ライバルは誰だ?
レースは一生懸命走るのが好きだ。
折角、必死になる時間にお金を払っているのだから、と思うのは変だろうか?
そういえば、生まれて初めて、フルマラソンレースを申し込む際、”一体全体、苦痛を感じると分かっていて、お金を払うってどういうこと?意味分かんねー。”って思いながら、送金手続きをした。
そして、それ以来、毎年、苦痛を味わう為に大金を払い続けている。
おかしなものだ。
レースは不思議だ。練習では出せない火事場の馬鹿力みたいなものが出るらしく、人間の能力って底知れないものがあるなぁ、と実感する。
だけど、それは、”一生懸命”、”必死”で走った時にしか起こらない。
そして、それはいつのレースでも起こるとは限らず、自分の思い描く結果に繋がらないことも多々ある。だけど、どんな結果であろうと、一生懸命、必死に走った時間を自分が持てたってのが、私には誇らしいのだ。
きっと、それが味わえる、つまり、苦痛を乗り越えた先の快楽を求めて、お金を払っていると言えるのだろう。
今年になり、ちょっと考えることがあり、4月ぐらいから、8年ぐらい所属しているランニングチーム(LGBTQ+のランニングチーム。ストレートでもメンバーになれる)の定期練習会に週1、2回、参加し始めた。
すると、スピードが戻ってきた。
ただ、嬉しいけど、がんになる前の自分のタイムからは程遠い。どんなに頑張って練習しても、あの頃のタイムに戻ることは絶対ないのは、分かっている。
がん患者だし、加齢もあるし、(その上、2年前に膝を大怪我して、2ヶ月近く松葉杖生活に。。。)
当たり前だよね。
と、思ってレースを走っていたが、先日走った5マイル(8キロ)レース結果を主催者NYRRのウェブサイトで検索した際、自分の画面にある”Compare(比較)"の文字に気がついた。
ん?これは・・・、と思い、クリック。どうやら、過去に走った自分の3つの記録の比較が出来るシステムらしい。
比較表を使って検索した所、今回走ったレース結果は、2015年以来がん患者として走った5マイル(8キロ)レースではPRだった。やったー。
でも、さすがに、それ以前では全然タイムが違うんだろうなー、どれぐらい違うんだろう?と興味本位で比較してみた。
なるほど、私の人生最高5マイルレースタイムは、2012年の33分38秒か。今より2分半も速く走っていたのねー。で、がん患者になる直前の2014年のレースでは、順当に加齢が入り34分03秒がこの年齢の最高タイムか。
つまり、2012年が私のランニング人生の肉体的ピークだったんだなぁ。
なーんて、しみじみ感じていたのだが、ふと、目についた*AGE-Graded Time(年齢別評価。詳細は下記ご参照)。
あれ?2012年より2014年、そして、2023年現在と速くなってね?
それも、あたくし、今回、Age-Graded Timeだと、なんと30分切って走っているってことでございますよね?1マイル6分切って(1キロ3分45秒)走っているのと同じってことですよね?
ヒェー!我ながら、ちょっとびっくり〜〜!
Age-Graded %のスコアも80%超えじゃん。すごーい。(ちょっと他人事感な驚き)
そっか、実は、私、がんになる前の私より、今の私の方がずっと良いパフォーマンスしてるんじゃん。
なんだか嬉しい。
決して、がんになる前の自分を超えられることはないと思っていたから。
単純に若かった頃の自分には敵わないと感じていたから。
でも、評価基準を変えて見たら違った。
まだまだ、私、勝てるじゃん。
誰にって?それは、私に。私のライバルは私。
それはこれからも変わらない。
今のところ、未来の自分が一番のライバルになりそうだ。
(*タイトル写真は、フルマラソンレース会場で貰った、”がんサバイバー”をアピールするゼッケン。これを胸は背中につけて走ると色んな人たちから声をかけてもらえる。)
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