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こんな龍が生まれることがあるんだ!

2023年の7月1日



ツーデイズ。いや、スリーデイズ。駆け抜けていきました。貴重な時間を過ごしました。

6月30日(金)


6月30日、全ての仕事を終わらせて新幹線で向かう。各務家に20時に到着。

東京と名古屋オンライン練習

東京と名古屋で距離も離れているため、実際に会って打ち合わせしたのはライブの前日だった。各務家にくるのも3年ぶりかもしれない。一時は年に何度も会って打ち合わせをした曲を作った各務の家。ひっさしぶりに来させていただいた。

一通り事前に打ち合わせしていた既存の曲を共に合わせていく。大きな声を張り上げたり、「ここはバスドラがいい、、」とか、アイデアが矢継ぎ早に出される。そこでセットリストが決まっていく。
1「謎の外国人、そして通訳」
2「タロイモ原住民の叫びと祈り」
なんて感じだ。仮のタイトルをつけながらベストの位置を探っていく。今できる最大値を探すべく本番さながらに歌っていく。いい感じだ。夜の1時になり「もう、これは新曲を作ろう!」と何食わぬ顔で提案。我ながら急で酷い話だ。普通なら「え?今から?ここでですか!」ってなるところ、各務は全て受け入れてくれ黙々と2人で作業を進める。自分もそうするつもりじゃなかったけど、それが決まっていたかのように始めることになる。各務とのやりとりはいつも不思議だ。なんでそうなっているのかわからないが、全力でそれを追い求めていく。各務もそんなスリリングな場所によく行ってくれるよ。信頼してくれているんだね。「いやいやそんなん誰もやらないでしょう!」ってところに無邪気で進んでいく2人。自分でも怖いもの。とはいうものの逆になんだか自分のことながら可愛らしい。「がんばれ!」とエールを送る。「これはいい。こっちは違う」なんてコードを探す。2人で話し合い決めていく。深夜に残った残業をこなしている会社員のようにも見える。メロディーも歌詞もまだない。できるかどうかわからない。ただコードだけは決まった。深夜2時、ヘロヘロだ。力尽きて「無理だから寝よう」と、、とにか、、とにかく明日9時に散歩しに行こう!。と決めるだけ決めて寝る。

7月1日

くろおかかくむライブの日。17時にはブラジルコーヒーにリハーサルに行かねばならない。逆算すると15時には曲ができてないとダメだ。もし万が一できなかった場合、どうやって自分たちの持ち時間をやろうとしているのか、、そんなものはわからない。そんなもん知るか。とにかく限られた時間で曲をつくって披露する。これが俺たちに与えられた使命だ。てかそんなの想像してなかった。そうしなさいと誰かが言ってるみたいだった。俺の中のボスが。9時に起床。曲のことをぼんやりと思いながら、寝ながら暗闇で膨大なメモをしていた。しかしそれは形にも何にもなっていなかった(全部ボツになったけど)。
予定通り近くの千草公園まで歩く。近くの喫茶店にて腹ごなししながらコーヒーを飲んで色々と最近のことを話す。曲作りをしなくてはならないのに、休憩中のサラリーマンのように近況について話をする。私はこういうのが大切だと思っている。10時に千草公園に戻り、ふと見つけた噴水の前で「噴水ってタイトルの曲作るで」と提案する。出たり、出なかったりを周期的に繰り返す噴水。「俺たちはこれから噴水の周りをグルグル回るよ」と共にグルグル周りを歩く。ハンカチ落としのように。椅子取りゲームのように。とにかく周りをグルグル回る。俺は紙とペンを持っている。何かを地上に降ろそうと、言葉を一生懸命探してる。どんな言葉が落ちてくればいい?どんな曲になればいいか、、、どんな曲にしよう?そんなことから少し離れて、ただただこの噴水から言葉を引っ張ってこよう。言葉が降りてくるのを待とう。噴水した!「はい!各務、言葉を語って!」

各務言葉を出す。俺はメモする。いいかどうか判断はできない。噴水が止まる。
今度は紙とペンを渡して、私が言葉を引っこ抜くターンだ。噴水が出てくる。おそるおそる言葉を出す。各務後ろでメモする。

グルグルと噴水の周りを歩いて言葉を捻り出した。各務→俺→各務→俺→各務→俺3ターン続けた。いいのか悪いのかわからない。でもいいフレーズあった気がする。

家に戻り、歌詞を精査。昨日作ったコードにのせて歌ってみる。今度は各務が歌ってみる。段々とできていく。コードに曲とメロディーを合わせていく。なかなか難儀な作業だが、完成までもう少し。何度もやってしっくりさせる。

どうしても採用したい歌詞があり、そこをサビにさせていただいた。

ライブの3時間前にまだつくっている。でも、もう少しでできそうだ。何度も歌う。しっくりするまで歌う。仮の録音する。録音したものを聴き直して、また作り直す。何度も何度もやり続けていくうちに輪郭が見えてきた。メロディーも少しづつハマってきた。「あ、、これ、、いいかも」なんて思いながらも口には出さずに10回くらい歌っては試して、歌っては試して。大分できてきた瞬間にふと襲ってくる感覚。「あ。これすごい面白いことになっている」と感じた。完成するまで顔には出さないようにしていたけど、かなり興奮していた。ワクワクしていた。音楽の神様がまだチャンスを与えてくれているようだった。出発の2時間前に新曲「噴水」はできた。完成した時にとてもいい曲だと思った。できた曲を何度も何度も練習させてもらった。だって私がやりたくて仕方がないものですから。

あまりにも私がその曲ばかりやるものだから、各務が「他の曲も練習しましょうか」と言ってくれたが、「いや、この曲だけ何度もやりたい。体に落としたい」と伝える。とにかくやりたくなっているのだ。やっていると一つのことに気づいた。あれ?この曲。このサビの歌詞。

わたしが地上に出たときに あなたは言葉を語っていいの
わたしが水の中にいるとき あなたは言葉を探していいの

「噴水」の一部

「噴水してるとき(水が地上に出たとき)に、噴水から言葉をもらって、僕たちは語る。噴水が終わったら(水の中)、言葉を出すターンは終わり、なんて言おうか考えてる」ってこの曲の作り方をそのまま言葉にした歌詞だったんだけど、あることに気づいた。これは

わたし(→赤ちゃんとか生まれてくるもの)がこの世に出たときに
あなた(→お母さんとか生まれたものを見つけた人)が言葉を語って!
わたしが水の中(赤ちゃんの場合は羊水の中ってことになる)にいる時は
あなたはどんな言葉をかけるか考えておいてね

ってことになるんじゃねえか!って思いついて「こわ〜!」ってなった。なんだこの曲!この解釈を思いついたが、各務には言わずにライブのMCで言えたらいうことにしようと思った。家を出る。すごい曲が生まれたかも、、なんて思いながらブラジルコーヒーに向かう。リハーサルを終えて「くろおかかくむ」のライブ。全力でやりました。最後の曲も歌い終わった。上手くできた。走り切った。とても充実した曲になった。全てのアクトが美しかった。

ライブ中。いろいろあって覚えてない

ライブが終わって、ミスさんと話をさせていただいた。「最後の曲よかったです。赤ちゃんのことを想像しました」って言われて、すごくビックリした。結局MCでそんな説明はできなかったのだけど、そう感じてくださった人もいたんだ。自分が頭でぼんやり思ったことが、ちゃんと伝わった(一つの解釈だけど)と思うととても良い気持ちになった。すげ〜。そして怖っ!


角田家に泊。7月1日が駆け抜けた。いい夜に違いなかった。


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