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吸盤付飛翔玩具

何故だか知らないが目に黒い線が入った青い雪だるまが私のデスクから現れた。その雪だるま曰く目の線はチョサクケンとやらが関係しているらしい。雪だるまはおもむろにポケットに手を突っ込むと竹とんぼに吸盤の着いたのような物を取り出して軽快な音楽と共に叫んだ。
「 ハ ゲ コ プ タ ー 」
状況が呑み込めず混乱している私に雪だるまはハゲコプターとやらを持った手を頭に近ずける。その吸盤は私の髪の毛に絡みつき、竹とんぼの部分が回転を始める。だんだん早くなってゆく竹とんぼの回転は私の頭を余計にかき混ぜ、混乱させる。何が起こっているのだ。ああ、私もついに幻覚を見るようにでもなったか。日頃の行いが悪かったのか。隠し事をしていたせいだろうか。はたまた神に弄ばれているのだろうか。などと思考を巡らせた。考えども考えども答えは見つからない。理解出来ずにいると不意に頭が引っ張られる感覚を覚えた。刹那、私の髪の毛は宙へ舞い、いや、これは髪の毛ではない、もう隠すことは出来まい。私の桂は吸盤付きの竹とんぼと共に宙を舞い、ふらりふらりとした後向きを変え、遥か彼方へと飛んで行った。
桂であることがバレたショックと突然の出来事に呆然としていると雪だるまは言った。
「髪は死んだ。」

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