褪せた玩具箱

かつてお利口さんだった玩具箱
身の丈をいくらでも更新
伸びていく、伸びていく樹のごとく
見繕っているのか見繕わされていたのか
ゾンビのような足元の土がやがて
屍を求めて手を伸ばし始めていても
ルートを変えることはできなかった

立ち止まって
喰われる
雷鳴嘶く隙もなく
見つめるだけの玩具箱 ひっくり返れば

救われたがって
苦しみに耐えていた蜘蛛たちも
祈ることやめて
果てに堕ちたならもう、言葉しか届かなくて

この巣もあの巣も伽藍洞
とおり過ぎる風も
陸も泣き
長閑だった頃の夢を見る
嘘だって無いと生きられないと
ただ目を瞑った
野晒しの玩具箱
用がなくとも取り出して
俯く日があっても気にせずに
にっこり笑えるようになるその時まで