仮死

タイムカード、出勤

いや 分かってるんだよ
死ななきゃいけないワケくらい

誰だって ライフが尽きたら死ぬもんだ
それが当たりまえ仕方のないこと

でも ふとした瞬間 
長方形の暗闇の中に一日を閉じ込めるときなんかに
思う

なんで毎日死ななきゃならない
ずっと生きていたいのに

眠ってるときのほうが よっぽど生きてる

いや 分かってるんだよ
死ななきゃいけないワケくらい

ここから武器は自己調達
借り物ってわけにはいかない

でも ふとした瞬間
お面の内側が蒸れてきたときなんかに
思う

なんで毎日死ななきゃならない
ずっと生きていたいのに

無表情の素顔のほうが よっぽど笑ってる

一時間だけ生き返って
また引き続き死んでくる

いや 分かってるんだよ
死ななきゃいけないワケくらい

死ねない人間の言葉に説得力はないし
ライフが尽きたこっちの負けだ

でも ふとした瞬間
よき死体であれと言われたときなんかに
思う

なんで毎日死ななきゃならない
ずっと生きていたいのに

悪を自覚する夜のほうが よっぽど褒められる

土日に大きく息を吸って
五日は息を止めている
十七時間の命が燃えたら
七時間は死んでいる

ここは夢の墓場
ここは意志の墓場
ここは時間の墓場
ここは個性の墓場
ここは使命の墓場

ある日
隣のデスクの死人が言った
「俺には分かるぜ 死んだふりだろ」

言われて思わず 薄目を開けた

タイムカード、退勤