見出し画像

「ばら撒くチャー」という環境テロ行為について

先日、Twitterで「ばら撒くチャー」という環境テロ行為が話題になっていました。要約すると『ある農家さんが管理している用水に、バクチャーという微生物活性材が無断で散布された』という内容でした。ばら撒くチャーについて検索すると、池や川や海にバクチャーを無断で散布する動画が多数投稿されています。当たり前ですが、ただの犯罪行為なので絶対に止めましょう❕

「微生物活性材バクチャー(BAKTURE)」あるいは「ばら撒くチャー」なる商品について調べてみた感想としては、どちらの商品も買う価値が無いと私は考えます。特にバクチャー・アグリ(1.000mL入り)33.333円の原価は、成分からして100円以下と思われます。

バクチャーの商品説明には用途として
◆水質浄化(河川、湖沼・ため池、景勝地、ダム、海域)
◆土壌改善(有機栽培・自然栽培など農業、堆肥・土づくり、汚染土改良)
◆臭気対策(汲取り式トイレ・浄化槽、ドブ川、養豚・養牛・養鶏場)
などが挙げられています。

個人的にはこのような効果があるとは思いませんが、以降は「効果がある(環境や生物に影響を与える)」という前提で話を進めます。

公表されている成分分析表を確認すると銅が1.63%となっています。銅(Cu)元素は、それ自体は生物に必要な栄養素であり、微量であれば肥料として畑に散布することもあます。実際に小麦畑などではテニスコートの面積あたり、約500gの硫酸銅が肥料として撒布されることもあるようです。1㎡あたりに換算すると2gほどです。1㎡あたり硫酸銅2gですから、仮に土の深さを20㎝として計算すると、土1㍑あたりの硫酸銅の散布量は0.01g(10㎎)になります。本当にごく微量で十分なんです。

土壌改善などの用途で使用した場合、問題になるのは「与えすぎ」です。生物にとって銅はそれほど多量に必要な元素ではありません。仮に与えすぎたらどうなるのかと言いますと例えば小松菜の試験データでは

硫酸銅として与えた場合
Cu 0.2g/kg(乾土)で発芽に障害が表れ始め
Cu 0.8g/kg(乾土)で顕著な発芽障害

EDTA銅として与えた場合
Cu 0.2g/kg(乾土)で葉の黄化・生育の遅れ
となっています。

乾燥した土のデータですから、水分を含んだ屋外では『さらに半分の銅で同等の障害がでる」と見積もる必要があります。硫酸銅は肥料にもなり得るので硫酸銅が含まれていること自体は問題ではありませんが、一般向けの商品としては含有量が多すぎると思います。

そして、もう1つ気になるのが成分の合計が100にならない事です。成分分析表にある数字を全部足しても20%ほど足りません。硫酸銅を含んでいることよりも、公表されていない成分が20%もあることの方が問題です。

いずれにしても素人判断で「どばーっ‼」と池や畑に撒布していいような商品ではありませんし、「ばら撒くチャー(環境テロ行為)を煽るような言動もするべきではない」というのが私の結論です。(´_ゝ`)

ちなみにですが畑に散布するならこちらの商品の方が良心的と思います。

ここから先は

25字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?