Twitterに書いた言葉たち(861~870)

861)駆け回る足音たち
真夏の砂がかき乱され
瓦解する岬の悲鳴
崖から飛び降りてゆく光たち
海の腕に攫われて帰ってこない
(だれのせいにも出来ずに)
枯れゆく涙を積み上げた
魚が群れで暴れている
祈りや願いが降り積もる
わたしたちは空を駆け巡って
あなたの背中に寄り添う
さよならを繋ぎまた花が咲く

862)きらきら、の手の動きに
合わせてくれていた音
鼓動の高鳴りが連れてくる
雨の気配に紛れて
雷鳴の蕾が綻ぶ
「あなたの飛行船が遠くにあるよ」
指差す幼子の影が残される
線は薄くなって伸びた
夕暮れ時に寂しくなって
ブランコに揺られている風
帰り道は覚えていない
電車が遅延するとアナウンス
の夢

863)構内で反響する靴達の声が
雑踏と謂う舞踏を踏んでいる
耳を塞ぎたくなる恐怖から
遠く離れてもぺったりくっつく
やわらかな緊張状態を継続し
目を覆ってしまいたい悲愴が満ちる
もっともっと遠くへ
あの幻へ入り込んで
沈んでいたいらと少女は希う
沼は静かすぎる程の不気味さで
美しい花を咲かせた

864)ずるり、と髪の毛が抜けてゆくと
平穏は破られた。
祖先が泣いていたのは
それだけではなかった
それよりも深い傷が走ると
あなたは私の肉体を揺さぶる
いつかの光であるなら
私もまたいつか光と化すので
あなたの声を回路に流す
波が押し寄せると風は触れる
額から頬へ
そして私の背後へ去ってゆく

865)気づくと気憑かれるかも、と
女はすれ違いざまに嗤う
うっすら白く香り立つ
雨に紛れて傘は顔を隠すための
世界からの断絶のような
ゆっくり振り向くと
それは真ん前に佇んで
真横に行列がピッタリ張り憑く
晴れ間が覗くと
視線だけ爪先を望んで
通り過ぎるのを待つ
路傍に咲く髪が地の底へ帰ってゆく

866)渇いた喉を潤す水が
植物の成長を早めてゆく
灰の中でくぐもる音
泡の吐き出される、音。
睡眠の最中に目覚めると
夜の空気はしんしんと冷たく
満ちている液体のような
重く纏わる空気だけが
死の翳を含んでいる
いつか、が来る前に書き残す
走るペン先が滲んで
いつも誰かの泪の気配がする

867)痛む背骨の泣き言を聴く
左膝も内出血を歌って
日常が唐突に侵入してくる
耳の奥で燻る詩篇は
軈て吐き出されるのか
僅かに動いている指先が
視座を再確認していた
蔓延る孤独の色彩が渦巻くと
漆黒に浮かぶ食刻法に似て
憂さ晴らしで寡黙に耽る
夜半に蹲り貝になると
夢想した現が綻び開いてゆく

868)崩れてゆく花びらを拾って
水の上に浮かせて眺める
詩的な歌が響いているのは
皮膜の向こう側だった
球体を啄く指先は嘴になって
殻は破られて空が現れる
、と現実が逃避を始める。
、と逃避が現実を始める。
わたしたちは一つの現象だから
あなたたちは一つの幻想です
わたしたちは世界を構築している

869)薄紅に発色した頬が
嬉しそうに綻んで
花開いた蕾が目覚める

駆け足で去ってゆく後ろ姿が
楽しそうに弾んでいる

すべてを水浸しにして回ると
遠吠えが始まる
(神話の一節のように今日が終わる)

森の動物たちを集めて
神さまは子どもに擬態する

(彼女は輝かしい時間の中で昼下がりを過ごしている)

870)つづき、を求める時に
静止の声が現れる。
安らかな検索は独走して
切り取られた箱庭は
電源と謂う雷を落とされる
一瞬の連続にも酷似して
分かり易く判別されてゆく
要素を分類して決定する
安堵に浸った右脳から
危険信号を送り出す左脳
ここらで一息つくと
点が打たれてカーテンがしまる/
夜へ進む

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?