アズキングを巡る考察
「コレ、うまいな」と、とんちゃんがいった。
とんちゃんのいう、コレとは、井村屋あずきバーのミルク味のこと。
いつもは歯固めみたいなおばあちゃん好みのうす紫色のあずきバーを買うけれど、今回はちょっと志向を変えてミルク味にしてみた。
ヒンヤリとしたミルク味のアイスキャンディーはあずきバーのように剛健ではなく、唇に張り付いたりもしない。
そして安全な感じで中にあずきがしっかり入っている。
それをとんちゃんはおいしそうに無言で食べた。
あっという間に食べ終えると箱をガサゴソしてひらきをつくる。
そしてトレーからハサミをとってくると箱を切り出す。
とんちゃんは、無心に例のモノを切っている。そう、この時期がきたのだ。
例のモノとは、夏から秋にかけておこなわれる
『井村屋あずきバーキャンペーン』わが家にとって、恒例行事になっている。
と:「今年はー何にする?」ととんちゃんが訊いてくる。
あ:「何があるの?」
と:「Aコースギフトカード5万円分、Bは選べる国産和牛溌剌コース」
あ:「Aで!それは・・・いつまで?」と訊くと
と:「1回目の締め切りは7/31、2回目は9/30だね。Aコースの必要キング数は10枚」
とんちゃんが「じゃあ9がつ・・・」と言いかけたと同時に
わたしはつい「7/31までに10枚!!」と声をかぶせてしまった。
と:「えええー、あと2週間で10箱も食べるの?無理じゃない?」
あ:「だけど、きっと7月締め切りのほうが当たる確率あがるよ」
と:「1箱何本?」
あ:「6本・・・10箱、いや、あと9箱、残り54本だね」
と:「えええー、あずきバー冷凍庫に入りきらないよ」
あ:「大丈夫だヨ。7/31までにぜんぶ食べなきゃいけないわけじゃないんだから」
と:「近所のスーパーにそんなないよ」
あ:「コンビニもあるじゃん」
と:「それに幾らよ?」
あ:「うーんひと箱300円くらいだから・・・」
と:「三千円!!いやいやおかしいだろう」
あ:「そうかな?」
とんちゃんは箱についていたアズキングを切り取り終えると満足げに指先の小さなカケラを見せた。
アズキングとは応募マークのキャラクター。たぶん、あずきの妖精だろうか?(しらんけど)
私たちは、この3か月足らずで、六千円分もアイスを買い、食べようとしている。
まったくの大バカモンなんだけど、楽しいからしょうがない。
「アズキングをたいせつにしまっておける箱はない?」と訊かれて
わたしは鳥獣戯画の小物のはいっていた箱を差し出した。
きょうは7/17。
とんちゃんが切ったアズキングはちょっと雑でまだ1枚目。残り53本、夏はこれからだ。
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