Twitterに書いた言葉たち(791~800)

791)目まぐるしい季節の濃厚な吐き気
花が充満すると噎せ返るような
薫りの奥で刃先がチラつく
眩しい視線の傲慢さに
腹の底で獰猛な獣性が目覚める
(気が狂いそうな内はまだ触れていない)
鏡がひび割れても感性を抱えて
茹だるような暑さが空気を重くする
湿度の結晶化で白く煙っている

792)朝が好きです
光で満たされて
嬉しいのは心です
みえたことはないですが
階段を上って下りる
繰り返してるみたいな毎日
平凡を描いたような顔
どの人も(わたし)であってもいい
そこに(わたし)は飽和していた
夜がすきです
光で照らされて
喜んだのは心です
みえないことを描いてた
モブのわたしたち

793)昼下がりの気だるさに
曲線がオブジェのように
切り取られた景色の一部として
シルエットを露わにしていた
(誇示する心算はないが、根本は同様なのではないか?)
耳許で唸り声が張り憑くと
頭を傾けて振り落とす
「だとしても、お前とは別物だ」
無意識が呟きを篩い落す
目下絶好の機会を食らうのみ

794)ちいさな音が積もり積もって
暮らしの息吹が吹き荒れるのです
外はもう真っ暗だから
明日に備えて眠りなさい
何か途方もない見落としがあって
そのことに気付かないのではないか
軋轢が地球の裏側で騒ぎ出す
子守唄を歌う黄昏の蝙蝠が
黒く浮き彫りにされているのです
耳を彫刻しておやすみなさい

795)それぞれの椅子があって
子どもだったわたしたちが
まだそこに座っているみたいな
幻を愛していたら
現は夢と変わらない
愉快な会話が飛び交うと
わたしの皮膚はあわ立って
水溶性が高くなるようだ
(夜はお静かに、)
今夜もまた浅い睡眠
コマ切れの使い古したユメ
内緒話は密やかな悪意の始まり

796)独白のイヌを逆さに吊るして
不在の証明書を提示する
白紙にはすべてが在るのだから
そこには何もないのだ
謀反にも似ている
果肉を皿にのせて食卓へ
旬の橙色は熟してゆく
腐る手前のあまいにおい
反逆精神の無骨な手は丁寧に対応していた
それが誠実だというように
そして今日も口を縫って仕事する

797)紛らわしさに紛れ込ませて
迷彩化した蜥蜴の尾を掴む
、と話してました。
部屋の隅に置いてある沈黙
避難は危険信号の前置き
掃除機に吸い込まれた喧騒
、と聴いていました。
片仮名の名前で偽装する
気圧に愛された彼らの日常
それからゆっくり脱皮して
虚言癖を引っこ抜くと
誰も彼も構わず忘却する

798)懐古するのも溜息の延長でしかなく
彼女の灰は肺で満ちて酔いを加速する
「ジョークは冗句だからキライ」
千切られる花びらの掃き溜め
摘まれた花殻が乾涸びる
唇を舐めると進む乾燥地帯
「痛快に思うのはアンタだけ、」
侮蔑はヒールに隠して歩く
セリフにはない仕草に示すと
世界は奇しくも美しい

799)痛む背骨を曲げてシーツに包まると
やさしいのは何だったか不明瞭になる
指摘され続けた私的言語が
いつしか詩的言語を獲得するのか
勝敗のように土台が高さだとすると
真逆へ進んでゆくばかり
南国の果物が嗅覚に呼びかける
それはそうとして、
また引き戻される現実は現状の認識
意識の再確認のバグ

800)こんなにも溢れている巷には聞いていた噂話のような言葉があちこちに存在してしまうとやり切れない気持ちになって俺くらいは情けをかけて殺してやりたくなるよ、と男は言った。一体何を?と女は視線を泳がせてその言葉が白く染まるのを見送る。
仮想空間でふわりと紫煙が掠めた気がした。
「うずめよ」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?