星のカービィ

 星のカービィ、ご存じだろうか。というか知ってる人の方が多いだろう。

 1992年にゲームボーイ用横スクロールアクションゲームとして第1作『星のカービィ』が発売されて以来昨年25周年を迎えた任天堂を代表するキャラクターの一人(?)で、ゲーム以外にもアニメや書籍グッズやカフェなどシンプルで愛らしい見た目も相まって今も人気がある。

 そんなカービィ、有名な特徴が相手を丸ごと吸い込み飲み込むことで飲み込んだ相手の能力を得る『コピー能力』という思いのほかエグいものだが、実はコピー能力がゲームに登場したのは2作目以降なのだ、1作目はただ吸い込んで飲み込むか吐き出すだけだったのだ。
 カービィシリーズは『みんなが親しみやすいように』をコンセプトにかかげ、1作目もそれに則ってシンプルに吸い込む、吐き出す、飲み込むの三アクションを基本に、誰でも操作できるものだった、これは当時のゲームを作るうえで容量が足りないから難しく作ることで長く遊んでもらう、という考えも真逆を行ってるのではないかと思う。
 しかし、シンプルで奥が深いの星のカービィ、みんなが親しみやすいようにゲームに慣れた人も楽しめるように難易度を高くして始めるモードを最初から実装している。
 隠しコマンド、クリア後のおまけ、ゲーム内の収集など要素は形様々だが作品によっては手応えがありすぎるものも。
 ただクリアするなら簡単、だけど全てをクリアしようとすると途端に難しくなる、そんな風に言える。
 個人的に外伝作品は例外的に難しいと思っている、ここでいう外伝作品はアクションゲーム以外とカービィの姿形が変わったゲームを指している。
 丸い見た目をフルに活かして大抵ボール扱いをされるのだが(ゴルフボールだったりピンボールだったり)その手の作品は概ね難しいというのは共通認識なのではなかろうか。
 その最たる例が『コロコロカービィ』。
 2000年にゲームボーイカラー(GBC)向けに発売されたソフトで動きセンサーを搭載し、世界で初めて携帯ゲーム機に加速度センサーを使用したゲームでもある。
 GBCを傾けた方に画面のカービィが転がり、跳ね上げるとジャンプするジャイロセンサーの先駆けの様なシステムなのだが超難しい、当時小学生くらいだった私はまともに動かすこともできなかった。
 今やったら恐らくクリアすることは可能だと思うのだが、動きセンサーという特殊なゲームなおかげでゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンス、ゲームボーイアドバンスSP、そしてゲームキューブでしか遊ぶことができないのが惜しいところ。
 そんな昔からあるカービィ、つい最近になってグッズ化することが多くなった。
 文房具や食玩は昔からあったが食器類、小物、昔からありそうだった大きいぬいぐるみも最近になって登場した。
 アニメをやっていた当時でも文房具と食玩程度だったが今では様々なグッズが売られている。
 その話を友人としていて、カービィ好きだった世代の人達が大人になってお金を落としてくれるからでは?となんとも身も蓋もない結論になった。身も蓋もない結論だがその通りなのだろうと納得してしまった。
 かくいう私も、ゲームセンターでカービィのぬいぐるみの景品を見つけるととりあず手に入れようとする、ちょっとしたグッズも買ってるし。
 逆にいうとそれほどまでに長い年月、カービィは愛されているということなのだが、時間の流れを感じ何とも複雑な思いもある。

 グッズ化、書籍化等々大体のメディアに展開しているカービィだが、アニメのディスク化は途中までしかされていない。
 アニメ版星のカービィが放映されたのはTBS系列で2001年から2003年の2年間で話数は100話ピッタリ。
 ゲームとは世界観や登場人物たちの設定が大きく異なりアニメ独特のものとなっている、ちなみにアニメの方も原作者の桜井政博氏が監修を担当していたらしい。
 ザックリした粗筋としてはカービィと敵(魔獣)が戦うという王道ストーリーなのだが、カービィと魔獣が戦うまでの間の話しに、環境破壊や食料不足、温暖化と言った社会風刺を話しに取り入れたり、「サイコ」、「ローマの休日」「キングコング」「モスラ」といった対象であるはずの小さい子たちには絶対にわからないパロディや「ハリーポッター」や「ディズニー」などのかなりスレスレなパロディを入れてきたりとやりたい放題な印象を受けるが、これも『みんなが親しみやすいように』というコンセプトを取って大人にはわかるものを入れてるそうだ。
 やりたい放題で言えばメタ的要素も多い、アニメでアニメ制作を題材して、セル画アニメからCGアニメへの移り変わりや、アニメ制作現場の過酷さや作画崩壊、当時としてはまだマイナーだった所謂萌えアニメとオタク文化なんかも出てきたし、アニメの話しで、作中のキャラがアニメスタッフの作業の遅さを皮肉ったり、「得意のアドリブで誤魔化す」とか言っちゃってる。
 強すぎる社会風刺とメタ要素、ギリギリを攻めすぎたパロディなどが理由なのかディスク化も途中までしかなく、続編もないんじゃないか。今続編を作っても規制が強くてここまでのことはできないのでいいのかもしれないが……。
 気になる方はニコニコ動画に「アニメカービィ メイ場面集」というタイトルの纏められた動画があるので見てみるといいかもしれない。
 最新作、星のカービィ スターアライズで最後と言った話しを聞いたり聞かなかったりするが、一人のファンとしてはこれからも星のカービィというゲームで遊んでいたい。

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