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一四零の庭苑 2巻 連載中

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。二巻目となります。一巻も別マガジンで全1000話で公開中。 更新は、X(旧Twitter)にポスト後、こちら…
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2024年5月の記事一覧

詩「背負うもの」

背負う 背負い込む   君、辛くはないか 君、重くはないか   沢山たくさん 君一人で大丈夫なのか そうだ、僕も持とう 君は俯いた顔を上げた 君の眉間に深く皺が寄る   「辛いな」 僕は余計なひと言を発した   「知った風なこと言わないでよ」 咄嗟に謝る僕 僕はどうすればいい   背負うもの

詩「心の力」

人は心というもの持っている 人であれば皆が持っている   『何故、こんなものを人は大事に抱えて生まれて来るのだろう』   僕は時々考えるんだ けれども、いつも堂々巡りで答えが出ない でも僕は思う   「力だ、心には力がある」   僕の答えはいつもここで止まる だから生きて行けるとも思う

詩「君の器」

君はしょげているんだ 君は涙を零す 僕には分っている 君の器 今の君の器は一杯だよ たくさんの物が詰まって そこに涙が流し込まれて 溢れ出していいものやら 流れてはいけないんだとしがみつくものやら そんなんじゃ、壊れちゃう 「ねえ、相談」 とりあえず、今の悲しみは僕に分けない?

詩「集合意識」

私たちは個だ 一人はひとり 自我 個性 私たちは孤独 ひとりは独り 辛いね 淋しい 苦しい なぜだか切ないね 私はひとり 君もひとり 私と君、目が合った 私と君で一人が二人に 寄り添った 『ねえ、もしもの話しだけれど』 私と君と誰か 三人だ もっと集まったら… 私たちは集合意識となる

詩「泣いてもいいが笑おうか」

君さ、泣いてもいいが笑おうか 泣けよ 大人だからて関係ない まだ、立場だ年だと言うのか それは関係ないことと分っているね 泣くことは人の特権 笑うことも人の特権 さて、ここまで言うと心は解れたかい 泣こう 思いっ切り泣こう 最後は笑うぞ   泣いてもいいが笑おうか

詩「さみしい日曜日」

さみしい日曜日 もう日が暮れる さみしい日曜日 帳は既に落ちていた 遅めの夕食 ゆっくり味わう ああ、夜も遅い 「寝る時間か」と顔を上げ壁を見る 「早いな」と言う   さみしい日曜日 明日も日が昇るのに 明日も多分生きているのに なぜだかさみしい   日曜日 次に会う時はきっと…

詩「心残り」

残したこと それは夢   残したこと それは希望   残したこと それは恨み   残したこと それは後悔   残したこと それは挫折   残したこと それは告白   残したこと それは秘密   残したこと それは生きた遺産   残したこと それは積ん読   残したこと それは思い人   残したこと それは愛   心残り

詩「残響」

何もない 此処には何もない 『生きてて楽しいか』 頭の中で僕が僕に言う その声は響く 楽しい 知らない 分らない そんな感覚はない 逃げているんだろう そうだ 違う 響く 何時まで聞けばいい   「残響か」   これは僕の言葉遊び 感情 無気力 否、何処からか僕に入り込んだんだ 音だ 残酷   残響

詩「僕は良好」

僕は良好 僕は物じゃない 僕は出来事じゃない   僕は良好 『良好』と言えば『物』みたい 僕自身が出来事の一部みたい 僕は僕なのに 僕は人間なのに   「僕は良好」 口に出す 鼻歌だって歌う   僕は良好て言い続ける だってさ、僕は生きている 生きているけど辛いんだ 僕の置き換えの呪文

詩「欲しい物」

「欲しい物はない」と言う あれもこれも欲しいと物を漁る あれもこれも欲しいはず 欲しい物だった 何故、過去形なのだろう   欲しい物質を手に入れた 手に入れて使わず 飾っても空しく 「買ってすぐに使ってあげればよかった」と言う   空しい 空白 切ない 淋しい   欲しい物 ごめんなさい

詩「死ぬ夢」

死ぬ夢を見た 過去の記憶に溺れた 過去の亡霊を見ていた ゆらゆら ゆらゆら 夢の狭間を流される   『もうどうでもいいや…』 途端に激流 藻掻く 苦しい 助けて 助けて 嗚呼、自分は生きたいのだと悟る 足がつく 地面じゃないか ふらふら ふらふら 一歩ずつ歩く そろそろ目が覚めるだろう

詩「それぞれ」

全てはそれぞれ 君も僕も違うから   それぞれはいけないことだと思う? どうしてそう思うのかな それぞれは淋しい それぞれは辛い それは少し分かるよ   でもさ、それぞれ頑張る それぞれになると多才だ 一人ひとりになるからね それぞれになって 時々くっついたり離れたり 素敵じゃない

詩「臆さず進め」

「君、臆さず進め」 君は知っているか 君が思うほどのことはない 怖いと思うのは当たり前 戸惑うのも当たり前 時に足が止まるだろう 時に気分が優れない 故に君は激しく落ち込むんだ そんなこんなは全て通る道   「知っているか、それは皆同じ」   気にすることはない 胸を張れ 行こう

詩「時の移ろい」

時の移ろい 人の身で時に感じる、時の移ろい これは歓喜すべきことだ 「きっとそうだ」 多分、僕が横を向けば時は日常に戻る   「止まれ、僕」   この感覚を我が身に刻め この感覚は神の領域   目を閉じる 肩手足を緩める 深く息を吐く 僕は感じ取った 静寂と灯りと匂いが示す 時の移ろい