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雨が降ると、浮き足立つ。
子どものころ、雨が降ると
傘をささずに家を出て
親に叱られていた。
居眠りばかりする授業も、
雨の音がするときは目が覚めて
どこかいつもと違う、ふわふわした気持ち
主旋律は先生の声ではなく
友達の声でもなく、せつなさを纏う雨。
雨が降るだけで、特別な1日になる。

雨が嫌いだという人の気持ちが分からなくて
髪が乱れるとか、低気圧とか、
そんな理由があるんだろうなと
想像はできるけど
雨が待ち遠しくて仕方がなかった。

いつからか
雨を待つことをしなくなった。
身体の調子が悪くって
家を出ることも億劫で
雨が嫌いな理由が少し分かって
あのふわふわした、特別な1日を
過ごすことができなくなってしまった。

雨が降ることで感じていた、せつなさ
そのせつなさを感じることができない切なさ
あの頃の私は、雨に何を見ていたのだろう。

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