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ミニチュアペイント 上達の近道教えます

ミニチュアペイント歴大体20年のおっさんがこれまでを振り返って「上達への近道」をまとめてみました。この趣味を始めたばかりの人に向けて、なるべく無駄足を踏まない方法を書いたつもりです。とっちらかった内容で読み辛いと思いますが、少しでも参考になる部分が見つかれば幸いです。

塗料は一番ユーザーが多いであろうシタデルカラー、ミニチュアは主にウォーハンマーの物を使って解説していきます。

近道その1:完全コピーを目指して作例通りに塗ってみよう!

ナニソレ?と疑われるかもしれませんが、経験上一番簡単に上達出来る方法です。一度試してみる価値はありますよ。

ウォーハンマーの月刊誌ホワイトドワーフや
https://www.games-workshop.com/en-JP/12-month-sub-JPN-2017
(第453号 2020年4月号 82〜83ページに掲載)

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ウォーハンマーコミュニティ
https://www.warhammer-community.com/

SNS(TwitterやInstagram)もしくはミニチュアのマニュアル等でゲームズワークショップのペインターさんが紹介してくれる作例のレシピ(使用するシタデルカラーの種類と色を塗り重ねる順番)を"自己流のアレンジをせずに"をまるごと真似して一体完成させます。動画の方が手順が分かりやすい人は、Youtubeを参考にするのも良いかもしれません。

https://www.youtube.com/user/GamesWorkshopWNT/videos

そうすると塗り手がどういう意図でその色の組み合わせを選んだのか、自分のような色彩感覚がイマイチな人でも…ふわっと感覚的にではありますが、言葉で説明し辛い色同士の関係性を理解出来るようになります。つまり次回作からは完全我流で四苦八苦していた頃よりマシな色選びが可能になるんですね。何作か真似させて貰ってその色のコツを掴んだと確信できたら、その後は自己流のアレンジを加えて個性を出していくと良いでしょう。これを繰り返すと自然にどんなミニチュアでもそれなり以上の質で塗れるようになっていきます。

シタデルペイントシステム、ペインターなら必携のシタデルペイントアプリ(Citadel Colour: The App)や
https://www.games-workshop.com/en-JP/Painting-App-ios-2017-jap

ゲームズワークショップの通販ページ
https://www.games-workshop.com/en-JP/Painting-Modelling
(カラーを一色選ぶとその色を中心にしたレシピを教えてくれる)
だけを参考にして塗るのも悪くない選択ですが…例えば黒を塗りたい!という場合、

基本の黒
①アバドンブラック(アーミーペインターのマットブラックでも可)
②エシングレイ
③ドーンストーン
④アドミニストラトゥムグレイ

(使用例:本体色に手順3まで使用)

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寒色寄りの黒
①アバドンブラック(アーミーペインターのマットブラックでも可)
②ダークリーパー
③サンダーホークブルー
④ラスグレイ
⑤フェンリシアングレイ

(使用例:スカートに手順4まで使用)

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暖色寄りの黒
①アバドンブラック(アーミーペインターのマットブラックでも可)
②スケイブンブライトディンジ
③ドーンストーンorストームヴァーミンファー

(使用例:籠手の紐に手順2まで使用)

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こんな感じでいくつも候補が表示される(実際は3つどころではなく、もっと大量に出てきますw)と、どれを選ぶのが正解なのか混乱しちゃいますよね。レシピが書いてある箇所はそのまんま真似をさせて貰って、足りない部分だけシタデルペイントシステムを参考に補ってやると良いでしょう。

お手本にする作例は

A.美術の専門教育を受けた人(ダレン・レイサムさんとか)の超絶作例
B.それ以外の人の作例

だと、最初の内はBを選んだ方が良いように思います。Aは経験値が貯まってから挑戦すると楽しいですよ。

実例を出すと、過去にこんなのを真似していました。

レギオンオブダムド 2009年

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 スペースハルク ブラッドエンジェルターミネーター 2009年

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自分の場合、この趣味を長く続けられた理由の一つに先程紹介した月刊ホワイトドワーフで披露されるペイントガイドの存在があったように思います。色音痴を自認している自分のような人でも、真似して塗っていればその内に矯正されて、そこそこマシになるんじゃないか?そんな下心的な淡い期待もあって続いたのかも。

ちょっと脱線しますが、色彩感覚には地域性があるような気がするんですよね。ゴールデンデーモンを見ているとイタリア、スペインあたりのペインターさんは独特の芸術的な塗りをしていますよね。国内で目立つのは、関西のペインターさん達の上手過ぎ、センス良過ぎ傾向。心の師匠、僑忠さんを始めとしてやたら上手い人が多くないですか?ミニチュアではなくガレージキットの話になりますが、一度だけ訪れたことのある怪物屋さんのショーケースにも凄い作例ばかり並んでいて度肝を抜かれました。関西の人は色彩感覚が派手好みだ、なんて一般的に言われますけど、それを模型に落とし込むとあんな感じにメリハリが効いて雰囲気良く仕上がるんだろうか?とその秘密が気になって仕方ありません。

近道その2:はみ出さないようにドライブラシしよう!

レイヤリングでは出せないタッチを表現出来るドライブラシは、上手に扱えれば近道間違いなしのテクニック。でも何も対策せずにゴシゴシすると狙った範囲を超えて周囲にまで色が乗ってしまう困った奴でもあります。そんなお悩みはこの英国地下鉄風ロゴのマスキングガムさえあれば万事解決。

・マスキングガム 380円
https://horizing.ocnk.net/product/43

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お陰で完成直前に一部分にだけドライブラシをかける、なんて今迄不可能だった使い方が可能に。序盤以降は出番のない初心者向けのテクニックというイメージを払拭できますよ。商品自体は有名でも実際にどう使うのか?を解説している所は意外に見当たらないので詳しく解説していきます。

まず100均の眉カット用先曲がりハサミを使い、必要な分量だけチョキっと切り出す格好でケースから取り出します。

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グリーンスタッフワールドの動画では何故か指でちぎっていますが、伸びて糸を引くので絶対ハサミの方が楽です。

次に必要な分量だけピンセットで軽くはさんでカバーしたい部分にちょんとのせます。ピンセットは全長が短いものが扱いやすくてオススメ。自分は全長70mmの「RUBIS 2M-SA」を使っていますが、別に非磁性ステンレス鋼じゃなくてもイイや、って人はもっとお安いのでも十分だと思います。

・RUBIS ルビス 精密ピンセット 2M-SA 2310円
https://www.amazon.co.jp/dp/B009YCQR1G

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後は下記3種類を使って、時に押さえるように、時に伸ばすようにカバーさせたい部分に密着させます。

・CITADEL MEDIUM TEXTURE SPREADER 1300円
https://www.yodobashi.com/product/100000001003194776/

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・アシーナ スタイラス P-1 484円
http://fullmetalplanet.biz/shop/tool/gf9_tool.html

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・Masq-Mini(現在のBeeSPutty.com) Fur Sculpting Tool 当時価格12ユーロ(絶版

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この3種類はなるべく同じ品を使うのを勧めますが、絶版のファー・スカルプティングツールだけは似ている物で代用してみて下さい。先端がプラスチックで塗面を傷めにくい、というのが肝です。ここでの注意点は間違ってもクレイシェイパーを使わないこと。

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一見、最適なツールに思えませんか?実際はとんでもない罠で、使ったが最後、シリコンチップにマスキングガムがへばりついてどうやっても剥がれなくなります…(経験者談

ドライブラシを終えたら、ピンセットで端からそっとめくりあげて剥がしましょう。前後ぐるっと巻き込むようにカバーした場合は剥がす時に先曲がりハサミも併用するとより簡単に剥がせます。

近道その3:塗るのが楽しくなる色を選ぼう!

実際の労力はそんなでもないのに、まるで手間と時間を掛けたかのように見映え良く仕上がる色をメインの配色に据えると楽しく作業出来て上達にも繋がります。逆に初手で手間暇が掛かる割に良い仕上がりが望めないコスパ最悪の地雷色(後述)を選んでしまうと、ペイントそのものが嫌になってしまうかも。

オススメは赤色。適当に塗っても見られる仕上がりになりますし、じっくり塗り込めば最高の仕上がりが約束されているコスパ最強色。カラーセラピーというのか、心なしか塗っていて心が元気になる効果もあるような…。

簡単に仕上げたいなら、現行シタデルペイントシステムで紹介されているこちらを。

①メフィストンレッド
②アグラックスアースシェイド
③イビルサンズスカーレット
④ファイアドラゴンブライト

最高の仕上がりを目指して塗り込みたいなら、シタデルカラーが代替わりするまで「ブラッドエンジェルの赤色」として紹介されていたレシピをアレンジしたこちらを。

①メフィストンレッド
②レイクランドフレッシュシェイドでシェイド
③アグラックスアースシェイドで#2より狭い範囲をシェイド
④ライノックスハイド+黒でスミ入れ
⑤イビルサンズスカーレット
⑥(必要ならトロールスレイヤーオレンジ)
⑦ファイアドラゴンブライト
⑧タウライトオーカーでスポットハイライト

初めて見た時、綺麗な赤色のハイライトにくすんだゲロ茶色(旧ヴォミットブラウン=現タウライトオーカー)を使うんだ?と驚いたレシピです。

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反対にオススメ出来ないのは白、黒、銀などの無彩色系全般。どの色も面倒な割に仕上がりに苦労が反映されないパターンで苦行必至。更に金属色だと反射がキツくて目まで疲れてきます。どうしてもこの中のどれかをメインカラーに据えなきゃいけない状況なら、多少はマシな黒を選ぶと良いかもしれません。

近道その4:自己分析してみよう!

手を動かして上達を目指すのとは違った路線のアプローチ。自己分析して不得意な事と得意な事をはっきりさせておくと要らぬ失敗が避けられます。

例えば自分の場合なら…

不得意:配色や混色など色彩感覚が必要とされる分野全般

得意:細かな書き込み

こんな感じでしょうか。この場合、配色や混色の参考に出来る設定や作例が豊富かつ、模様やピュリティシールで書き込みの見せ場を作れそうなミニチュアを選ぶと良い結果が得られます。

もしもあなたが…

不得意:細かな書き込み

得意:配色や混色

と全く逆のパターンなら、模様やピュリティシールなど複雑な塗り分けを必要とする造形がなく、センスを活かして独創的な配色に挑戦出来るミニチュアを選ぶのがオススメ。

そうそう、ミニチュアペイントに限らず『手先が不器用で細かな作業が苦手』と思い込んでいる人がいると思うんですけど、実際は手先の器用さそのものに問題がある訳ではなく、取り組み方に問題があるだけかもしれませんよ。総じて器用な人なら「このやり方では失敗しそうだな…」とカンが働いて敬遠する地雷ルートを通ってしまっている印象です。

一番よく見るのは性格がせっかちなケース。
器用な人が「1時間掛かる」と言っている作業を、何故かそれよりも短い時間で終わらせようと慌ててしまい失敗。
倍以上の時間を掛けるつもりでじっくり腰を据えて作業すれば結果が変わるかも。

次に多いのが性格がちょっと雑なケース。ありがちですけど、マニュアル等をよく読まずに出たとこ勝負で作業して失敗。これは単純に確認を取りながら丁寧に作業する事を心掛ければ失敗を避けられる筈です。

…思うにこういう趣味って得意な事だけで構成されているとすぐに飽きちゃうんですよ。自分の場合、ミニチュアペイントに必要な3つの要素、色彩感覚、器用さ、多少の英語力、の内2つも不得意(2つ目は英語)だったりするので、他人から見たら何でこの趣味を続けてるのか理解に苦しむレベルだと思うんですけど、きっと不得意な事と得意な事のバランスが丁度良かったんでしょうね。適度な歯応えがあって、失敗してももう一回やってみよう、そんな気持ちになるというか。でも考えてみれば不得意=人並み以下って事ですから、この先自分に人並み以上の色彩感覚が身に付いてドヤる未来はやってきそうもなく。多分どうにかこうにかオーバーハングの先のある人並みレベルに辿り着ければ御の字、そこが栄光のゴールで感動の最終回、というのが現実的な着地点だろうな…と少し寂しさを感じていたり。一方、そういうのが本当に得意なタイプ、例えば美大を出てるような方からするとイマイチ物足りない趣味なのかもしれない…とも想像しています。これ迄に数人見かけましたが(そういう人は1体目から滅茶苦茶上手い!)大体2〜3年で卒業していかれる印象です。

□関連する小技紹介□

手先が器用な人でも緊張するのが綺麗に塗装し終えたパーツを接着する工程。対象が小さい事もあって0.5mmでもズレると台無しな仕上がりになりますから、失敗が許されませんよね。そこで重宝するのが少し古くなったゼリー状瞬間接着剤。

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新品だと文字通り一瞬で固まりますが、古いと時間に余裕があって更に接着強度も弱め。失敗しても簡単にやり直せるんです。気を付けて欲しいのが接着剤の粘度、糸を引き始めたものは完全に劣化していて使い物にならないので捨てましょう。失敗が心配な場合(真鍮線で軸打ち加工したメタルミニチュアなど)は古めの接着剤で、絶対に失敗しない場合(最近のスナップフィット方式とか)は新品で、みたいに二刀流で使うのがオススメ。ズレずに固まった後、もしも必要なら液体の瞬間接着剤を流し込みガチガチに接着し直してやれば万全です。

近道その5:上手く塗れそうなミニチュアを選ぼう!

立体塗り絵と表現される事もあるミニチュア。ペイントがどうこう以前に元々の造形の良し悪しで仕上がりが大きく変わってきます。アニメに例えると分かりやすいかもしれません。

作画=ミニチュアの造形
デジタル彩色=シタデルカラーでのペイント

の関係性で、作画が酷いとデジタル彩色でどう頑張ってもカバーできないんです。色を加えてより良くするというよりも粗を誤魔化す、みたいな変な方向になっちゃうというか。逆に作画さえ良ければベタ塗りでも迫力があるものに。なのでとにかく造形が格好良いミニチュアを選んでおくことが大切です。ミニチュアの場合、良造形なら丁寧にはみ出さないようにベタ塗りをして、シェイドで墨入れする簡単仕上げでも十分見映えがします。余力があれば軽くドライブラシをしてハイライトなんかもちょんちょんと足せたらもう最高。

塗りやすい造形かどうかというのも重要な要素なんですけど、最近のウォーハンマーのミニチュアはわざと造形を極端にディフォルメしていて、簡単なエッジハイライトだけでも格好良く仕上がるように計算されているので、その辺は安心です。造形は凄く良いけれどリアル路線のメーカー、例えばダークソードミニチュアやサンダーボルトマウンテンはエッジハイライトだけでは格好良く仕上がらないので初心者の内は避けた方が良いでしょう。

あとこれは造形ではなく素材の話になってしまいますが、ファインキャスト製のミニチュアはオススメできません。原型の造形自体は魅力的なんですけど、素材の質が悪過ぎてまともに仕上がらないんですよね。じゃあヘヴィメタルチームの人はどうやって作っているんだろう?と気になる所ですが、噂によると完成見本にはファインキャストではない全く別の素材(昔ながらのメタルやコレクターの間でスタジオレジンと呼ばれているフォージワールドと同等のレジン複製品)が使われているとかいないとか…。

近道その6:表情や目線を描き入れよう!

そんなに絵心や画力は求められない趣味の筈なんですが、この時だけは必要になってくるので厄介です。これが二次元の塗り絵なら瞳の線画が入っていて当たり前のところ、模型はそこだけ「お好きにどうぞ」の投げっぱなし空白状態。思い切って素顔を晒しているキャラはやめて、兜姿に逃げるのもアリかも。

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経験上、受けより攻めの魅力の方が簡単に表現出来るみたいです。優しい表情よりは怖い表情、可愛い女性キャラよりいかついおっさんや爺さんの方が圧倒的に楽なので、好みはあるでしょうけどまずはそういうのを選んでみてはどうでしょうか。

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アニメ顔は殆ど塗ったことがないんですけど、様式美というかお約束が多い分リアル顔よりも一段難しい印象があります。

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悪役の場合は瞳を入れない方が迫力が増すように感じますから(入れると話が通じるマトモな人感が出ちゃう気が)その必要のない悪役キャラで表情を描き込む練習だけするのも良いかもしれません。

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それでも瞳を入れたい場合は、目線を揃えるのがかなり難しい両目のモノを避け、隻眼のおっさんミニチュアから始めるのをオススメします。

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視線の方向はミニチュアの大きさとキャラクター性で決めましょう。体が小さいミニチュアなら極々普通の目線に塗るか、もしくは自分よりも体が大きい相手を見上げる挑戦者のイメージでやや上目がちの目線に。体が大きいドラゴンなら逆に見下ろし目線がそれっぽく決まります。

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ここでやりがちなのが、力が入り過ぎて実際の造形よりもアイラインや瞳を大きく描いてしまう失敗。例えば女性キャラなら男性キャラよりも微妙に瞳を大きく描き込んでやりたくなる気持ち、分かります。でも油断すると昔のプリクラ宜しく目元だけ拡大加工したよ!みたいな違和感を覚える仕上がりになるのでご注意を。

未塗装状態と並べると分かりやすい失敗例。気合が空回りして明らかにモールドよりも大きく描き過ぎています。

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こっちの2つは何とか適正な大きさで塗れたかな?という仕上がり。

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動物ですが、このミミズクも丁度良いバランスで入った成功例かも?

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ルーペや実体顕微鏡を使っていない人は写真に撮って確認しながら進めるのが良いかもしれませんね。

余談ですが、異形のモンスターの場合はあえて瞳を描き込んでやるのも手なんじゃないかと思います。瞳が入ることで得体のしれない雰囲気が増してより気持ちの悪い仕上がりに。瞳の数を増やしてみたりと人間キャラでは出来ない工夫が凝らせて楽しいですよ。

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□関連する小技紹介□

造形の都合もあって大抵視線が上に向きがちなので、下に下にと意識しながら作業を進めると失敗し辛い印象です。まずは瞳の真中部分に小さい点を打って遠目から確認、視線が自然な事を確認したら一回り大きくして確認、更にもう一回り大きく、と徐々に実際の瞳のサイズに近づけていくのが一番簡単かも。瞳を入れる際に使うと便利なツールや作業手順は↓の前回の記事内で紹介しています。

近道その7:NMM(ノンメタリックメタル)とTMM(トゥルーメタリックメタル)の特徴を知ろう!

具体的なペイントの進め方、長所と短所を理解すると自分はどちらに向いているのかが分かります。

NMMのペイントの進め方

油彩画的に光を描き込んでいくスタイル
暗色の上に明色をグラデーションさせながら重ねて凸部を目立たせる

NMMの長所

☆描き込みで情報量を増減させられる
・写真映えするのでSNSに向いている

NMMの短所

・金属色ではないため薄暗い場所では輝かない
・一体塗り始めると整合性の問題からアーミー全てをNMMで仕上げる必要が出てくる
・とにかく時間が掛かる

TMMのペイントの進め方

水彩画的に影を付けていくスタイル
地の金属色を残しつつ、シェイドやコントラストで凹部に影を入れる

TMMの長所

☆リアル金属色なのでどんな状況でも輝く
・メーカー見本のように仕上がる
・NMMよりも時間が掛からない

TMMの短所

・造形によっては(特に上向きの角度が付いているとマズい)描き込みが飛んでしまって撮影で反映されず写真映えしない

星マークが特に大切なポイント。どちらかが圧倒的に優れている技法という訳ではなく一長一短ですから、長所と短所を見比べつつ、お好みの方に挑戦すると後悔がなさそうです。華のあるなしで評価するなら、コンテストに向いているのは圧倒的にNMMの方でしょうね。またNMMは完全ツヤ消しの塗料が向いています。現行シタデルカラーなら間違いないですが、ちょっとでもツヤの出る塗料だとおかしな仕上がりになっちゃいますから要注意です。

実例を出すと、NMMでこんなのを塗っていました。

ウィッチエルフ 2003年製作

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負傷マリーン 2009年製作

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改造グランドマザー 2013年頃製作

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ラーミア ヴァンパイア 2013年頃製作

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2003年頃〜2013年頃迄はNMMを続けていたんですけど、その後TMMに移行しました。ご覧のように長い期間続けていた割にイマイチな仕上がりのモノしか作れずじまいでして、どうしても違和感が残る変な仕上がりになっちゃうんですよ。いつか再挑戦してみたい気持ちはありますが、今のままだとまた中途半端な結果になりそうで…。

TMMはこんな感じです。

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□関連する小技紹介□

TMMで必ずお世話になるのがシタデルテクニカルのラーミアンメディウム。

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このカラー、実は最後まで使い切らずに捨てた方が良い塗料です。沈殿したフラットベースがイタズラするのか、瓶底の方は仕上がりが安定しないんですよね。濃度もドロッとしてきますし、新品のサラサラした状態の方が楽に上手に塗れます。勿体無いですけど、12mlサイズの旧ボトルだと1/3残っている程度が新品への替え時。そして、もしも新品状態で変なツヤが出るようなら不良品確定、諦めて買い直しましょう。この場合、別のお店、無理なら別のロット(左側面に斜めに印字してあります)を選ぶようにすれば、失敗しません。

近道その8:撮影環境を整えよう!

ある意味ペイントよりも大切な部分。少し手間を掛けてやると、ぐっとミニチュアの魅力を引き出せるようになります。

自分の撮影機材はこんな感じ。カメラの趣味はないので、なるべくお金を掛けないをモットーにやっています。9年も前のコンデジを使っているレベルのド素人だけに詳しい方から見れば改善点だらけだと思うので(笑)より良くアレンジして使ってみて下さいね。

・カメラ:リコーCX6
https://www.amazon.co.jp/dp/B0067OHT20

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・背景紙:Hangar18 Photo Backdrops - Grunge(メーカー廃業?

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・主照明:フォトラ
http://amazon.co.jp/dp/B005KPFDTI

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・補助照明:LEDスタンドライト ブラック GH-LED08STK
http://amazon.co.jp/dp/B001AX7BS0/

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・ミニ三脚:3本
①Velbon ULTRA MAXi miniIII(カメラ用の高価なモノx1
②SLIK ミニ II(フォトラ用の安価なモノx2

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・撮影ボックス:自作

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自作の撮影ボックスは文具店で売っているギフトボックス(17×8.5×13cm)を加工した品。光が入るよう天井部分をカット、Amazonのダンボール中敷きを流用して上部を延長、側面を斜めに加工、側面内側にはレフ板効果を期待して一度クシャクシャにしたアルミホイルを伸ばして貼っています。改造後のサイズは25×16×13cm。ミニチュアに対して大き過ぎると綺麗に写らないので、余力があればサイズ違いを何箱か作ってみて、自分にとっての最適な一個を探してみると良いですよ。

撮影の際は撮影ボックスをデスクから一段高い場所(自分の場合は15cm高)に置くのがコツ。左右に三脚を装着したフォトラ、補助灯はミニチュアの目や顔の表情が暗く写らないようにLED部分を上下逆に回転させておいて、斜め下から光を当てられる位置にセッティングしましょう。

ライティングの考え方としては女優さんを撮影するのに近いかも。ミニチュアをランナー状態や未塗装状態で撮影する時は造形そのものを撮影しようとしますよね?時には迫力を増すために画面の明暗差を大きくして立体感を強調してみたり。でも塗装済みのミニチュアの場合は造形ではなく、その表層にある塗料の膜一枚、女優さんで言うメイクの部分だけを撮るようにすると良い結果が出る気がします。既に塗面には実物であればきっとこんな影が付くだろうといったサイズ感を考慮した綺麗なグラデーションだったり、造形に問題がある場合はそれを誤魔化すための騙し絵的なペイントが施されていますから、なるべく本物の影が落ちないように満遍なく柔らかい照明を当ててやって下さい。

そして「実体顕微鏡を簡単カスタマイズしてみた」にも登場したトレーシングペーパー。実は撮影にも重宝する奴でして、この補助灯のLED部分にも貼っています。

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この光源にトレーシングペーパーを一枚巻きつける撮影法は、安心と信頼の老舗ミニチュア専門店フルメタルプラネットの店長、村上さんから教えて貰ったテクニックで、簡単な割に魔法かな?レベルにふわっと良い感じに光が当たるようになるんですよね。それから自分なりに工夫を重ね、10年位前だったか、このトレペを貼った補助灯と三脚を付けたフォトラ2灯の3灯体制で撮影するスタイルに落ち着きました。ただ肝心のカメラが9年も前のコンデジでして、今時RAWにも対応していませんし、4Kモニタに新調したらやたら画像は粗く見えるし、流石にそろそろ新しいのを見繕わなきゃいけない時期に来ているなぁと思ったり…。今買うならこの機種!的オススメがあったら逆に教えて頂けると助かります^^

近道その9:ネットで答えを探してみよう!

自分一人の力だけでは到底辿り着けそうもない「この部分、どうやって塗ってるんだろう?」的な疑問の答えが見つかるのがネットの凄いところ。国内外の達人達が、苦労して見つけたテクニックの数々を大抵は無償で公開してくれていますから、Twitter、インスタグラム、ブログ等々、チェックしない手はないです。文章や画像を保存して知識だけ蓄えておしまい、にならないように面白いテクニックを見つけたら一度は真似してみるのがオススメです。時には、イマイチ好みに合わなかった、技術レベルが違い過ぎて真似しきれなかった…なんてビターエンドも経験しますが、それはそれ。上手くハマればかなりの近道になりますよ。自分の場合、試して→これは使える!→アレンジ→オススメとして再紹介する場合、 感謝を表す意味でも誰から真似させて貰ったのか、引用元を必ず明記するようにしています。

□ついでの小技紹介 その1□

ラーミアンメディウムでカブった際の復旧方法。水で軽く湿らせた「Mr.綿棒スタンダード(丸タイプ)」を使って完全乾燥後の塗面を優しくこする。若干のツヤが出てしまいますが、白く斑に曇った状態から回復します。

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□ついでの小技(?)紹介 その2□

最後は小技とはちょっと違うのですが、転ばぬ先の杖的な豆知識ですし、折角なので書いておきますね。迷ったら買え!の名言はミニチュアだけでなく、ツール類にも当てはまります。ただ困った事に絶版になっても中古市場に出てきやすいミニチュアと違って、ツールは中古市場にまず出てきません。使い古しの道具なんか売れる訳がない…と捨てられちゃうんでしょうか?特殊な用途のものほど代替品も見つかりませんし、オークションで後から狙って探す事が不可能なジャンルの品ですから、後悔しないよう絶版になる前に押さえておきましょう。自分が手にして「凄く使える!」と感激したツール、具体名を挙げるとこんな感じです。

①バローベ リフラー(コテヤスリ) No.12884 #2

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②職人堅気 ハイパーカットソー0.1 PRO-R

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③THREE SHEEPS DESIGN ピンバイス用センターガイド

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④THREE SHEEPS DESIGN スクレイパー細 OuB S45°

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⑤i-Craft シュトライヒェン-ピンセル ナイロンアート細書筆 XSサイズ

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以上、自分の経験を踏まえて「これを最初から知っていたら最小限の手間で上達出来たのに!」と悔しい思いをした部分を中心に書いてみました。良かったら試してみて下さいね。


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