日曜日の短歌(2019.11.10)白い布

白い布 白いベッドに紙飛行機
なんにでもなる舞台の上で


昨夜、野田地図の舞台『Q』を見てきた。広瀬すずちゃん21歳の初舞台である。
その所感をすこしだけ。※演出のネタバレがあるのでご注意を。

舞台を覆ってしまうほどの一枚の大きな白い布は、すずちゃん演じるジュリエット(源の愁里愛)のウエディングドレスになり、そのまますずちゃんを覆いかぶさるように通り越し、志尊淳くん演じるロミオ(平の瑯壬生)と結ばれるシーツに変わる。

ひとり用の白いベッドはいくつか連なり、尼寺(野戦病院)に行くバスに、戦地から引き上げるための船になる。

空に浮かんでいた白い紙飛行機は、空爆を落とす戦闘機に変わる。


架空のスポーツを描いた『エッグ』の白いロッカーもそうだったけれど、白いものは、いろんなものに変わっていく。世の中の黒いものを表現するとき、印象強く作用する。

大がかりな舞台をつくらなくても、具体的に表現しなくても、演者たちが舞台にいることで、演出家の創造と観客の想像がブレずに一致していくのがいい。
そう感じた夜でした。


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