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シードラウンドでMalmeに投資した理由

株式会社Malmeへの出資を担当しました、ジェネシア・ベンチャーズの黒崎です。普段はベンチャーキャピタリストとして「最新テクノロジーの恩恵を広くあまねく世の中に浸透させたい」という想いを抱き、投資活動に従事しています。
Malme社は昨年より開始したジェネシアのアクセラレーションプログラム、『Entrepreneurs Academy』の記念すべき1期生です。同プログラムでMalme社のメンターを務めたことからご縁が始まっているのですが、晴れて今回ご一緒出来ること改めてとても嬉しく思っています。今回はジェネシアがMalmeに投資した理由に触れながら、是非多くの皆様にMalmeの事業やチームの魅力をお伝えしたく、noteを投稿しようと思い至りました。


理由①:川の流れの強さ

Malmeは「ドボクをもっとおもしろく」というVisionを掲げ、土木業界向けに3D-BIMやSaaSサービスを展開している会社です。日本の土木建築物、橋やダムの品質や安全性は世界と比較してもレベルが高く、日本が世界に誇る産業の一つだと捉えています。
この土木業界、CAD/CAM等のソフトウェア活用が進んでいる一方で、紙ベースの業務習慣も依然残っており、かつ業務の担い手の高齢化が顕著に進んでいる業界でもあります。今までの品質の高さは土木業界の方々の努力によって成立してきましたが、高齢化・人材不足・長時間労働等の課題が存在し、安全が当たり前ではなくなる未来が危惧されています。

本業界、直近で下記の様な大きな変化が起きつつあり土木業界の事業者はこれらの変化に対応していくことが求められています。

  • 2023年:国営インフラ工事におけるBIM利用の義務化

    • 変化①:3D-BIMの最新テクノロジーを活用することが求められる

  • 2024年:時間外労働における上限規制強化

    • 変化②:時間外労働規制が強化され、長時間労働に依存しない働き方が求められる

  • 2030年:ベテラン職人引退により、20万人の人手不足が発生する見込み

    • 変化③:人手不足は深刻化するため、「量」に依存しない働き方が求められる

3つの変化が重なり合い、業界全体で業務のデジタル化・効率化・技術継承の課題感はこの10年で分かりやすく顕在化していき、解決ソリューションを求める土木事業者側の需要は年々高まっていくと想定しています。

理由②:クリティカルな課題

現場に目を移します。橋やダムを立てるプロセスにおいて、官公庁から提示された企画内容を、具体的な設計図に落とし込む「設計」業務があり、その設計業務の中に「構造解析」業務というものがあります。建築物を立てる際、建築物の骨組みや利用材料を決め、土地の地盤強度・風への耐性・耐荷重性等を調べた上で、国や自治体が定めた法的基準と照らし合わせ、最適な設計図を描く業務です。この業務、非常に複雑な方程式を解く様なイメージで、因子毎のチューニングの扱いの難易度が高く、最適なアウトプットを出すためにベテランの経験と勘が必要があり、いわゆる「匠のワザ」で成立しているのが現状です。

この匠のワザの担い手であるベテラン職人の高齢化(平均年齢65歳以上)が急速に進んでおり、本業務を担える人材が年々減ってきているのが課題です。将来的には本業務を担える人物・企業は限定的になり、設計領域の品質レベルの低下が危惧されています。構造物や地盤のモデリング、耐荷重の計算などの作業の品質悪化は、土木建設物の安全性自体に直接的に影響を及ぼす領域であり、この業務を持続的に品質担保することは、日本の土木の安全性維持に不可欠なピースです。

Malmeがまず解決に取り組むのはこの課題です。3D-BIMとAI技術を活用し、匠のワザを再現するSaaS×AI型のソフトウェアを開発します。構造解析において、ベテランの知見に依存していたTry&Errorのプロセスを、プロダクトを活用することで因果関係を分かりやすく可視化&対応できる状態にすることで、経験値のない人でも簡単に構造解析業務を担える世界を作りにいきます。

理由③:BIMというフィールドの拡張性

Malmeは元々3D-BIMモデル生成を生業にしてきた会社です。3D-BIMとは2Dベースの設計図を取りまとめ、視覚的に分かりやすい3Dベースのデータに変換する技術を指します。

土木業界、引いては建設業界は分業によってバリューチェーンが構成されていますが、企画・設計・施工・保守とフェーズ毎に担い手となる会社が異なり、その情報連携コストが高いのは長年指摘されている業界課題となります。現状は2Dベースかつ各社独自仕様の図面がフェーズ毎にバトンパスされる形が一般的です。
3D-BIMの現時点の価値として、建築物の外観を分かりやすく3D化して関係者間で視覚的なイメージ共有する、いわゆる『形状情報』のシェアがメインになっています。将来的には建物に利用された部材、材料、型番など、建築物の中味の『属性情報』も付随される様になり、3D-BIMがデータベースになり、そのデータベースを共有化し、各ステークホルダーが情報を追加・編集する様になっていく可能性があります。
 ※形状情報:一見した見た目で取得出来る情報
 ※属性情報:部材や部品、材料や材質、機器の型番や品番などの情報

Malmeは現在BIM、そしてSaaS×AIのソリューション提供をしていますが、将来的にこの共通データベースやプラットフォーム構築においても主要なプレイヤーになれる可能性があり、その際には更に大きなフィールドで戦っていけると予想しています。

理由④:強いチーム

そして何より投資を決定した最大の決め手として、CEOである高取さんの稀有な専門性とリーダーシップの高さがあります。前職のパシフィックコンサルタンツ時代から、建設・土木領域における日本のプレゼンス低下を憂いており、キャリアの中で土木領域での専門性を磨きながらプロダクト構想を磨き上げてきており、「土木の領域知見」×「プロダクト構想力」を兼ね備えた稀有な起業家だと捉えています。

また高取さんのリーダーシップの下、事業を創れる優秀な仲間がどんどん集まっています。BIMサービス責任者の野田さんは業界大手の八千代エンジニヤリング出身であり、自ら個人事業主として独立経験もある方です。メンバーの強みを引き出し屋台骨として動ける、今の時代に求められるサーバント型のリーダーです。
Structural Engineの開発責任者である笹澤さんは土木の構造解析領域では著名な人物で、業界内におけるAI活用の第一人者です。笹澤さんは元々ご自身で別会社の経営をされていましたが、今回の資金調達を期にMalmeの可能性を強く信じ、社員として入社を決断された人物です。

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そんなMalme社ですが、これから事業を加速させていく上で採用を強化していきます。興味がある方は下記リンクより会社紹介資料をご覧ください!

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