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「日本の城下町を愉しむ」

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日本の主要地方都市のほとんどは江戸時代に造られた城下町です。城下町が日本の骨格を造っていると言っていいでしょう。城下町には、お城だけでなく、古い街並みや郷土料理、様々な歴史や文化…
基本、毎週水曜日に2〜3本更新します。最終的には100か所程度になる見込みです。よろしくお願いしま…
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2020年6月の記事一覧

日本最強の佐賀藩軍/筋を通した偉人輩出/佐賀市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 佐賀県 ★城郭 佐賀城  九州では佐賀県人をバカにする風潮があるという。自虐ネタにしたお笑い芸人もいた。しかし佐賀藩がその気になっていたら、佐賀が日本の支配者になっていたかもしれない。  2009年から発掘調査が始まった三重津海軍所跡が、筑後川が下流部で分かれた早津江川の岸辺にある。1858年に佐賀藩が作った軍艦修理・造

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人間が作った虹の松原/ユーモラスなくんちの曳山/唐津市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 福岡県 ★城郭 唐津城  数々の城の天守に登ってみたが、唐津城天守ほど爽快かつ壮大な景色にはなかなかお目にかかれない。目はどうしても虹の松原に向かってしまう。  弓形に連なる砂浜は4.5キロ。その背後に最大幅500メートルものクロマツ林が続く。面積は216ヘクタール。これがどれぐらい広いかというと皇居の全面積とほぼ同じだ

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網の目のような掘割の中の街/みんな懐かしい白秋の街/柳川市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 福岡県 ★城郭 柳川城  街の中に掘割があるのではない、掘割に中に街がある。そう感じるぐらい、柳川市街には運河が多い。生まれ故郷である北原白秋(きたはら はくしゅう)が水郷と名づけた姿がいまだに残る。城下町で柳川の右に出る水路の街はない。  5社ほどが、木造のどんこ船と呼ばれる船での川下り観光を行なっており、西鉄柳川駅か

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ジワジワ来る街の良さ/ハイキング気分で歩き回ろう/朝倉市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 福岡県 ★城郭 秋月城  秋月は不思議な魅力の街だ。「筑前の小京都」などとも呼ばれるがあまりにも小さい。とても「みやこ」という雰囲気ではない。さりとて城はというと、5万石だった黒田家は、小大名ではないものの福岡藩の分家という立場からか、江戸時代の基準でいう「城」は造らず陣屋で政務を行なった。だから城跡といってもやはり圧倒

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「角打ち」発祥の街/爽やかな川辺歩きも楽しめる/北九州市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 福岡県 ★城郭 小倉城  小倉はかなり男の街である。 「小倉生まれで玄海育ち、口も荒いが気も荒い」とは「無法松の一生」の歌詞だが、元となった小説の作者、岩下俊作(いわした しゅんさく)は小倉出身で長く八幡製鉄所に勤めた。製鉄所ができたのは1901年、現在の八幡東区だが、拠点は小倉の隣の戸畑区と小倉北区にある。  戦前は中

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みんなでお酒が大好き/龍馬の生まれた街を散策/高知市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 高知県 ★城郭 高知城  高知に行ってわかった。高知人は酒飲みだというが、ただの酒好きではない。高知の人はみんなでワイワイ飲むのが好きなのだ。それを体現しているのが市中心部の「ひろめ市場」だ。  ひろめ市場は高知城と目と鼻の先、追手門通りに面した施設に60店舗ほどが入る。「平成浪漫商店街」などとうたっているが要は飲食店街

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幕末個性派の交錯を偲ぶ/多彩な郷土食を食べ尽くしたい/宇和島市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 愛媛県 ★城郭 宇和島城  宇和島は遠い。東京からだと松山空港からさらに特急で1時間半弱。本書の中でも屈指の不便な城下町だが、幕末から維新にかけて、個性的な人物たちがこの街で交錯した。  イギリスの外交官アーネスト・サトウは、幕末から明治にかけて通算25年も日本に滞在し、西郷隆盛(さいごう たかもり)や木戸孝允(きど た

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奇抜がてんこ盛りの臥龍山荘/明治期の繁栄残す古い町並み/大洲市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 愛媛県 ★城郭 大洲城  大洲城下町は、市内を流れる肱川がS字に蛇行する内側に抱えられるようにして建ち並ぶ。ほぼ碁盤の目のような街並みの西の端、川に面して大洲城がそびえ、その反対の端、東のどん詰まりには臥龍山荘がある。大洲の城下町歩きは、ぜひとも一番東端まで歩き通してほしい。この臥龍山荘こそ大洲で必見の場所なのだ。  臥

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生き返ったタオルの街/たちまち沈む端切れに感動/今治市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 愛媛県 ★城郭 今治城  タオルといえば、昔はもらうものだった。私はそうだった。何かのお祝いなどで欧米などのブランド名がついたタオルをもらう。それを手拭きやバスタオルに使う。今思えばその多くが今治産だったのだろう。  しかし今や我が家のタオルは皆「今治タオルブランド」を購入している。あの肌触りや吸湿性を知ると、もう他のも

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名町長の活躍で残った城と温泉/「坂の上」の街で子規を知る/松山市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 愛媛県 ★城郭 松山城  松山といえば松山城と道後温泉。外国人観光客も押し寄せる2大観光地だが、このいずれもが、一人の男の命を賭け、妻の死を乗り越えた活躍で今に残る。  伊佐庭如矢(いさにわ ゆきや)という。松山藩士で幕末には私塾を営み多くの門弟がいたが、明治維新時すでに40歳、息子に家督を譲ってこの時から「伊佐庭」を名

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全国からの寄進揃うこんぴら街道/ゆかりのうちわ製作体験も/丸亀市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 香川県 ★城郭 丸亀城  丸亀の港、こんぴら街道出発点には大きな青銅製灯籠が立っている。高さは5メートル余り。蓮の花をかたどっているが、八角形の傘の頂点にある龍の口からは、水流のようなほとばしりがクルリと渦を巻き実に優美だ。大きな石の台座には深々と「江戸講中」と彫られる。  江戸? 四国の灯籠になぜ江戸の講中、信者寄進と

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舟に乗って殿様気分満喫/お堀のタイと戯れ、借景に酔う/高松市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧   東日本編(北海道・東北・関東甲信越)   中日本編(北陸・東海・近畿)   西日本編(中国・四国・九州) ★都道府県 香川県 ★城郭 高松城  高松では舟遊びと洒落込みたい。  高松城のお堀では和船による遊覧が体験できる。堀で船に乗れる城は珍しい上にここは和船。船頭さんの案内で20分ほどだが、修復が進む天守台や鞘橋まで間近に迫れる。  さらに驚くことがある。高松城は日本三大海城の一つで、明治まで城は直接海に面していた。堀の水は全て海水で

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