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ある草コイナーと私(2021年振り返り)

2021年も残すところあと一月となりました。11月はボッター活動の中で目安にしていた月当たり$20000という目標をクリア出来て、私にとっては一つの区切りとなりました。そこで、少し気が早いのですが、今年のまとめも兼ねて自分のTwitterを遡りながら振り返りをしたいと思います。

$20kという目標は特に深い理由があったわけではないのですが、仮に今の状態から事業として独立するとしたら、と考えたときに少なくとも15k-20kは欲しいだろうということで、一つの目安に設定していました。

「ねえ、ビットコインに詳しい?」

という同僚の一言が一つのきっかけとなり、今年の3月あたりにこの界隈にやってきました。もともとは4月頃から少し費やす時間を増やしたこともあり、2022年の4月くらいまでの1年を区切りに考えていたのですが、結果的に計画をやや前倒しすることが出来て自分でも驚いています。

本業はフロントエンド(ウェブサイト側)もバックエンド(サーバー側)も作るフルスタックデベロッパーというエンジニアです。デザインも少しやりますが、バックエンドの比重が最も高いです。

カレンダー

3月

最近暗号通貨投資を始めたらしい同僚にビットコインについての話題を振られて、何がなんだかよくわかりませんでしたがブロックチェーンというもの自体に興味を抱いた私は、簡単にリサーチしました。そしてある取引所に$5000ほどを入れてみました。第一印象は、どの通貨も同じように動くんだなあというぼんやりしたものでした。

とはいえ興味がでたものはなんでもとりあえずやってみる性分なので、わからないなりに考えて、ずっと同じように動いている割にその時少しだけ下がっていたETHに全部投入しました。リスクというものは何も考えていませんでした。

4月

何週間か経って取引所を再訪すると、少し増えていました。運良く狙い通りにETHの値段がBTCと同じ動きに戻っており、とても嬉しかったです。もともと戦略を考える類のゲームが好きなこともあって、これはなかなか面白いのではないかと考えた私は、もう少し詳しく研究を始めました。

そこで印象に残った記事がこちら。

だいたい意味がわかりませんでしたが、界隈の広がりを学ぶことが出来ました。Defiや現先など色々あるんだなというふわっとした感想ではありましたが、ひとまず頭の棚に置いておくことにしました。ここで初めて板取引というものを知り、すぐにFTXに口座を作りました。

5月

それほど時間がなく、ここまで暗号通貨にあまり時間を割いていませんでしたが、5月は転機となりました。

4月の末にボットというものを知り、取引所のAPIが充実していることを知った私は、本業が技術者であることも後押ししてボッターなるものに挑戦することにしました。そもそも裁量トレードは面倒で続かないとわかっていたので、自動で対戦してくれるボットは願ったり叶ったりでした。

ボットを作るためにはボットを作ればいいよ、と思った私はお手軽にボットを動かす方法を調べました。そして幸運にも、口座を開いたFTXにうってつけの機能があることを知りました。FTXのQuant Zoneです。

RIOさんのQuant Zoneシリーズを参考に、とりあえずたくさんボットを作って少額で稼働させました。変数の管理などが不便だったり非効率的な部分もありますが、環境構築不要で手軽にボットを起動させられる機能は素晴らしいサービスだと感じました。

結果的に、このシリーズの第二回で紹介されていたグリッドボットをかなりいじり、5月中に$1000以上の利益を上げる事ができました。

当時はバックテストのやり方もよくわかりませんでしたが、UKIさんとHohetoさんの初級者向けシリーズを読んでエクセルで行いました。実はろくにスプレッドシートというものを使ったことがなかった私にとっては、目から鱗でした。

自分で作ったやつはこんな感じ。

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Ifの文法がすごく間違えやすくて苦労しました。たくさんの通貨で横展開していましたが、下のタブに残っているように、最終的にはアルトコインばかりで3つか4つだけ残りました。

ここでUKIさんとHohetoさんの存在を知った私は、データ解析的な視点を持って戦うことの重要性を感じ、彼らの記事を全て読みました。

当時すぐに私が使いこなせるような技術はほとんどなかったのですが、その中では次の記事を参考にフィルタを実装してみました。

Quant Zoneである程度の利益を上げることが出来ましたが、すぐに実装の限界を感じた私は、Pythonでのボット作成を考え始めました。そしてまちゅけんさんのPybottersが良さそうだと結論づけて、彼の運営するDiscordに飛び込みました。

PybottersのDiscordはまちゅけんさんの高い貢献に加えて、開発意欲のある人々が集まっており、建設的な議論が行われているとても良いコミュニティだと思います。

ボッター活動とは別に、確か5月の頭くらいでRaydiumにも触っていました。そのときに偶然上場したてのSTEPを適当に買ったらとても利益が出てびっくりしました。何がなんだかよくわかりませんでしたがバブルの勢いを感じました。

そしてその利益でRayを500枚ステーク、当時$14か$15くらいで買ったと思います。ヘッジもせず預けていた結果、5月後半の下げで全壊しました。まさにあぶく銭となってしまいボッター活動と離れたところで悲喜こもごもでした。要するに泣きたかった。

6月

少し忙しく、あまり活動していませんでした。5月の終わりに大きく下げた後、相場が落ち着いてしまったため、捻出した時間は学習にあてていました。Pybottersを使って実践的なボットを作る練習をしており、新しいボットたちではあまり利益は出ませんでしたが、Quant Zoneのグリッドボットは細々と稼いでくれていました。

7月

7月もあまり時間が取れず、引き続きボット制作の練習をしていました。こちらのウェブサイトを参考にして、今度はトレンドフォロー系のボットの作りを学ぶことにしました。

このチュートリアルではロジック以上に、取引周りの工夫を学ぶことが出来て参考になりました。

この時の感想として、Pythonでのボット制作を効率化するためにはPandasの習熟が必要であると感じ、やや重点的にデータサイエンスを学ぶことにしました。

そのときに、Nagiさんの記事はとても助かりました。今でもPandasはしょっちゅう詰まるので何度も拝見させていただいています。

しかし元々データサイエンスのベースがないことと、これまで私が扱っていたプログラミングの世界と方向性が少し異なることからなのか、思うようにいかない歯がゆい思いがありました。

8月

この界隈に入ってからの2つ目の転機でした。要因は7月の終わり頃から開始した機械学習の勉強でした。UdemyやUdacityといったMOOCSの講義を早回しして、気になった部分を消化していきました。

機械学習は株価などの時系列解析が学術的に研究されており、書籍や論文で定量的な研究がしやすい環境でした。この面白さにのめり込み、他の活動をセーブしていったん機械学習の習得に集中しました。

根っこの部分をある程度理解しないと気がすまない性分の私には、こういう本も参考になりました。

(記事執筆時点で1500円ほどでした。確かこの頃には800円くらいで購入したような…)

そしてなんといってもこちら。

Richmanさんのチュートリアルです。こちらの素晴らしいところは、機械学習を実践投入するイメージが一発でつかめることです。

機械学習に興味がない方も、とりあえず目を通してPandasを使ってバックテストをするところまで確認すると得るものが非常に多いかと思います。

このチュートリアルをベースにして改造したボットは実質ヒゲ取りボットとして機能しました。初期に制作したグリッドボットと似たような動きで勝ってくれて、個人的に思い入れがあります。

そこからこういった学術論文を読んで実装してみたりしていました。

また、チュートリアルを噛み砕く過程をnoteにしたところ温かい反応をたくさん頂けて、友人と呼べる関係性を築けた方々もおり、個人的にとても収穫のある月となりました。

なお何かの上場早押しに参加して盛大に損失を出しました。通貨の名前も思い出せません。秒速で月単位の利益を吐き出して虚無でした。

9月

この月もあまり時間が取れませんでしたが、機械学習の勉強だけは進めました。高頻度に応用できないか色々試していましたが、あまり良い結果は得られませんでした。

私はもともと技術書をPacktというサブスクライブサービスで読む習慣がありました。

そこで読むことの出来るMLに関する書籍を紹介してくださっている記事があり、原書を読む前に一通り流れを確認することを目的に読ませていただきました。カナヲさんのこちらのシリーズです。

また、j26さんの記事も全て読ませていただき、深層学習のバリエーションなど気になったものを調べていきました。

月末にDex環境の研究を始めました。

10月

これといった理由があったわけではないのですが、自分のなかでどういったことをすれば期待値が高いのか、イメージが固まり始めた月でした。もともとこういった感覚を1年くらいかけて掴みたいと考えていたのですが、なんとなくそろそろ殻を破れそうな手応えがありました。

MLボットでA級は突破できるのではないかという感覚が育ち始めていたのと、もっと大枠としてマーケットをどう考えるか、という自分なりのベースが出来始めていたように感じます。

こちらは紫藤かもめさんのAmple攻略記事です。この記事を参考にして、自分なりの戦略を作り、何日かAmpleを毎日買いと売りで両方取り続けました。

とても簡単に言うとかもめさんの記事を参考にしてAmpleのフェアプライスを考えました。記事を読んで頂くと、どの部分が該当するか理解していただけるかと思います。

戦略の性質と環境上そこまでロットは積めなかったのですが、自分が目指している方向性が誤りではないという感覚を得ることができて、とても充実した月でした。

11月

OMGのエアドロ戦がありました。私は途中から1231売りとの両建てで参戦しましたが、ほどほどで手放しました。ライフスタイルに少し変化があり、毎日ある程度の時間が取れたので、一気にDexボットの実装を進めました。

さて、ここまでお名前を挙げていませんでしたが、私には強く影響を受けている方がもう一名います。突然ですがここで私の携帯に眠るスクショたちを御覧ください。

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大丈夫です。私はまともです。

てぃなちゃんはこの界隈に入ってすぐに衝撃を受けた方でした。明確に技術力で勝負しており、某上場戦の解説は感銘を受けました。

MLの研究は進めていたものの、1年は知見を広めて自分が得意な分野を探そうと決めていた私は、9月から細々と始めていたDex研究を再開しました。その際に再びてぃなちゃんのツイートを読み込みました。途中で理解できない部分がたくさんあったので、合わせてオプションの勉強などもしました。

結果的に、Dexボットの開発が当たりました。既存ボットの収益と合わせて11月は$40k以上の収益を達成しました。ひとまず目標としていた$20kを大きく上回り、自分でも望外と言える結果になりました。

ボットが何をしているか詳しくは言えませんが、かなり柔軟に戦略を切り替える可変ボットとなっています。

現状分析

ボッターになった当初から手持ちのカードが増えたので、現時点の自己分析を行いました。

マーケット理解

(私に)エッジはありません。キャンドルなどの基本的なデータや、銘柄については知識が増えました。オーダーフロー系やオンチェーン情報なども引き続き学んでいきたいところです。

機械学習

エッジはありません。私のレベルでは明確に差をつけることはできません。現状の私のMLボットは本質的には執行戦略の作り込みにより収益を挙げており、MLは補助的なフィルタとして活用しています。現在は決定木を利用した教師あり学習を使っていますが、深層学習自体にも興味はあるので学術的な研究は進めたいと思います。

Dex

エッジがあります。現在主戦場にしているSolana環境はTypescriptで書かれたSDKが多いです。Typescriptを学ぶことを障害に感じている方もおられるかと思いますが、Pythonが書けるなら言語自体の学習コストはそれほど高くありません。

しかしSolana Dexボットのクライアント側制作でより重要なのは、Web3.js周りの挙動を活かしたウェブアプリ制作の技術だと思います。私は本業でNodejsを使っているため、この部分でエッジがあることに気づきました。

Solanaの技術仕様やRustを使ったスマートコントラクト周りの研究は全然足りていません。しかし本業が直接関わる部分なので当然ではあるのですが、Nodejsを利用したウェブアプリという部分だけに限れば、現状私が戦っている環境において私のものと同じレベルの安定性を持ったボットはそこまで多くないと考えています。

Solana環境は様々な要因で不安定になりがちですが、現状その不安定さを利用して他のボットに先んじることが出来ているのではないかと思っています。

ちなみに個人的にこの分野で先頭を走っていると感じているmagitoさんからはいつも刺激を頂いています!

戦略について

個別のロジックではなくて、現在トレードで意識していることです。私はボットを使ったトレードを、あくまで対戦ゲームだと考えています。

そのため、環境に存在している他のボットの挙動や、定期的に見られる成り行き買いのプレイヤーの動きを日頃から観察しています。

パラメータはほぼ毎日調整します。頻繁に小さな改修を行い、機能を追加、あるいは削除しています。オーバーフィッティングではないかという向きもあるかと思いますが、現状はこのやり方であくまで対人戦として他のボット(と裁量プレイヤー)を上回る、あるいは積極的に妨害する、という立ち回りを意識しています。他のプレイヤーを上回れる要素というと実装力しかないので、経験値の不足をここでカバーしたいと考えています。

もちろん、来年には大きく意識が変わっているかもしれませんし、そうなってまた引き出しが増やせていれば良いなと思います。

ボッターのポロリあるいはエンジニアであるということ

界隈ではポロリと表現されるものについてです。ここまで振り返ってみて、私は評判の良い先駆者が公開してくださっている情報を参考にして、それを自分で動かしてみるという過程を繰り返すことで成長できたのだと改めて思います(そして雑な裁量で失ってきました…)。

「公開されている情報で勝てるわけがない、そんな貴重な情報なら自分だけで独占するはずだ」

こういった声はよく聞かれます。確かにそれはその通りだと思います。ですが、ボッターやエンジニアという生き物の原動力は、尽きることのない好奇心だと思います。何か新しいものを自分の手で作って、こんな面白いもの、素敵なものが出来たよ、ということを誰かに見て欲しいという遊び心のようなものです。それは単なる承認欲求である、と言っても構わないとも思います。しかし、何かおもちゃをいじるような気持ちでものづくりをするエンジニアは思いのほかたくさんおられます。

ですから、ボッターに興味がある方はとりあえず強そうな人の動向をチェックして、面白そうだと思ったものにある程度コミットしてみることが何かのきっかけになるのではないかと思います。

終わりに

調子の良いマーケットに乗る形で、ここまでは思った以上の戦績を残すことが出来ています。まだまだ勉強したいこと、実装してみたいものがたくさんあり、全く時間が足りない状況です。

マーケットの状態次第ではありますが、足りないものを一つずつクリアして、ここからさらに腕を磨いていきたいと思います。

長くなりましたが、ここまで目を通してくださりありがとうございました!


………


先日、私がこの業界に来る理由の一つになった同僚とまた暗号通貨について話しました。以前から彼はHODL戦略のみで投資していると聞いていたので、こちらから話を振りました。

「最近またBTC上がってるけど、どうなってる?まだ持ってる?」
「持ってるよ。いやあ最近なるべく見ないようにしてるんだけど、もしもっと上がったらどこかで売りたいと思ってるよ」
「そうなんだ。BTC確か今$60kあたりまで来てるよ」
「ああそう」

なんだか微妙な反応で、私は不思議に思いました。彼は続けました。

「…実はBTCは持ってないんだよね。他の通貨を持ってるんだ」
「え?あ、そうなの。ずっとBTCだと思ってた」
「ううん。DOGEっていうんだけど知ってる?」

……

……………

………………………DOGE?

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(※実話です)


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