Twitterに書いた言葉たち(691~700)

691)ならば、音は制限される。
少しずつ削がれてゆく
その肉片を口に含んで
恍惚とした表情で
(世界を壊してあげる)
それは(認識)ではないのか
(物質)としてはただの(暴力)だ

692)花が咲き乱れ咲き乱れ
美しいとばかり思えない
それは生殖だ
それは生命だ
それが盛りのときを迎え
一気に燃え落ちてゆく
枯れてゆくその臭い
嗅覚が麻痺するほどの
馨しい呪いのように

693)散らばった取り留めのない
宛先もない群れを前にして
無力さばかりを噛み締める
上辺だけで取り繕う方が楽だ
そこに味は無いのだから
見た目が良いばかりで
そこに魂は残らないばかりで

694)百年後も遺っているような
神話をつくる気概も覚悟も
まだ持ち合わせていないか

695)一人は腫れ上がり腐敗臭
一人は燃え爛れ細胞壊死
一人は冷えた皮膚を撫で
一人は冷たくなっている

((醜さだけを切り取って
顕微鏡で覗いている))その視界)

一人から春は匂い立ち薫り
一人から朝露が清しく流れ
一人から実が熟れてこぼれ
一人から静謐な感覚の研磨
、それらが与えられた。


696)採掘される結晶体の
うつくしい瑞々しさは
洗われることで顕れるのか、

((言葉))として描かれた珠玉の研磨された((光))を繋げる((糸))のような鋭角な視点。

孤独の地層を掘り当ててゆく
繊細な指先の鼓動
磁力にも酷似した網膜の集積

697)真暗な(それは最早黒い)海に
巨きな魚(魚に見える)が
海面ギリギリに浮かんでいる
黒い海に生白い魚のかげが
ぼんやりと映っている(すりがらすの前に人が立っているように)
その魚は(水中で停止している)
何故かそこに留まり続け
沈黙を貫いている
ただ存在しているだけの(気這い)
もう少し浮かび上がってくると
それは(魚)ではなく(私)だと
数分前の私は気付くだろう
水面下で息を押し殺して
私は魚を見上げている


698)胸鰭からこぼれるのは
かなしみだけだろうか
魚、生臭いさかな
うつくしい鱗の反射

699)水滴の中を魚が泳ぐ
厳かなそれは静かな
沈黙を切り開く背鰭


700)眼球の中を泳ぐ魚が
血液のように黒く滲む
「その尾鰭はインクです」
ゆっくりと咀嚼される頭
生臭いにおいだけが残る

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