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袖触り合うも多生の縁@コロラドの旅

相方とコロラドの旅に10日間程行ってきた。

相方本人の一番の目的のウルトラトレイル100マイルレースは残念な結果で終わったが、まぁ、本来、高山と灼熱に弱い体質の彼が無事に戻ってきたとすればそれはそれで良い結果である。また、そのお陰で、残りの旅が満喫出来たのも、これまた事実。

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鉄道オタクばりに、ディーゼルと蒸気機関車にも乗ったし、標高2500メートルの湖でカヌーも漕いだ。その翌日には、標高3000メートルがスタート地点のトレイルヘッドから、800メートルを結構な急登で登り、誰にも知られたくないぐらい美しい湖、コロンバインレイクと出会った。富士山と同じぐらいの標高に存在する湖は、非常に神秘的。水深と光の当たり具合によって表面の色が、薄い水色、青、濃紺、紫に近い青、エメラルドグリーンと変化する。それを眺めながら、おにぎりを食べた。至福とはこのことかと思った。

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その上、馬にも乗った。こんな山間で乗馬ができるなんて知らなかったのだが、ホテルのロビーにあるパンフレットに目を奪われ、申し込んだ。乗馬は何度か経験している。だが、馬舎が山間に存在し、そこから更に急登を登るツアーは生まれて初めてだ。崖の横を通り抜けていくコースは、非常にスリリング。登りより、下りの方が怖い。気を許すと、馬の背から転げ落ちそうだ。馬の背は想像しているよりも、高くて、太い。筋肉、筋力に感嘆する。ベジタリアンなのに、どうしてそんな筋肉作れるの?と、思ってしまうが、体質が違うからねぇ。

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と、兎に角、コロラドならではのアクティビティをこれでもかってぐらい満喫したが、旅の思い出として、頭に残るのは、なぜか旅先で知り合ったアメリカ人たちとのちょっとした会話だったりする。

相方のレース前日、コースの下見で出会ったテキサス在住のアメリカ人の親子。30歳前後と思われる息子がレースに出るので、お父さんがクルーで参加していた。まず、そのシチュエーション自体が良いなと思うし、その上、お父さん、実は、45年前に日本の早稲田大学に留学し、その後もジャーナリストの仕事をしながら日本に8年間住んでいたとのことで、日本語レベルがめちゃくちゃ高い。村上春樹の話で盛り上がり、私が本大好き人間と知ると、自分が会社をリタイヤ後、自分で小さな出版社を始めたことを明かし、そこで出版したばかりの本を1冊くれた。「テキサス人の話」という大学教授が書いた本である。お陰で、コロラドにいて、テキサス人の話を読むというオツな体験が出来た。

コロンバインレイクのコース途中で出会った、若いカップル。立ち話を始めてすぐ、女の子の方が、日本語で、「日本人ですか?私もです。」と言うではないか!え、そうなの?でも、そのスラリと伸びた脚、彫りの深い顔で?と心の中でツッコミを入れそうになったのが伝わったのか、「お母さんが日本人です。」と追加情報をくれて納得。その上、二人ともNYから来たと言うし、いやー、世界は広いのか狭いのか。「じゃぁ、今度はNYのどこかでばったり会うかもね!その時までまたね!」と手を振って別れる。

その後、トレイルヘッドまで降りてきて、出会ったアメリカ人女性。「私、若い頃、名古屋に住んで、英語の先生やっていたのよ。」と自己紹介。おいおい、今回、どんだけ日本に繋がりがある人たちに出会うんだ?ここコロラドだよね?

そして、最後のテルライド(Telluride)の宿のフリースペースで会話した初老の男性・ティムさん。シアトルから2ヶ月程、自転車で旅をしているとのこと。自分たちがNYから来たと知ると、クォモ(元)NY知事の話に及んだ。

ティムさん:「NYは初の女性知事になったね。」

私:「あ、クォモ氏、セクハラ問題で辞任したんだね。本人、あれはセクハラではなく、親しみを込めた表現で、そんな意図はなかった。でも、時代が変わったのを認識していなかったのは悪かったと思う的なことを言っていたけどね。」

ティムさん:「どんな時代でも、あれはセクハラ・パワハラなんだよ。いつの時代であっても、許されることではないよ。」

この言葉に私も相方も相当衝撃を受けた。”その時代はそれが当たり前だったから、仕方ない。”ってワケではないんだ。間違った行為は、いつの時代であろうと、間違った行為で変わりがない。許されることではない。それを、クォモ氏と同じかその上の年代のティムさんから学んだ気がした。日本人で、こんな風に考え、言葉にできる人が何人いるだろう?

🏔

旅は面白い。

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ここに登場した人たちとまた会うことはないかもしれない。ほぼ、100%’ないだろう。だけど、私や相方の人生のページにはしっかりと刻まれる。素敵な思い出として。




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