侵蝕し合う
お前、と呼び掛けた時
私が目覚めるのだ
観測する地点から微動だにせず
私から離れた言葉が
お前を形作るだろう


595)眼球の裏側
奥の部屋で痛みの主張
生きること と 死ぬこと
その差異が呼吸だとしたら?
言葉を飲み込み続けて圧死する
イガイガ は 跋扈する
器官は繋がっているんだよ
声は幻聴に留まらず
現実に戻った
帰還する精霊の暴徒
お前達は美の化身であれ
願われ祈りを一身に受け
呪われた身の上を嘆く


596)揺籃の安寧は死に近しい
また雨が降っている
幻覚は慢性化する
言葉が降り積もり続ける
耳と目と必要なら懊悩さえ
お前の望んだ通りに起こる
惜しむ心算は無いが
惜しまれる心算も無い
お前の涙だけを嗅ぎ分ける
この鱗を持つ獣が濁り水を掃き捨てる
濁流を押し流す
頭痛が少しだけ和らぐ
少しだけ睡る


597)乾いた土を掘り返す
爪の中まで土に塗れる
少しずつ土は湿ってくる
少しずつ地上から遠ざかる
ぼそぼそと耳元で声がしてる
(根の国の声だ)
掘り当てた扉の前で
横たわっている
自分を見下ろしながら
無音が無数に反響している
(音の国の声だ)
足が頭に生えた逆さまの頭が
此方を凝視っと眺めている。


598)必要ないですよ」
デッサンが狂っているので。
緩やかに坂を降りながら
彼は話し掛け続ける。
(ついてこないでついてこないでついてこないでついてこないでついてこないでついてこないでついてこないでついてこないでついてこないで……)
心情を無視した笑顔でパーツの狂った彼が憑いて来る。


599)半分だけ浮かんで
半分だけ沈んだ顔で
水溜まりから
こっちを見ているのか
こっちを見ていないのか
白昼夢みたいな顔。
見えていないフリを続ける
見ていないフリを続ける


600)彼岸花の群れが立っている
1)燃え尽きる彼ら
2)枯れ落ちる彼女
3)叢る地獄蝶たち
回収される回答
回路を懐柔する
幽霊の色して佇んでいる
1)路傍で朽ち果て
2)路肩で手折られ
3)路上で血塗れた
悲願を達成する為の幻視


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