寒色の夏追い人
向こう側の太陽
薄い壁はぼんやりと白く光って
暖かい季節がその裏にあるのがわかる
壁に手を這わせば
伝わってくる熱
指先のすぐ隣には同じ形の小さな影
向こう側の夏
薄い壁だけがほんわりと暖かく
こちら側の青い空気に
溶け出す湯気は幾粒もの水滴
床に滴れば
ぬるい水溜りが時間をかけて広がる
こちら側の端から、冷めて
温もりはそこまでの
薄い壁越しの夏
賑やかな笑い声がいくつも咲いていて
白い壁は眩しさを濃くする
混じり合わない季節が
境目を保ったまま
きっと上空でも行ったり来たり
海と空、青の境界
寒色は沸騰しても変色することなく
次の年もまた巡るだろう
いつも通りに夢は覚めて
新しい今日を何度だって始める
額の汗を拭う。
寒色の部屋から出て
アイスでも買いに行ったら。
眩しさから仲間外れにならない様
陽の光を浴びに行ったらいいよ。