いつまでたっても天使は囀らない 2
湿度が急に高まりだしてきた。じっとりする空気が体を包んでいる。あまりに急な高まりのため、なんだか知らずに池の中に落下した気分である。
どうやら、階段室に雨が降り出したようだ。
その証拠に、頭上から水滴が何度も私の頭に落ちてすっかりと髪の毛をぐしゃりと濡らしている。足元を見れば大きな水たまりができていたし、天井まで続く階段の隙間に手を差し出せば雨粒が私の手をしっかりと打つ。これは立派な雨だ。
でも、傘なんてない。レインコートもない。雫を遮るものなんて何も持ってはいない。一方