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140文字創作怪談

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Twitterで綴る140文字以内の創作怪談集です。
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#小説

140文字怪談「私の首知りませんか?」

『ねえ……私の首、知りませんか?』駅からの帰り道女の声で私に尋ねて来る。私は無視をしてそそくさと家路を急ぐ。 この街では駅からの帰り道によくある光景だ。皆慣れている。 『俺の首知りませんか?』 私の心の中が恐怖で満たされる!新霊かもしれない!!

140文字怪談「黒い雨」

傘が無い私は駅からの家路を急いだ。小降りだが雨が降り出した。その雨はよく見ると黒く。 「嫌だ!何?!」 雨はねっとりと品定めするように私を這い下に落ちた。気持ち悪さに足が竦み立ち止まると。 足下で塊となり蠢いた。後、ゆらりと人型となり立ち上がる。 「嫌…」

140文字怪談「祠」

私は祠の周りを回っている。疲れた感じはない。弟が青ざめた顔でこちらを見ている。思わず弟に手を振るとその手を弟は取った。 すると、今度は弟が祠の周りを回り出した。一気に疲れた私は悟った。誰かに触れれば代わりになるんだと。 「待ってて!」 弟に告げると走り出した。

140文字怪談「信号機」

割と交通量の多い大通りの歩行者用信号機の青点灯時の音楽が丑三つ時に変わると言う。 夜中にコーラが飲みたくなった僕はコンビニに行くついでに確かめようと思った。 「何だよ、あれ……」 聞いたこともない音楽のようなものが響き夥しい数の人影が横断歩道を渡っていた。

140文字怪談「カーブミラー」

また、新しいカーブミラーだ。これで何個目だろう。 しかも三叉路の正面に一枚だけある。設置場所が可笑しくないか?もう一枚必要じゃないか? 私はその場所をいつも怪訝な顔で通り過ぎる。 そして数日もすればまた、そのカーブミラーは首を横に折られたように曲がる。