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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2022年12月の記事一覧

詩「世界は美しい」

家を出てごらん 高く青い空は美しく 君は手を伸ばす 呼吸を一つ 歩き出した君 見渡せば季節の美しさ 目に染みるだろう 耳を澄ませば音 鳥たちの歌声 水は魂の楽器の様だ 君は歩く歩く 自然と戯れるのかい 君の心が開けば世界も開く 真に美しい情景 さあ君、旅を続けよう 世界は美しい

詩「今年が終わる!!」

待ってくれ 待ってくれ 今年が終わる? 冗談だろう 『冗談だよ』 満面の笑みで君の口から言ってよ あり得ない 後、数時間しかないんだぜ きっと気の利いたジョークさ 俺を焦らせようとしているんだ 振り返り? 無いない 実りある一年だったなんて言えやしないさ 二〇二二年終了

詩「十二月の孤独」

師走と名付けられた十二月 人々は忙しなく街中を行く 独り身には行き来する人の背景が目に浮かぶ様で、心に木枯らしが吹き行く それでも人並みの年の瀬を迎え、それなりに整える 新しく迎える年に少しばかり心も弾む 宵の口に窓の外を見れば街の灯り 寂しさが孤独を連れてやって来る

詩「十二月の寒空の下」

十二月の寒空の下 思いを馳せる 皆は急ぎ足 僕はスローモーション この身に寒さという季節の贈りものが染みる 愛する人の元に向かう人々 僕は家路に着く 刹那、青空を見上げた後には灰色の空 今は窓越しに橙色の空を見て 夜の帳が下りるのを待つ 澄んだ藍色の空が見たい 冬の孤独

詩「君の器」

何々? 君は今年、沢山のことを学んだって? 凄いじゃないか 知識を入れて置く器がもう入りきらない? 参ったな、そんなビックニュースを聞くとは思わなかったよ ああ、君の顔を見れば分かるさ 瞳の力強さ 笑顔の輝き 君はまだまだ学び足りないんだね さあ、君の器を大きい物と交換しようか

詩「君の大事な荷物」

君が抱え込む大事な荷物 「捨てなよ」 僕は冷淡に言うんだ 君は必死と荷物を更に抱え込み 僕には指一本触れさせないつもりだ 「僕が捨てようか」 更に追撃 君はぽろぽろと泣き出した 「じゃぁさ、僕も持とうか」 君は首を横に振る 「僕は君ごとその荷物を持つよ」 君が少し笑った

詩「初まりがあり終わりがある」

辛くとも 初まりがあり終わりがある 悲しくとも 初まりがあり終わりがある 嬉しくとも 初まりがあり終わりがある 全てに 初まりがあり終わりがある 私たちはすぐに忘れてしまう 初まりがあり終わりがあることを それだから 余計に苦しむ それだから 嬉しくとも切なくなる

詩「心の形」

問うた 君の心の形を教えて 「ハート型かな」 照れくさそうに言う君に、僕は恋を見付けたのかなと言う 「今は星形だと思う」 輝く君の瞳に夢を見付けたことを僕は悟った 「今は金平糖のようだよ」 言い切ると俯く君に、僕はココアをマシュマロ入りでどうかと尋ねたよ 心の形は大切な宝もの

詩「メリークリスマス」

欲しいものはなんですか 物が欲しいと答えた 愛が欲しいと答えた 夢を叶えたいと言った 人には思いと愛があった それを知った 冬の空 いつもより高い空だと感じた やがて空は隠れ雪 全てが白となる 夜に人が点す色取り取りの灯りを見て 君に贈ろう 僕の思いと愛 メリークリスマス

詩「甘えること」

ちょっと肩をかして欲しいな 君には甘える権利がある 時に人に寄り掛からないと 君は潰れてしまうよ 心が潰れてしまう 君の心が潰れてしまったらさ、どうなると思う? 今度は君の体が動かなくなって行くんだ ねえ君、それはとてもとても辛いことなんだ だからさ、僕に寄り掛かりなよ

詩「語り明かそう」

君、今宵は僕と語り明かそう 丁度、真っ赤な夕陽が沈む 陽が沈み、月が昇り、そう今宵は三十日月 月も恥ずかしがって出てはこない 蜜な話しに、闇には交々控えている いいじゃないか、明日は新月 その前に語り明かそう ああ、喉を潤すものも必要だ 実は極上の蒸留酒を手に入れた さあ

詩「言う」

言うことを疎かにしてはいけないよ 君は伝えなきゃならない 君を知る人たちに 君を愛する人たちに そして時に自分自身に 言うんだ 君の思いを精一杯 そこから始まることがある そこから終わるものもある 君は言う それが一歩 受取る人がいて それが二歩 その内に三歩、四歩となり 世界が動く

詩「僕の歩み」

昨日の自分 今日の自分 明日の自分 過去の自分 未来の自分 僕は毎日毎日 前を向いて進んでいるんだ 止まらずに止まらずに 否、前を見て歩くことを続けようとしているんだ 日々は無音で過ぎて行く 辛い 苦しい 悲しい 笑ったよ 泣いたよ 僕は僕に言う この先も言えるかな 胸を張ってさ

詩「嫌と涙」

「もう嫌だ」と君が泣いた 僕は「大丈夫」と言った また「もう嫌だ」と君が言う 僕は「大丈夫」と言った もう嫌だ 嫌だ 嫌だ 君の声が震える 君の涙が止めどなく落ちる 大丈夫 大丈夫 大丈夫 僕は言う 「大丈夫?」 君の瞳が僕を映す 「ああ」 「大丈夫ね」 はにかんだ君を僕は抱きしめる