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白って200色あんねん。

私と夫は10違う。
「星降る夜に」は、
歳の差カップルの話で
映像もストーリーも
美しく綺麗にまとまっている。

けれど、現実はといえばそうはいかない。

付き合い始めの頃、
お互いの好きなドラマを観ようと
東京ラブストーリーを見た時は、
肩掛け型のデカい移動電話(平野ノラしもしもネタ参照)を
見て「何だこりゃ~」と
手を叩きながら大爆笑され、

音楽の話になった時は、
「ねぇ、モンゴル800って知ってる?」と
訊かれ、
「モンパチくらい知ってるわっっ!!」と
語気を強めて答えたことがあった。

そんなジェネレーションギャップを
感じながらも
私の同世代にありがちな、
壁ドン、俺様、的なことはなく、
夫は、静かに本を読み耽り、
風にそよぐ草のようにやさしい。

そのやさしさは、
日常の何気ない部分で垣間見える。

夜、おやすみ前の歯磨きの時、
夫は、
わたし用にコップに水を入れて
洗面台のふちに置く。

そういうさりげないことが
とてつもなく深くて愛おしい。

わたしはコップの水を受け取って、
そっと口に含む。

「ううっ」
瞬間、歯茎に激痛が走り、
秒で吐き出してしまった。

冷たい、冷た過ぎる。

昨日も
一昨日も
頑張ってはみたものの、
ムリ、辛すぎる。

眉間に皺を寄せ
耐えてみるのだが、凍り水そのもの。
どんな苦行だよ!と心がシャウトする。

申し訳ない。
今日は2秒だった。

わたしは、夫にバレないよう
後ろを気にしながら、
コップの水を音を立てずに流し捨てる。

私の中のアンミカがつぶやく。
「水って沁みんねん。愛って沁みんねん。
キミには平気でも10コ上の私には滲みんねん」

夫には伝えられぬまま、
うららかな春が、
水温が上がる春が、待ち遠しい。


よかったらこちらを。

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