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『ねえ……私の首、知りませんか?』駅からの帰り道女の声で私に尋ねて来る。私は無視をしてそそくさと家路を急ぐ。 この街では駅からの帰り道によくある光景だ。皆慣れている。 『俺の首知りませんか?』 私の心の中が恐怖で満たされる!新霊かもしれない!!
傘が無い私は駅からの家路を急いだ。小降りだが雨が降り出した。その雨はよく見ると黒く。 「嫌だ!何?!」 雨はねっとりと品定めするように私を這い下に落ちた。気持ち悪さに足が竦み立ち止まると。 足下で塊となり蠢いた。後、ゆらりと人型となり立ち上がる。 「嫌…」
私は祠の周りを回っている。疲れた感じはない。弟が青ざめた顔でこちらを見ている。思わず弟に手を振るとその手を弟は取った。 すると、今度は弟が祠の周りを回り出した。一気に疲れた私は悟った。誰かに触れれば代わりになるんだと。 「待ってて!」 弟に告げると走り出した。