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東北groovyラッキーツアー

東北ツアーを終えた。

怒涛のツアーから昨日帰ってきて、そのまま頭ぐるぐるで仕事に向かう。バスの中で目を閉じると隣に荒川さんがいるような気がした。さっきまで鈴木さんと話していたような。ドドドと風に煽られながら東北道を走っているような気がした。向かっているんだろうか、帰っているんだろうか。バスの中だった。

初日郡山 4月15日

4月15日、まだ薄暗い3時40分に目が覚めた。「よしやるぞ」の気合いが早起きにつながったのか、だいぶ早い。外を見ると雨がパラパラ降っていた。「やっぱり雨なのね」家にあるサンバドラムを仙台でシャラポアが叩く用に持っていかねばならない。荷物が多い。あまりにも多いので車で迎えにきてもらった。今回のツアーは自分で運転も考えたが、音楽とイベントに集中したいので、運転をHにお願いした。

Hは「いいっすよ」と快く承諾。今思うとHがいなかったら相当大変だった。Hは14日の夜から大きなハイエースのワゴンを借りて今回のツアーに備えてくれていた。何もかも手弁当で未知数のツアー。ツアーの経験は沢山あるが、自分が全部仕切ってやることは記憶にあるようなないような。

ツアーというものは、沢山の人の力で成り立っている。快く引き受けてくださった出演者の皆さん、会場をつくってくれる方、PAをしてくださる方、告知してくれる方、応援してくださる方、ありがたい。何処かでも書いたことあるけど、そういう協力の上で、演者はステージの上で歌ったりできる。生半可な気持ちではできない。準備してくださっている人がいることを忘れてはいけないと肝に銘じる。ツアーを決めた時から16日の仙台のステージが終わるまでヒリヒリしていた。ピリピリともいう。気落ちを切らさないよう心がける。とは言うものの早起きしたので少し眠い。

SAにて


8時。Hが運転するハイエースワゴンが黒岡家に到着、荷物を乗せた。朝の雨はそのままだ。吉祥寺でocean wingの松村拓海と内田翼、さかゆめの3人をピックアップ。郡山までおよそ4時間。雨の中、風の中、一同郡山へ。

途中のSAで飯休憩し15時頃郡山に到着。ジャンプスの二人が出迎えてくれる。二人の顔を見ると、ほっとする。たくましい人たち、同時に、すごく信頼のおける人たち。

時は1ヶ月前、東京で開催されたs.u.z.k tultuuga ockestla(鈴木さん)のライブを見に行った。ライブが終わって話をさせてもらった。私から見た鈴木さんのライブについて。ライブ中の瞬間を切り取ってこの時はどんな気持ちだったかを聞いた。鈴木さんは丁寧に答えてくれた。フムフムと頷く私。この日、私は鈴木さんの生き様と息遣いを存分に浴びた「よし、今度は見せる番だ!」と心して今回のライブを迎えた。だからこそ結構いい意味で緊張していた。こう言うお互いの見せ合いは生きてるって感じする。

リハーサルは時間が許す限り入念にやる。しっくりくるまで。場所によって感じが違うので、自分達が気持ち良く聞こえる立ち位置や設定を探し狙う。音を徹底的に探す。我儘に粘り強く。何度か試行錯誤を繰り返し、心地よくできる場所を見つけた。3人のバランスが最大限響き合うような場所を見つけた。ベストな音。

郡山tisuu★box。自分にとってかなりスペシャルな場所。人や場所の力。思い出深い場所。聖地のような気もする。誠意を持って取り組む。

リハーサルが終わり、本番まで腹ごなし。教えてもらった近くの食堂三松会館。昔ながらの食堂というか居酒屋というか、中は昭和の感じで賑わっていた。メニューは豊富で楽しい。私の曲の中に「オムレツって文字が良いですね!」っていう歌詞があるからオムレツ定食にした。ご飯大盛りにしたら、すごい量の飯がやってきた。内田君はモツ煮込み定食。拓海さんアジフライ定食。大満足「いや~めちゃくちゃよかったすね」と内田君がいう。ワイワイと美味しくいただき会場に戻る。こういう旅は嬉しい。飯だけ食って終わればそれは旅行なのだけど、これからが本番だ。フンドシをグッと引き締めて本番に向かう。

takayuki sahara

1番手を担ってくれたtakayuki sahara。最初はエフェクターで音を重ねていく「見たことある感じかな~」とかリラックスして見ていたが、どうも違う。彼の佇まいなのか、その辺りがビンビンに伝わってくる。少しずつ音が重なり、彼の意図か意図しない音か繋がっていく。エフェクターが踏まれるたびに歪む。この音はなんだ?何かだ。何かとはなんだ。これは自分の好きな音だった。この音、どうして好きなんだろう。言葉では言えない。ただ好きだとしか。音は液体のように絶えず重なっていき形を変えていく。音の間に引き込まれた。ずいぶん集中して見ている自分に気づいた。アミューズメントパークだな。うまくいえないけど音を体験している、そんな言葉が似合う気がした。いいね!と思った。

黒岡まさひろocean wing

2番手は私たち。黒岡まさひろocean wing。3人の音のピラミッドはリハーサルで仕込み済み。あとは何かプラスアルファを求めたくこの日にちなんだgroovyを盛り込む提案。ライブは進んでいく。時を編み込んでいくように嘘くさくない何かを出現させようと3人が絡み合う。途中「tultuugaへ捧ぐ」も演奏した。鈴木さんから与えてもらった何かを返した気がした。最後まで走り切った。何かが立ち上がるのを楽しみにできたライブだった。

「super groovy」
1 初日の出
2 波って言ったら波なんだ(朗読)
3 ついつい近寄る
4 tultuugaへ捧ぐ
5 世界に散らばったもの俺のルールで
6 春の舞い上がり
7 始まる瞬間

4月15日セットリスト

ジャンプス


3番手はジャンプス。わかってはいるけど生で見ると圧巻で圧倒される。見ている誰もが「すげ~な~」となる時間だった。彼らはNHKの番組を担当してても一つも不思議ではない人たちだと思う。スノッブでクール。さらにユーモア盛り沢山で時折狂う。理想的な表現方の一つだと思う。出す音一つ一つに刺激を受けた。歌詞も展開も含めてかなり好きだ。郡山どころか日本の宝だと思う。素晴らしい。

さかゆめ


4番手はさかゆめ。(私が組んだんだけど)トリだ。さかゆめのライブは不思議なバランスだ。mcで酒井君がボソボソと申し訳なさそうに語り、ドラムのシャラポア野口が「もっとお客さんに向かって言わんと~」と前を向かせる。音も曲もすごく変で面白い人たち。そして酒井くんのどこか真っ直ぐだけどひねくれてる感じが伝わる。素直だけど素直じゃないというか。何度も聞いた曲が演奏されて終わった。1日目終了。

終了後、荒川さんと色々話す。「なんで地方は変な人が変な人のまま成り立っているんですかね」「東京は競争も激しいから、平均化されてくるんですかね?」とか「うまいコーヒーを飲んで感動したことがある」などなど、東京と地方の音楽する人のねじ曲がり方の違い、土地の味、水の味、、興味深い話をした。故郷は遠きにありて思うもの、見えないものが見える気がする。


2日目 仙台4月16日

おはようございます。5時に目が覚めた。昨日も早起きだったけど、今日も早い。テンションが上でツアー中は目が覚めてしまう。もう1時間寝れるなと思いながら「身体を休めろ~」と無理やり横になる指令を出す。6時に起床。シャラポアが見つけ出してくれた月光温泉へ車を走らせる。日曜だけ朝の5時からやっているとのこと。やった今日は日曜日!なかなか風情ある素敵な場所だった。400円とかなり良心的な値段設定。みんなで癒された。高台になっているのもあって、景色がよい。晴れていてとても気持ちが良い。みんなで郡山の街を見た。やったるで〜!

月光温泉 風呂から出ました

車を走らせる。もちろんHが運転してくれる。私は助手席にいて色々話す。後ろから楽しげな音が聞こえる。車内に埋め尽くされる音楽。カーステレオから流れる音に合わせてシャラポアのサンバドラム、己詳くんのアコギ、拓海さんの携帯シンセが響く。あまりにも盛り上がってる。ツアーは楽しい。よし!いい感じだ。いつの間にか仙台の街に入っていた。

会場のチフリグリにつく。チフリグリのオーナー井上さんが出迎えてくれて笑顔のままで会場作り。場所やものの配置を決めていく。ポンコレラのみなさんが来て挨拶。ムカイヤチさんが顔をぬっと覗かせて挨拶。俄然やる気が出る。私たち黒岡まさひろocean wingのリハ。音を出した瞬間に随分と心地よい音がした。「これはいいね」メンバー一同顔を見合わせた。やりやすい。これは流れに沿っていけばいいライブになるだろう。さかゆめもその後サウンドチェックをやり、ポンコレラのリハーサルが始まる。ポンコレラ、文化的な伝統芸だ。ナツ団長の醸し出す雰囲気も相まって素晴らしい。ずっと見ていたくなる話。その後、ムカイヤチさんのリハーサル。リハーサルを見て「こうやった方が面白いかも!」なんて思ったこと提案させてもらった。そして何個かのアイデアを採用してくださった。ムカイヤチさんのリハーサルを見てると個人的に胸が熱くなった。全力で来てくれている。この人、すごく応援したくなる人だなあと思った。これが人柄か、、と心が動かされた。

開会宣言


本番。まずはシャラポアと拓海さんによる「開会宣言」。もともとこの二人の相性の良さは知っていたので、仙台で何かしらやってもらおうと思ってこの時間を作った。二人は持ち時間を使ってたんまりやってくれた。「さすが!」文化祭のオープニングを彩るには最高のベストアクトだった。拓海さんのポーカーフェイスの中のお茶目な部分を引き出せるのはもしかしてシャラポアかもしれない!なんてことを考えながら見ていた。ブラボー!

わたしのラッキー

開会宣言の次は、さかゆめのベース石黒さんと内田君による「私のラッキー」。仙台に向かう車の中で色々試してもらった。このコーナーも不思議な感じで始まり終わった。

ムカイヤチリョーヘイ


その次はムカイヤチさん。彼はリハの時に迷っていた見せ方を本番では迷いは全てなく吹っ切れたように進めていった。個人的にグッときた。彼の表現するものは最高だった。彼が仙台で愛されている意味がよくわかった。私も大好きになった。また彼と何かのタイミングで会いたいと思った。

人の出会いというものは不思議で紹介してくださったカサコさんに感謝だ。そうそう、仙台でやるときはいつもカサコさんと瀬戸さんに色々とお手伝いしてもらっている。最初のイベントに呼んでくださったのも彼女たちだし、もう8年とかそれくらいの長いお付き合いだ。こういう人たちがいるだけで全国各地に行きたいと思ってしまう。とても嬉しい再会。ありがとう。二人とも!

人形劇団ポンコレラ

その次はポンコレラ。最初から最後まで魅せられた。傘の柄がフワリフワリと舞って始まったセンスに「ブラボー」と思う。流石だ。最後に拓海さんと内田君の伴奏も入り幸せな余韻を残した。

さかゆめ

次はさかゆめ、アコースティック編成。いつも通り酒井くんのMCは辿々しいが、曲は芯が通っているのだ。石黒とシャラポアと言う強いツートップによって酒井くんの世界が増大させられる。時折シャラポアが一緒に歌うサビが気持ち良い。サンバドラムもこれまた気持ちいい音でなっている。「ええやん!」石黒は真面目な顔でベースをギターアンプに入れて音を出す。いい雰囲気だった。

黒岡まさひろocean wing


最後に俺たちの出番。トリですな。箱の音が心地よいから全部気持ちいいに決まっている。そして無事終わった。よくぞここまできた!計画した時は、夢みたいな話だと思っていたが、ここまでくると現実だ。しかし楽しすぎる。現実だけどやっぱり夢みたいな話だなと思った。我らステージをやりきり、なんと仙台特有の味のある拍子のアンコールまでいただいて、アンコールをやりきって終わった。よし!駆け抜けた。いい感じの呼吸ができた気がする。

「春のラッキー」
1 こだまに乗って
2 ついつい近寄る
3 初日の出
4 一番後ろになったら
5 世界に散らばったもの俺のルールで
6 重大発表
7 春の舞い上がり
アンコール 駅前のローソン

4月16日セットリスト

来てくださった方に古美術のTシャツを着てくれている人がいた。色々と話をする。チキポトの皆さんや、たくさんの人たちが来てくださった。本当に、ポンコやムカイヤチ君をみに来てくださった方が大半だと思うけど、最後まで楽しんでくださって本当にありがたいっす。こんな幸せな時間が持てたのも温かい視線のおかげだ。感謝してもしきれない。

片付ける。片付けてたらチフリグリの井上さんが「みなさん!飲んでください!」とビールを用意してくれた。私は眠気のピークだったので「いや、リンゴジュースかオレンジジュースでお願いします!」と言ったら「オレンジね〜!」と出してくれた。みんなで演奏が無事終わったことを祝福、乾杯。ありがと~ありがと~。手伝ってくださった方、ありがと~!シャラポアが「最高やで~ビールも飲めて~ひゃっひゃっひゃ」と盛り上がっている。良い日になった。みんなで笑う。能天気に。良い旅だった。

そして安全運転で東京に帰ってきた。いいツアーだった。ありがとうみなさん。また来たいものです。ありがとうございました〜〜!


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