7. 創造神話の方法―天と地と
題: 創造神話の方法―天と地と
日本聖書協会出版の新共同訳の創世記1:1には、「神は天地を創造された」とあります。
初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。(創世記1:1-2)
いろいろな本を読んでみると、ここで用いられているいくつかの訳語には代替語があり、それらを使って訳しなおすと、上掲の訳文とはがらりと変わった光景が見えてきます。その際に重要な単語は次の通りです。
(1)初めに → ~し始めたとき
(2)地 → 下界
(3)創造された → 区分された
これらの単語を改めて訳し直すと、次のようになります。
神が天界と下界とを区分し始めたとき、下界は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。(創世記1:1-2)
この訳の創世記1:1では、まだ陸地は出来上がっていません。陸地が出来上がるのは、先に進んで9-10節です。
神は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現われよ。」そのようになった。神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。(創世記1:9-10、新共同訳)
創世記1:1では、神は無から世界を作っているのではなく、もともと存在する原材料をただ切り分けている(=創造)だけなのです。そして、3節以降で語られる建築作業は、どうやら下界のみを舞台としているように見えます。神が「光あれ」と命じたので、混沌で暗い下界は見渡せるようになったのです。創世記では、天界の様子は描写されていません。
2021/01/17
作:Bangio
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