望遠/広角効果を悪用した例
使い方はあまりよろしくないんですが、望遠と広角の演出効果をよく理解できる例として、「一部報道の写真の使い方」を紹介したいと思います。
望遠の演出
引用したつぶやきは「望遠の圧縮効果」を利用(悪用)した例(を解説したもの)です。
サンロード以外でも、「奥行きがある通りを圧縮で撮って、人が過密になっている様に見える」映像を毎日見ます。
望遠は画面全体が詰まった印象になります。なので、望遠レンズを使う事により、いかにも人が密集している様に見せることが出来ます。
実はこれは昔から頻繁に行われている手法で、デモや行楽地の映像など、「人が多い画」が欲しい時に「望遠を使って、人が多い様に見せる」という報道映像はよくありました。(望遠で撮る場合被写体から離れるため、対象に意識されずに撮りやすい、という面もあるかと思います)
が、今回は意図があからさまで、かつ弊害があまりに大きいので、演出である事が広まり、一般に露呈しました。
広角の演出
こちらは逆に、「広角」を利用(悪用)した例です。
広角では手前のモノが大きく写り、奥のものが詰まって見えます。
望遠では「平均的にちらばっているモノ」を、密集している様に見せる事ができますが、広角では「一部のモノを、画面の中で大きく広くして印象深くする」事ができます。特にこういう瓦礫類は、スケール感がわかりにくいのでとても効果的と言えます。
他にも大きさが感覚的にわかりにくい、「咲いている花や草木」、あまり見ない種の「魚や虫の群れ」など、一か所に固まっているものを画面いっぱいにしたい時などに使われる手法です。
フィクションなら積極的に使うべき
以上、「望遠、広角の効果」のわかりやすい例として挙げました。
これらは「報道」の中で使われるのが問題なので、手法自体は非常に効果的で、創作においては武器になります。
例えば映画やドラマなどで、「人ごみの映像」が欲しい時に望遠で密集した状態に見せる、あるいは「破壊された町の映像」が欲しい時手前の部分だけ作って広角でバランス調整する、などは、言ってみれば「良い嘘」です。
絵の場合は描く面積が同じなら手間はあんまり変わらないですが、例えば広角気味に書く事で「手前のモノを細かくかいて、奥のモノを小さくする事で省略して描く」、といった考え方もあります。
また資料写真なども、こういった「広角なのか望遠なのか」といった事を理解する事は、適切な圧縮率で作画するヒントにもなります。
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