Twitterに書いた言葉たち(611~620)
611)火山灰が言葉を覆い隠す
透明な人々の群れ
夜明け前に舟に乗る
柔らかな茵は病葉
豪雨の音だけ降り頻る
白い意図を吐き出し
喉は詰まるだろう
蒸気の中で目覚める意識
細く長く巻き上げて
祈りさえ織り上げ
鳴き声もなく可視化する
612)ひだりがわの こどく
みぎがわの こまく
こまどりが つついてく
きつつきが わらってる
こまった かおで つっついた
ひだりがわの こまく
みぎがわの こどく
きつつきが つついてく
こまどりが わらってる
つられて こまって つついた
しんおん に しんしん と
はり つ いた つっついた
っていった の
613)潜望鏡の水域
仙人の霞を増殖
雲母の剥離は重聴
薄く切って口にする
シャリシャリと蕩ける
少しずつ軽くなった
肉体から魂が遊離
繁忙により昏迷
水差しから
ちょろり
垂れる
液体
水
そうして、
硬質な石化
金属的な音色
高く低く反響し
やがて此処で咲く
一輪の水琴窟の幻想
あなたの中で漂う思惑。
614)冬至に夏至を想うような
心の奥に吹き荒ぶ
季節外れの嵐よ
、恐怖は感染するのだ」
蒼白な顔の伯爵が
柘榴の木を切り倒され嘆いた。
夢の淵で死のにおいを嗅ぎとる
獣の四肢が憑いて来る
垂れた涎は本能なのか?)
濁った思考を白く吐き出す
まだ甘い思慕を咀嚼しながら
火を点ける明け方の空と寝床
615)不必要な詮索を断罪する
、と彼女は云う。
染色体と鳥の巣
ボビンが絡まって落ちている
点々と、転々と。
夢を口に出した瞬間
それは現実では無かったか?
思考回路が提示され
「狂気は感染するのだ
源泉の近くから沸き立った
沸点0度の殺意だったか
毒か刃物か
どちらにせよ物騒な言葉は
焼却炉へ
616)結魂:籌略している蝙蝠傘の男は湿った地面に血痕を残さない。ただ、僅かに鉄錆の臭いだけ遺された。異論は認めない」数々の宝石が盗まれていった。緩やかな坂の上の屋敷で月夜の晩に蝋梅が匂い立つ。幾つもの言葉が蒐集されたのだ。男は夜毎、女と戯れる様に紳士的に脳内で弄び朝に原稿は燃やされる。
617)マグカップの中で胎児たちが蠢く
陶器は白磁で朝を孕んでいる
夜になれば貝の裡で黙るだろう
蝶の羽音が重く降り積む
/デッサンⅠ
618)日が、差したり
翳ったり
ひどく臆病になる
億劫になる
暗示めいた馨りと
迷彩模様の箱の家
空白に挿し込んだ行程
栞の沈黙と寡黙な堤防
/空欄の顔
619)遜色ない言葉をくれ
蟠る沼の底
仙人掌が生える喉
分厚い膨らみから弾ける
/種子
620)矩形に敷き詰められた
殺戮の記憶を垣間見る
美味しいの中に覚悟はあるか?
問われる行為から受諾する
/早弁
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