Twitterに書いた言葉たち(1~10)

1)砕けてゆく腕が光に透き通り
硬化したばかりの腕が落ちた
風の音が空を切り
別れの音が侵攻する
土の中で眠って目覚めなければ
壊れることもなかった
それでもまた歓喜の交遊が走り
守る為の腕が生える

2)書いたり作ったりより詩の中で生活していたい昨今。「詩を書くのやめる」と言い合った彼女たちは屹度そうなのでしょう。多分、元気に過ごしてる/立冬

3)天使に飼われている。清潔なシーツに包まれた顔だけの少女たち。月に帰ることを阻まれ月面を模倣した部屋で月の光を聴いている。少しずつ枯れてゆく少女のひとりひとりに名前はなく、鼻のない天使が少女たちに水を与え続けていた。【腐敗する世界の一室で】

4)彼女の血溜まりは孤独だった。柔らかな金色の髪から生まれるのは黒い蛇に見えた。其処此処に付着した卵は瑞々しく深い森の色彩だ。「それを詩と云うなら私は首を掻き切ります」死んだ鳥の死骸を埋めながら彼女は墓守になった。

5)よそよそしい。遠くの山がうずくまる。
背中だ、人間の。皮膚は荒れて鱗のようだ。それからまだ分類している。途切れ途切れの文節を掘り起こしては/山だ。やわらかな産毛が風に揺れている。

6)空洞。あなたの目を借りてみました。明日はその耳をください。あ、先ずは目の話からしますね。そのまま下へ向かってゆくと最終的にわたしが浮かび上がります。そしてそれが昨日のわたしです。ありがとう((虫食い))

7)今は言葉遊びが流行していますね」
ええ、まるで御伽噺そのもの」
消えてしまった謎の」
あ、流れ星」
「地表にぶつかる頃に最も盛り上がったのです

8)言葉が素通りしてゆきます
夜の眼は猫のを拝借。
素敵なことが無敵のようで
着飾ったあの頃の洋服が
遠くない未来に燃えてしまう
寂しさ遣る瀬なさを噛み締めて
シーシャを肺に満たして
冬と共に吐き出す

9)わたしたち 疲れ切っていて
余白の静寂だけが やさしい

明日は ((取り憑いて))
あなたたちが味方になってね

10)たん、と音がした。
朝の床の上に立っていると
澹、と音がして
現実は白昼夢に蝕まれている。
柔らかな床は苔に覆われて
ぽたん 音がする
転がっているのは頭だった
視点が定まらない。
ゆっくりと傾いて
胴体が波打って痙攣した
左右に溢れ産まれてくるのは
濡れた蝶だった
宙で翻る昼下がり
/走る雨

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