いつか必ずと思ってた。忙しいとか疲れたとか逃げ回ってた。正直、実力不足は感じていたし、上手く表現すること出来ないと思っていた。そうこうしているうちに、平凡で退屈な毎日が何層にも重なり、強く願っていたモノを押しつぶしてしまっていた。真正面から向き合うどころかその存在すら探し出せなくなっていた。忘却の彼方とはまさにこれだ。とある景色、ラジオから流れてきた懐かしい歌、どこか覚えのある香り、軽い頭痛に、甘い胸やけのするようになった缶コーヒー、吸いすぎて不味く感じたいつもの煙草、かったるい仕事帰りの車の中。


全部が偶然すぎる重なりを見せたとき、あのときに見ていたモノが鮮明に蘇った。


血液が逆流する。鳥肌がいつまでも治まらない。頭の中があの頃に戻ったように、強烈なデジャヴュだ。


どうするかなんて決まっている。とんだ遠回りだったようだ。

過去に見たものは、今の僕に向けたモノだったんだね。


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